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M-1連覇芸人に学ぶ「お客様目線」の重要性 | 照屋秀敏

漫才過剰考察 著者 / 令和ロマン・髙比良くるま
プロダクトアウトとマーケットイン、相反するものとして語られる二つの概念だが、漫才という一見作り手の感性が大きく反映される興行であっても、プロダクトアウトだけでなく、マーケットインの視点も持つことの重要性を示唆している。
2024年にM-1グランプリを連覇した高比良くるま氏は同書で『寄席(落語や漫才などの芸能を上演する演芸場)で重要なのは、「ネタのクオリティ」より「お客さんのマッチ度」』『関西はUSJイジり、関東ではディズニーイジりと切り替える』等客のニーズに応じてネタを柔軟に変更していると語る。
M-1においても同様で「しゃべくり」「漫才コント」等ネタの種類の順番によっても漫才の見え方が変わると記されており、お客様目線で今一番お客様が欲しているネタの選定を行っていることが示されている。このように、最高品質の漫才に加えて、お客様目線を持つことが出来たためM-1連覇を再現できたのではないか。
ビジネスの現場においても商品の作り手視点、お客様のニーズ視点での喧々諤々とした議論は日常茶飯事だ。しかし、両者が対立するのではなく両者を融合させより良い商品・サービスに昇華させることが大事なのではないか。漫才という極めてクリエイティビティが高い興行であってもそれが実現できたため、ビジネスにおいてもできないはずがない。そしてその一翼を担うのがマーケターとしての醍醐味であると改めて勇気づけられた。
前人未到! M-1グランプリ二連覇の最強王者・令和ロマンの髙比良くるまがM-1と漫才を完全考察!
分析と考察を武器に、芸歴7年目の若手ながら賞レースをはじめ様々な分野で結果を残してきた令和ロマン。そんな令和ロマンのブレーン・髙比良くるまがM-1と漫才を考えて考えて考え尽くした一冊。
「現状M-1に向けて考えられるすべてのこと、現在地から分かる漫才の景色、誰よりも自分のために整理させてほしい。頭でっかちに考えてここまで来てしまった人間だ。感覚でやってるフリをする方がカッコつけだと思うんだ」(本文より)
新型コロナウイルス流行や、東西での言葉の違い、南北の異なる環境が漫才に与えた影響、昨今話題の「顔ファン論争」に漫才の世界進出まで、縦横無尽に分析。
2024年10月時点での「M-1グランプリ2024」予想は、今読むとその的確な分析に鳥肌が立ちます。著者の真骨頂“圧倒的マシンガントーク”は本書でも健在です!
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