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クラフトコーラ「伊良コーラ」が銭湯と組む理由とは?担当者に聞いた
株式会社GRAND GIFTが企画・販売する東京下落合発のクラフトコーラ「伊良コーラ(以下、イヨシコーラ)」が、東京都浴場組合に所属する全銭湯(2024年5月時点で休業中を除く約420施設)にて、2024年6月23日に「イヨシコーラの湯 ALL TOKYO」を開催する。
「コーラ」と「銭湯」という組み合わせに驚いた方も多いのではないだろうか。今回、「イヨシコーラの湯」が実現した経緯や、どのような目的で企画を実施するのかについて、イヨシコーラ事業責任者の藤原直人氏に話を聞いた。
【イヨシコーラ 事業責任者 / イヨシ銭湯部 部長 藤原直人氏】
「実は、弊社としても銭湯様と企画を実施することを、戦略的にスタートしたわけではありませんでした。」
“伊良コーラ(イヨシコーラ)”は、2018年から販売しているクラフトコーラ(※)。株式会社GRAND GIFTの代表であり、コーラ職人の「コーラ小林」氏が、和漢方職人だった祖父から受け継いだ漢方の製法とクラフツマンシップ(職人芸)を基に生み出した商品だ。
※クラフトコーラ(craft cola):クラフト(=手作りの)という意味がさす通り、一般的に「手作りのコーラ」を指す。大手飲料メーカーから販売されている一般的なコーラではなく「工房などで作られたオリジナルのコーラ」といった意味で使われている。
100年以上も前のオリジナルコーラレシピに基づき、カルダモンやシナモン、コーラの実など7種類のスパイスと生薬、柑橘を同社オリジナルの割合で調合。漢方由来の製法で作り上げており、素材の香りとスパイシーで爽やかな甘みが特徴となっている。
2018年夏から移動販売車で販売を開始して以来、現在では各地の銭湯や温浴施設、小売店、飲食店など幅広い店舗で販売されている。
【実際に使用している移動販売車。カワセミをモチーフとし、船を模しているそうだ】
今回、東京都浴場組合に所属する全銭湯を含め、全国の銭湯と一緒に企画を進めている同社だが、実は販売当初から“銭湯”を意識して販路拡大していたわけではないそう。
「2018年からイヨシコーラの販売を行っていますが、イヨシコーラを飲んでくださったお客様が“銭湯に入った後にイヨシコーラを飲んだら、とてもおいしかった”とSNSで発信してくださったことがきっかけなんです。その投稿から銭湯との取り組みがスタートしました。」
同社が最初に銭湯と取り組みを始めたのは2020年。コーラ粕を直接風呂に入れる形でスタートした「イヨシコーラの湯」を、同年12月に東京の杉並区にある銭湯「小杉湯」で実施したことから始まった。
その後、SNSでの話題化などもあり、2022年4月には中野区で開催された地域イベントにおいて「松本湯」で実施。その反響から、2023年2月からは健美薬湯株式会社と協力し、「湯の素(入浴料)」の共同開発に着手して規模を拡大。
さらに同年4月は東京、埼玉、京都、大阪、三重の約30の銭湯で一斉実施し、8月にはエリアを広げて80を超える銭湯が参加する規模で実施。12月は、最大規模となる全国100を超える銭湯が参加し、当時最大規模で「イヨシコーラの湯」が行われた。
【2023年12月に実施された「イヨシコーラの湯」キービジュアル】
今回、2024年4月から6月にかけては、東京都浴場組合に所属する全銭湯と、大阪府および愛知県の有志銭湯で、初めて組合公式の一斉実施が決定。飛ぶ鳥を落とす勢いで、取り組みが拡大している。
そもそもなぜ“銭湯”なのか。お客様からの発信があったとはいえ、銭湯とコーラと言ってもピンと来ない方も多いのではないだろうか。「イヨシコーラが銭湯との取り組みを拡大した理由は、大きく分けて3つあります」と藤原氏は話す。
「1つめが、銭湯利用者の“ちょっぴり特別な体験をしたい”想いと、イヨシコーラのコンセプトがマッチしていたことです。
数十年前まで、日本において銭湯は生活に欠かせない日常の当たり前のシーンでした。ただ、今は各家庭で風呂・シャワーが普及し、どちらかというと、いつもとは違う“ちょっとだけ特別な場”にもなっています。自宅にお風呂があっても、あえて銭湯を選ぶ、利用者目線で考えると“ちょっぴり特別な体験をしたい”といった方が多くいらっしゃるのではないかと考えています。そう考えた時、“いつものひと時を豊かにする”というイヨシコーラのコンセプトとお客様の層がマッチしていると考えました。」
「2つめが、銭湯の文化として“薬湯”という、漢方の成分をお湯に入れて楽しむ文化があった点です。元々、お客様の発信がきっかけで銭湯との取り組みがスタートしましたが、よくよく考えてみると、イヨシコーラはスパイスや漢方をブレンドして作られている事もあり、“漢方(=薬湯)”とはかなり相性がよかった。スパイスの感じやフルーツの風味が湯上りにマッチしていた部分は大きかったですね。
【イヨシコーラには、様々なスパイスやフルーツがブレンドされている】
お客様の声から結果的に気づけたのですが、銭湯で湯につかって“体の外で”楽しんで頂きつつ、イヨシコーラで“体の内から”楽しむという、よい流れを描けたことは実施していく上でプラスに働きました。」
「最後3つめは、私たちメンバー全員が銭湯が好きで“銭湯でイヨシコーラが飲めたら嬉しい”って思えた点です。これは、深い意味はなく私たちが銭湯が好きだったからですね。」と藤原氏。
“銭湯”というと比較的高齢の方の利用が多そうというイメージがあるが、現在のイヨシコーラのメイン購買層はどういった層なのか。藤原氏によれば、「現状、メインの購買層としては20代後半~40代の方が多くなっていますね」としつつも、
「イヨシコーラでは、具体的な購買ターゲットは設定していません。自分達が納得いくプロダクトを作れば、結果的に皆さんに受け入れてもらえるという考えを持っています。実際、銭湯利用者の方はご高齢の方も多いですが、リピ―ターになって毎回買ってくださる方や、中にはケースで購入してくださる方もいらっしゃると話を聞いたりしています。また、いつもはコーラを飲まない方も、イヨシコーラは飲むって方もいらっしゃいますし、一つの飲料として楽しんでいただいていますね。」
2024年6月23日に開催される「イヨシコーラの湯 ALL TOKYO」。東京都浴場組合に所属するすべての銭湯を始め、大阪・愛知での実施が決定がしている本イベントだが、どういった経緯で実現したのか。
【「イヨシコーラの湯 ALL TOKYO」キービジュアル】
「今までは、イヨシコーラを買って販売してくださっていた銭湯様を中心に、イヨシコーラの湯の“湯の素”をお渡しする形でイベントを展開してきました。ただ、今回は、東京都浴場組合様とご一緒させて頂き、イヨシコーラの販売の有無に関わらず、組合に属する全ての銭湯様と企画を実施させて頂く運びとなりました。」
【「イヨシコーラの湯」大阪・愛知のキービジュアル】
浴場組合では、加入している全ての銭湯で毎月「変わり湯」企画を展開しており、その1つとして6月に“イヨシコーラの湯”が展開されるそうだ。
「我々の呼びかけもありますが、既に導入いただいている銭湯様からのお声や、組合様で我々の想いを汲んでくださり、今回の企画が実現しています。今後も取り組みは拡大しつつも、もっと多くの方にイヨシコーラを知って頂けたら嬉しい限りです。」
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