デジタル全盛の時代に、なぜポスティングやダイレクトメール(DM)など紙メディアが依然として強力な集客ツールであり続けているのか。その答えは、ターゲットの郵便受けに直接届けられるダイレクト性にあります。
自動車ディーラーから大手小売店、さらには急成長中のデリバリーサービス企業まで、多様なクライアントの集客を成功に導いてきた株式会社フィーオ・ブレイン。その代表である梶原氏に、アドクロ編集部で取材を実施。
デジタルとアナログの境界線が曖昧になる現代のマーケティング環境で、紙媒体がいかに進化し、そして力強く機能し続けているのか。今回は、ポスティングを中心にスポットライトを当て、2回に渡ってダイレクトマーケティング手法の奥深い世界を見ていきます。
そもそもポスティングとは
ポスティングは、チラシやパンフレットなどの広告物を直接個人宅や事業所の郵便受けに投函する広告手法です。地域に密着した広告戦略はもちろん、特定の属性に配布先を絞り込むことで反響が狙える施策となります。
【紙を使った代表的なマーケティング手法一覧】
一括りにポスティングといっても、指定されたエリア内全域で広くチラシを配布する「軒並み配布」を始め、「戸建て限定での配布」や「マンションのみの配布」など、様々な配布手法があります。
効果的なポスティングには、配布物の広告デザイン、適切な配布エリアの選定を含めた配布戦略が重要となってきます。
反響狙うなら「打率」を意識
編集部:ポスティングにおいて、反響を出すうえで重要な心構えってありますか。
梶原(フィーオ・ブレイン):最も重要な考え方であり、反響数が変わる重要な考え方に、ターゲットへの「打率」があります。
編集部:打率…ですか?
梶原:例えば「学習塾」を運営する企業が、教室から「半径〇km」とエリアを決めて軒並み配布や新聞折込を実施したけど、期待していたほど反響が来ず「こういうもんだろう」と諦めてしまったケースって意外と多いと思うんです。
ただ、私から言わせれば「その商圏分析と配布方法のみでは結果が出にくい」って思っちゃうんです。
単純に近さだけでエリアを絞って実施しても、そもそもエリア内に子供がいるであろう家庭に、より多くのチラシが届かなければ反響UPも見込めないでしょう。それなら、高確率に子供がいると想定される「ファミリーマンション」も確実に狙えば、ご両親がチラシを見て「問い合わせて見るか」ってなるわけです。
だから私なら、商圏を見て軒並み配布とファミリーマンションの実態調査して+αでファミリーマンションポスティングは絶対に外せないです。商品のサービスがよければ、間違いなく当たる。
編集部:なるほど。ターゲットが多くいる場所をいかに多く狙えるかが大事なのですね。
梶原:はい、見てほしい人の「打率を上げる」ことが大事です。
「ポスティングやろう」「DMやろう」となれば、どうしても配布物のデザインや部数にポイントが置かれがちですが、そもそも配り先にターゲットがちゃんといるのかどうか、ここを考慮できているかが勝敗を分けます。
前から歩いてくる人に、片っ端から「好きです!」って告白とかしないですよね。突然言って「OK」ってなるわけないじゃないですか。なら自分に好意があるであろう人に狙って告白した方が勝率は高いわけです。
【株式会社フィーオ・ブレイン 代表取締役 梶原隆司 氏】
一方で、「誰もが使うサービス」であれば話が別です。飲食店とかデリバリーとか、健康食品とか、誰もが接するものだったら、逆にセグメントはせずとにかく配布量で勝負すべきですね。ただ多くの場合、できるだけセグメントができるのであれば分類していかないと、最終的にお金の無駄になってどんどん獲得単価が高くなります。ここが地域によって難しいところ。
同じ「A4チラシ」も見せ方で反響は変わる
梶原:反響を出すうえで「打率」はとても重要です。とはいいつつ、セグメント配布が出来るのは都心か人口が密集しているエリアが中心。だから配布先はもちろんですが、“配布物(チラシ)”にも工夫をしてほしいんです。
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