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時代を超えて響く、人間賛歌 | 長谷部祐樹
兎の眼 著者 / 灰谷 健次郎
マーケ本よりも、今こそ読みたい本質に向き合える一冊。
舞台は高度経済成長期の小学校。新任の女性教師を取り巻く、様々な個性を持つ生徒やその家族、そして教員たちから織りなす人間ドラマが描かれている。
ダイバーシティやインクルーシブといったことが、まだまだ社会課題と合わせて謳われるよりも遥か前の時代の作品だが、その本質を真っ直ぐに突きつけられ、心が揺さぶられる。
障害、貧富の格差、地位、栄達、性別、年齢、常識といった私たちの中に宿るさまざま偏見と、社会の不条理との向き合い方に気づかされるともに、目頭が熱くなる。
その涙は、作中の悲しい出来事からくるものではなく、穏やかで優しい気持ちからくるものである。
多角的な視点を持つことの重要性、社会に対して仕事を通じて何を信じ何を残していくのか、そしてそこに情熱を注げているのか。
現代のビジネスパーソンにとっても大切なことを気づかせてくれるだけでなく、大人としてさらには人としていかにあるべきかを問われる、後世に残したい尊い作品。
新卒の教師・小谷芙美先生が受け持ったのは、学校で一言も口をきかない一年生の鉄三。心を開かない鉄三に打ちのめされる小谷先生だが、周囲とのふれ合いの中で次第に彼の豊かな可能性に気付いていく。
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