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FCバルセロナに学ぶ統合マーケティングの本質 | 森浩昭
ゴールは偶然の産物ではない~FCバルセロナ流世界最強マネジメント~ 著者 / フェラン・ソリアーノ
統合マーケティングは、長年にわたって注目されていますが、その成功の秘訣はどこにあるのでしょうか。最大のポイントは、全ての機能を水平方向で運用する際、担当者一人ひとりが自らの役割を理解し、徹底してやり切ることにあります。単にフレームワークをチェックリストのように穴埋めするだけでは、眼を見張るような成果は生まれません。
私たちが目にするサッカーの美しいゴールも、決して偶然の産物ではありません。サッカーというチームスポーツに関わる全員が、それぞれの役割を全うすることで生み出されるものです。一見偶然に見える出来事も、実は必然の積み重ねだという逆説的な見方は、ビジネスの世界にも当てはまります。
本書では、フェラン・ソリアーノ氏がFCバルセロナをいかに“Apple級”のチームへと成長させたのか、その経営に関する豊富な洞察が紹介されています。スポーツビジネスの成功は決して偶然ではなく、綿密な戦略と実行力が生み出す必然であることが提示されています。統合マーケティングは“机上の空論”ではなく、当事者の熱意と行動力、そして最後まで役割をやり抜く素晴らしいチームワークによってのみ完成されるということを、本書から学ぶことができます。IMCを実践するすべてのマーケターや経営者にとって、大きな示唆を与えてくれる一冊です。
2008年5月21日モスクワのルジニキ・スタジアム。マンチェスター・ユナイテッド対チェルシーのチャンピオンズリーグ決勝戦がおこなわれた。
決めれば勝利するPK(ペナルティーキック)をチェルシーのジョン・テリーが足を滑らせて外し、結果としてチェルシーは敗れる。優勝はチェルシーのすぐ手の届くところに、しかもチームを象徴する選手の足元にあった。しかしクラブに対して誰よりも思い入れの強いテリー自身のその足が、最悪のタイミングで彼を裏切った。こうしてチェルシーは、タイトルと約3000万ユーロを一瞬にして失ったのだった。
ジョン・テリーがあのPKを外したのはただの不運だったと言い切れるだろうか?
もしかしたら、あのミスの裏にも何らかの論理があったのではないだろうか?
規模の大小にかかわらず、あなたがビジネスで成功を収めようと思うなら、まずは物事の裏にある論理を理解することは必要である。基本や原点に立ち返り、需要と供給あるいは競合相手との関係など、現行の論理をすべて再考してみるのだ。新しい視点から現状を捉えて分析し、新製品や新しいサービスを提供したり、新解釈に基づいた新しいビジネス形態を提案したりすることができれば、事業は素晴らしい改革と前進を遂げる。
本書では、我々FCバルセロナや世界の強豪サッカークラブの経営者たちが用いている経営理論について述べる。
併せて、それらの実践方法やその成果、そして他のチームがなし得なかった我々FCバルセロナの成功の理由についても具体的に説明する。この本を読んで読者の皆さんに「ゴールは偶然の産物ではない」と確信してもらえたら本望である。
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