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SNSを売上に繋げるために”クラスター”を見つけろ
業界屈指のノウハウを持つSNSマーケティングを得意とするガイアックス。
媒体は得意で選定する
編集部:商材によって、どのSNS媒体が向いているというものはありますか。
重枝:無形商材の場合は実際にモノを見せるわけではなく語りが中心になるため、XやYouTubeが向いていると思います。もし不動産賃貸の内見案内やアパレルのようにビジュアルを見せられるようなものであればInstagramとの相性がいいですね。
ただ、例えばビジュアルを見せられるアパレルをXでやらないほうがいいのかというと、必ずしもそうではありません。
アパレルでも文章を用いてウンチクを語ることができるのであればXのほうがいいですし、動画で語ることが得意なのであればYouTubeがいいです。結局のところ商材も大事ですが、担当者がどの領域に強みを持っているのかを軸に考えたほうがいいですね。
特にスタートアップ・中小企業の場合は担当者が色々兼務しながら1人で運用するケースが多いと思いますので、担当者の得意に合わせて媒体を選ぶというのは大事な考え方になります。
編集部:例えば、語りが得意な人にはどのSNS媒体がおすすめですか。
重枝:動画でなおかつ語りで攻めるのであればYouTubeが1番ですね。
Instagramの場合は、語りを聞いてもらいにくいという特徴があります。またTikTokの場合は、かなりコンパクトにまとめる必要があるので難しいかもしれないですね。InstagramとTikTokでも最近長尺の動画を出せるようになってきてはいますが、ユーザー側としてはどうしても1分以内のショート動画であるイメージが強いのか、1分を超えると途端に視聴率が落ちるというデータも出ています。
編集部:では語りが得意な場合はYouTube一択ですね。
重枝:ただ必ずしもそういうわけでもなく、語りが得意でなおかつInstagramやTikTokを使いたいという場合はライブ配信も有効です。ライブ配信であれば見てもらえる確率が上がりますし、高額商品が売れるケースもあります。実際に宝石が売れた事例なんかもありますね。
特にLPを用意していたわけでもないですが、ライブ配信でひたすら商品の魅力について語っていたらDM(ダイレクトメール)で購入希望のメッセージが次々と届いていたケースです。SNSをビジネスで使う場合は、DMから直接購入依頼を受け取るのが割とスタンダードなんですよね。
ターゲットを探すコツは”クラスター”にあり
編集部:SNSでターゲティングを行う流れについて教えてください。
重枝:まずは自分たちがターゲットする”クラスター”を見つけることが重要です。
クラスターとは、あるトピックについて興味関心を共有しあっている状態の人たちのことです。別に相互フォローであったり顔見知りでなかったとしても同じトピックに関連するコンテンツを日々見ている者同士ですね。
自分たちのビジネスと関連するクラスターを見つけて、そのクラスターが普段どういった内容の投稿をしていて、どんな投稿にアクションをしているのかということを徹底的に分析します。やり方としては、検索で関連性の高いユーザーを見つけ、そのユーザーがフォローしている人たちを見ていく方法です。昔はそのアカウントがいいねした投稿の一覧が確認出来たのですが、今はできなくなっているため、誰をフォローしているのかを見ていくことが基本になります。
例えば不動産商材を扱っている場合、不動産関連のハッシュタグを辿って不動産に興味を持っているユーザーを見つけ、さらにそのユーザーのフォローを辿ることで不動産のクラスターを探すことが可能です。
工夫や勉強でコンテンツ作りは内製できる
編集部:そのターゲットに合うコンテンツ作りを行う際、能力的にコンテンツ作りが難しい場合はどうすればいいですか。
重枝:外部にお願いするのもひとつです。また、Xであれば主に必要なのが文章なのでそこまで難しくないのかなと思います。わざわざInstagramやTikTokなどの画像・動画という難しいコンテンツ作りを行う必要はないでしょう。
これは先ほどの話の繰り返しになってしまいますが、担当者の得意領域であればコンテンツ作り自体はそんなに難しくはないと思います。特にスタートアップ・中小企業であれば、内製化して長いスパンで運用して売上に繋げたいという想いがあると思いますが、本を買って十分勉強できる範囲なので、まずはやはり得意領域を見つけて自分たちでコンテンツを磨いていくことですね。
はじめから高いお金を払ってコンサルに頼む方もいらっしゃいますが、それはある程度自分たちで運用できるようになってからのほうがいいです。
編集部:バズっている投稿のコンテンツ作りを真似することについてはいかがですか。
重枝:真似のレベルにもよります。パロディ的な形で行うのであれば良いと思いますが、そっくりそのまま真似をしているだけだと直接クレームを受けたりするリスクがありますね。
最初の段階でコンテンツ作りにおいて模倣をしながら伸ばしていきたいのであればミームを活用したほうがいいです。ネットミームで「踊ってみた」「○○構文」「かわちい」「猫ミーム」など色々ありますがこれらを用いるとコンテンツを伸ばすという意味合いでは近道になりますね。
【猫ミームの例】
編集部:いいねなどのエンゲージメントの高め方のコツはありますか。
重枝:いいねを貰えるということはそのユーザーにとって役に立ったコンテンツだということです。この役立つコンテンツを作るというのは基本ですが、とても大事です。
最近ではテクニック的な話で「画面を2回押すと幸せになるよ」という興味関心を持っていなくともボタンを押させる方法でいいねを稼ぐ方法もありますが、これはやめておいたほうがいいです。テクニック的に伸ばしていることがプラットフォーム側にバレるとペナルティを食らう恐れがあるためです。Instagramはペナルティになることについて明確にしていますね。
とにかく不当にいいねを貰おうとするのではなく、最近では「最後までコンテンツを見てもらう」ことに注力したほうがいいですね。
編集部:「最後まで見てもらえる」とはどのように判断すればいいですか。
重枝:指標が大きく2つあります。1つは動画の再生完了率です。最後まで再生した人が何割いるかを表す指標ですね。静止画の場合は滞在時間が指標になります。
もう1つはプロフィールクリックです。投稿に関心を持ったユーザーはその人そのものにも関心を持つ可能性が高いということでプロフィールをクリックした数が指標になります。
では実際にその2つの指標をどのように上げていけばいいのか。例えばクイズ形式の動画であれば答えは大体最後に発表することが多いので、そのクイズに関心を持ったユーザーは最後まで動画を見てもらいやすくなります。ユーザーが疑問に思っていることを調べ上げて、その答えを最後に発表する形式はこれからも有効だと思いますね。
編集部:確かにクイズ形式のものは思わず見てしまいます。
重枝:しかもクイズをいくつか用意して、それを1分間のショート動画にしている場合、最後の問題をサムネイルにしていることが多いですね。サムネイルが気になった段階で最後まで見てもらえる確率が上がりますから。
【クイズのショート動画でサムネを最後に近い問題に設定している例】
ただし、売上に繋げるためには必ず自社の商材との関連性が必要にはなるので、全く関係のないトピックを扱って関連性の薄いユーザーを集めることはやめてください。
編集部:再生が伸びてきたのにいいねやコメントが伸びないときはどうすればいいですか。
重枝:まずその現象が起きる要因として考えられるのは、ユーザーが深くコンテンツを見ている可能性です。
再生が伸びているのであれば、プラットフォーム側からは良いコンテンツであると評価はされています。ユーザーがコンテンツを見入ってしまった結果、あまりエンゲージメントを行わないということは起こり得ます。
そのため、もしコンテンツ作りに自信があって再生を伸ばせるというのであれば現状のままで問題はないかと思います。むしろ売上のことを考えるのであれば、ユーザーとコンテンツの接触回数が多いほど売れやすいので、無理にやり方を変えていいねやコメントを取りに行くのは本末転倒になってしまいます。
編集部:ちなみにコンテンツの長さと売りやすさに関連性はありますか。
重枝:商材によって異なりますが、SNSで興味を引いてそのあとLPに誘導したいのであれば、短くインパクトのあるコンテンツにしたほうがいいです。反対にSNSのみで完結させて売りたいのであれば長尺動画やライブ配信など、できるだけ情報を多く伝えてユーザーを没入させることが大事になりますね。
服なんかはライブ配信でガンガン売れたことがあります。
とあるブランドでの事例で、新作の服が出るとなった時にモデルさんが出てくるんですが、消費者を代表するような親しみを持ちやすい方が起用されていました。その方がライブ配信で新作の服を着て登場し、ユーザーがコメントで「裏地を見せて」と言うとその場で服をめくって裏地を見せてくれたり、積極的にユーザーに参加させることで、その場でユーザーたちがECに遷移して売れていったんですよ。
醤油がXを通じて爆発的売上を記録!?
編集部:実際にSNSを使って売上を伸ばした事例は他にありますか。
重枝:やすもと醤油さんのXの事例は有名ですね。
名前の通り醤油などを取り扱っている会社さんですが、上記のツイートがものすごくバズってフォロワーが増えて、売上も大きく伸ばしたそうです。
編集部:醤油がXを通じて売れるとは・・・凄いですね。
重枝:やすもと醤油さんが凄かったのはしっかりECサイトを用意して、その場で買いたいと思ったユーザーのニーズに応えていたことですね。
これはよくあることですが、バズっても受け皿がないと売上にはつながりません。
メンタルアベイラビリティ(認知のしやすさ)とフィジカルアベイラビリティ(実際の手に取りやすさ)という言葉を使った説明をするとわかりやすいです。コンテンツがバズってメンタルアベイラビリティが向上し認知はしてもらえたものの、実際に買おうと思ったときにその商品が見つからなければ、ユーザーは代わりに別企業の商品を買うという行動に出やすいので、このメンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティを揃えたことがやすもと醤油さんが伸びた理由だと思いますね。
いくらクラスターを見つけてそこに対して魅力的なコンテンツを発信してバズったとしても、「その場で買える」という選択肢が無いと売上は伸びないですね。
大事なのは「楽しむ」こと
編集部:SNS運用を行うに当たって重要なことはなんですか。
重枝:とにかく楽しんで運用してもらいたいですね。運用担当者の得意な媒体を使ったほうがいいという話もしましたが、あわせて好きな媒体を使うということはとても大事です。
最初は好きでもなく会社のInstagramの運用をしていたけども気づいたらInstagramにハマってプライベートでも運用するようになってしまった、こういう人ほど運用で成功しやすいです。好きになれないとアイディアが浮かばないので、運用する方はとにかく楽しんでほしいですね。
後は常識を持つことは大事ですがあまり炎上を恐れないでほしいです。特に大手さんの場合はこの辺りに敏感になってしまいがちなので、スタートアップ・中小企業さんほど差別化できるポイントだと思います。
楽しむことと恐れないこと、是非やってみてほしいです。
ガイアックス ソーシャルメディアラボ(サービスサイト):https://gaiax-socialmedialab.jp/
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