経済産業省が2023年3月に立ち上げた「OPEN CARE PROJECT」の新たな取り組みとして、家族謎解き体験「ただいまタイムループ」を開催する。
本イベント開催の背景には、2025年問題がある。第一次ベビーブーム世代約800万人が後期高齢者となり、日本は未曽有の超高齢社会を迎える。また、共働き世帯の増加と相まって、介護は避けられないライフイベントとなっている。特に深刻なのが仕事と介護の両立問題だ。労働生産性の低下を招くため、制度的対応に加え、実効性のある支援策の確立が急務となっている。
今回のイベントは、擬似家族との没入体験を通じて、家庭内での介護に関する対話を促進するイマーシブ体験コンテンツを中心に構成される。会場では「家族ウソ辞典」「家族会話練習所」「家族検定」の3つの展示を実施。擬似家族との没入体験を通じて、家庭内での介護に関する対話を促進する体験コンテンツを中心に構成されている。
例えば、「家族ウソ辞典」企画では、現代の若者たちが持つ人間関係への繊細な配慮と、社会生活における本音と建前の複雑な関係性を浮き彫りにしている。
具体例として、20代女性の「ちょうどお腹すいてたの!」という発言と、その裏に潜む本音が対比的に示されている。実際の本音は「外食して帰宅したから本当はおなかいっぱい!」というものだ。この状況説明として、社会人になって忙しくなり、一人での食事時間が増えていた背景が付記されている。
また、「家族検定」の企画では、一見簡単そうで意外と答えられない質問が並ぶ。生年月日や血液型といった基本情報から始まり、服のサイズ、靴のサイズといった日常的な細部にまで及ぶ。さらには「よく行くスーパー」「得意料理のレシピ」といった生活習慣に関する質問も用意されている。
特徴的なのは、各設問に「思い浮かべた家族」という記入欄が設けられていることだ。これにより、家族それぞれについて考える時間が自然と生まれる仕組みとなっている。さらに踏み込んだ質問として、「初めてデートした場所」「趣味」「よく行く飲食店」なども含まれており、家族の個人としての一面にも目を向けさせる工夫が見られる。
このイベントは、日常生活の中で見過ごしがちな家族の個性や習慣に目を向け、家族との会話のきっかけを作るコミュニケーションツールとしての役割を果たしている。介護という課題に向き合う中で、家族間の理解を深める新たな試みとして注目が集まる。
イベント実施期間は2024年11月13日から17日までの5日間で、会場は渋谷区東の並木橋オールドハウスで実施される。