多くの企業が広告宣伝で利用している広告。昨今では、オフライン広告と合わせて利用する企業も多く、マーケティングにおいてオンライン広告は必要不可欠なものとなってきています。
Web上の広告枠を利用した純広告(ディスプレイ広告)や、検索エンジンを利用したリスティング広告など、オンライン広告と言っても、その種類や効果は様々です。今回はそのオンライン広告の中から、タイアップ広告(記事広告)を紹介します。
多くの企業に利用されているタイアップ広告について、「そもそもタイアップ広告とは…?」といったところから、タイアップ広告と純広告の違い、特徴やメリット・デメリットなどを徹底的に解説します。まだタイアップ広告を利用したことがない方、現在進行形でタイアップ広告を利用中の方も必見です。
タイアップ広告(記事広告)とは?
タイアップ広告とはWebサイト上のスペースを利用して広告宣伝を行うオンライン広告の一種です。タイアップ広告では、自社の商品・サービスの広告宣伝を既存メディアのコンテンツとして行います。メディアが日常的に掲載している記事(コンテンツ)と同じ形式で広告宣伝を行うため、記事広告と呼ばれることもあります。
他社が運営しているメディアに記事の体裁を取った広告物を出稿するため、消費者に近い目線で商品・サービスのアピールができる広告手法として多くの企業に利用されています。記事として広告出稿が可能なタイアップ広告には、その他のオンライン広告にはない特徴・メリットが多く存在します。
また、既存メディアにある種依存する形のタイアップ広告には、その他のオンライン広告には見られないデメリットや注意点もあります。メリット・デメリットを正しく理解するためには、タイアップ広告とその他の広告手法との違いを正しく理解する必要があります。
まずはタイアップ広告と一般的なオンライン広告、純広告との違いから解説していきます。
タイアップ広告と純広告の違い
タイアップ広告と純広告(ディスプレイ広告)では、ユーザーに与える印象が異なります。
タイアップ広告が既存メディアに記事として広告が掲載される記事広告であるのに対し、ディスプレイ広告とも呼ばれる純広告はWebサイト上の広告枠に広告が掲載されます。純広告は、広告の商品・サービスに興味・関心がないユーザーにとっては、Webサイトを閲覧する上でストレスになると言われることもしばしばあります。
タイアップ広告は掲載メディアの主要コンテンツと同じ体裁で広告が掲載されるため、ユーザーにとって不必要な情報と認識されることが少なく、広告宣伝がユーザーに与えるストレスを軽減することができます。
タイアップ広告の特徴、メリット、デメリット
タイアップ広告にはその他のオンライン広告にはない多くの特徴・メリットが存在します。
また一定のデメリットや注意点も存在するため、広告運用の際はメリットと合わせて事前に正しく理解しておくことが重要です。
タイアップ広告の特徴・メリット
タイアップ広告最大の特徴は、記事広告と呼ばれる理由でもある広告出稿の掲載方法です。
多くのオンライン広告が広告枠を利用して広告出稿を行うのに対し、タイアップ広告は記事広告の名前の通り、記事が掲載されているメディアのコンテンツ枠を利用して広告出稿を行います。そのため、メディア自体のブランド力や特徴を活かした広告出稿が可能となります。
タイアップ広告の特徴・メリット ~リーチ数~
タイアップ広告は、商品・サービスの広告を他社が運営するメディアに出稿、掲載する広告手法です。
タイアップ広告を出稿する際に、特別な事情でもない限り、わざわざユーザーが数人規模のような露出の少ないメディアを利用する企業はいないはずです。タイアップ広告では、既に多くのユーザーが存在するメディアに広告を掲出することで、ある程度想定通りのリーチ数が見込めます。
一定以上のリーチ数を確保できる点と合わせて、このリーチ数が想定できるという点も、タイアップ広告のメリットの1つです。
タイアップ広告の特徴・メリット ~ターゲティング~
タイアップ広告は、リーチ数が確保できるだけではなく、詳細なターゲティングも可能な広告手法の1つです。
タイアップ広告を出稿する既存メディアは、ほとんどの場合、特定のカテゴリに関する情報を掲載しているメディアであるはずです。そのため、どのようなカテゴリの情報が掲載されているかを調査することで、タイアップ広告を出稿することでリーチできるユーザーの属性を把握することが可能です。
不特定多数へリーチする広告手法に比べてコストが高くなる傾向にはありますが、コンバージョン率も高くなるため、使い方次第では高い費用対効果が期待できます。
このように、広告出稿前にリーチできるユーザーの属性を把握し、詳細なターゲティングが行える点も、タイアップ広告のメリットの1つです。
タイアップ広告の特徴・メリット ~客観的視点~
タイアップ広告は多くの場合、商品・サービスの紹介を出稿先のメディアへ記事の体裁で掲出します。そのため、ユーザーにはメディアが紹介している商品・サービスと捉えられることになります。
この紹介記事は口コミやレビューと同じように客観的視点で書かれているように感じられるため、ユーザーにとってより身近な情報として伝わります。企業自身がPRを行う広告手法に比べると、身近に感じられた情報はユーザーにより伝わりやすく、かつ、購買行動に結びつきやすいと言われています。
自社の運営メディアやその他の広告手法には見られない、この客観的視点を与えるという点も、タイアップ広告のメリットの1つです。
タイアップ広告の特徴・メリット ~SEO対策~
Web上で運営されているメディアの多くは検索エンジンからの流入に力を入れています。
Webサイトへの主要な流入経路は、検索結果からの流入、他メディアからの流入のどちらかです。検索結果からの流入では、検索結果の上位に表示されるほど多くのユーザーの流入が期待できます。そのため、多くのメディアでは検索上位に表示させるためのSEO対策がされていることがほとんどです。
タイアップ広告では、掲載元のメディアが実施しているSEO対策の恩恵にあずかることができます。また、広告を記事化する際に、SEOを考慮した記事内容を作成してくれるメディアも多いため、自社でSEO対策に頭を悩ませる必要がなくなります。
このSEO対策を考慮した流入が期待できる点も、タイアップ広告のメリットの1つです。
タイアップ広告の特徴・メリット ~より深い広告宣伝が可能~
タイアップ広告を出稿する際、掲載元となるメディアは限られた情報に特化したものであることがほとんどです。そのため、タイアップ広告を目にする消費者も、この特化した情報に一定の知識を持っている人が多いと考えられます。
広告宣伝の内容が日常的にメディアで提供されている情報と親和性があれば、商品・サービスに対して一から説明をする手間が省けるケースがあります。基本的な知識をユーザーが持っていると判断できれば、基本的な説明を省き、その分商品・サービスの特徴やメリットなどを詳細に紹介することができます。
どのような媒体を選んだとしても、広告宣伝について回る広告スペースの問題。タイアップ広告は、限られた広告スペースを最大限利用し、より深い情報までをユーザーに届けられる広告手法です。
タイアップ広告のデメリットや注意点
広告宣伝において重要となるリーチ数やターゲティングの課題克服に加え、客観的視点で広告宣伝が可能なタイアップ広告。メリットの多い広告手法ではありますが、中には注意するべき点やデメリットも存在します。
タイアップ広告のデメリット ~スピード感~
タイアップ広告は商品・サービスの広告宣伝を他社が運営するメディアに掲載してもらう広告手法です。そのため、広告の企画から掲載までが自社で完結する広告手法に比べると、一つ一つの工程に関わる人員が多くなりがちです。
たとえば、自社商品を紹介する記事をタイアップ広告として出稿するとしましょう。まず、依頼を受けた運営元は紹介する商品に対する取材を行う必要があります。この取材に関しても依頼後すぐにその場で行えるものではなく、人員の選定や取材先企業の調査など、ある程度の事前準備が必要となります。
無事取材が円滑に終わっても、取材した記者が作成した記事の確認を双方で行う必要があります。
このように、自社完結の広告手法には発生しないリードタイムが随所に発生するため、即時性が重要な広告宣伝などには不向きな点は、タイアップ広告のデメリットと言えます。
タイアップ広告のデメリット ~コスト~
タイアップ広告では、基本的にはPV(ページビュー)が多いメディアほど、コストが高くなると言われています。
タイアップ広告は他社メディアを広告スペースとして利用する広告手法です。そのため、広告を掲載するメディア側に掲載費を支払う必要があります。記事の体裁を取った記事広告として広告物を企画・作成するためには、時間だけではなく一定のコストがかかります。契約期間や必要となるコストはメディアによって様々ですが、優良顧客に多くリーチしようと考えると、リーチ数に比例して必要なコストも高くなる傾向にあります。
タイアップ広告では、50万円程度でも比較的低コストと考えられ、大手Webメディアでは500万円~1,000万円が必要なものもあります。このように一度の広告出稿で高い効果を期待する場合、それなりのコストが必要となる点は、タイアップ広告のデメリットの1つです。
タイアップ広告の注意点 ~ステルスマーケティング~
タイアップ広告はユーザーにとって広告宣伝が身近に感じられる魅力的な広告手法です。
前述の通り、客観的視点で記事が書かれることがその要因ですが、広告出稿の際は、タイアップ広告と口コミ・レビューとの違いを正しく把握しておく必要があります。タイアップ広告として掲載される情報は記事ではなく、あくまで記事広告である必要があります。
口コミやレビューは消費者自身が自発的に情報を発信していますが、タイアップ広告は広告費を支払って企業側が広告出稿を依頼する広告宣伝の手法の1つです。そのため、タイアップ広告には『PR』や『広告』など、企業の宣伝広告記事である旨がユーザーに伝わる記載をすることが望ましいです。
近年では、消費者目線を装って広告宣伝を行うことは『ステルスマーケティング』と呼ばれ、不快感を与える広告手法として消費者に嫌悪されている傾向にあります。1つのタイアップ広告がステルスマーケティングとして消費者に認知されるだけで、自社の商品・サービスや、自社自身、掲載メディア、など多方面で消費者の信頼を失いかねません。
広告宣伝が逆効果とならないためにも、客観性の高い広告宣伝を行う場合は、ステルスマーケティングと捉えられないように細心の注意を払う必要があります。
タイアップ広告の注意点 ~不特定多数へのリーチは不得意~
タイアップ広告は基本的に掲載元となるメディアに集客を委ねる広告手法です。そのため、広告宣伝のリーチ数もメディアで集客可能な範囲を大幅に超えることはほとんどありません。つまり、タイアップ広告は、ターゲットを絞ってリーチすることを得意とする反面、不特定多数の人にリーチすることは苦手と言えます。
不特定多数へリーチし、認知度向上を目的とした広告宣伝にはタイアップ広告は不向きな点も注意が必要です。
タイアップ広告(記事広告)の例
まとめ
タイアップ広告は他社が運営する既存メディアを集客装置として利用する広告手法です。
記事広告とも呼ばれるこの広告手法はコンテンツとしてメディアに広告を掲出できる数少ない魅力的な広告手法の1つです。
タイアップ広告(記事広告)のメリットは大きく5つあります。
広告出稿前に以下のデメリット・注意点も確認しておきましょう。
比較的大きな広告スペースを利用できるタイアップ広告。
その他のオンライン広告と比べるとコストは大きくなりますが、その分広告効果も期待できる広告手法です。
オンライン広告の出稿を検討している人は、是非この記事の内容を参考に、タイアップ広告も検討してみてはいかがでしょうか。