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CM事例集 | 視聴者の心をつかむ企画のヒント
テレビCMからWeb動画まで、日々新しい広告作品が生まれ続けています。本記事では実際に放映されたCM事例を見ていきます。
大きな話題を呼んだものから、小規模ながらユニークな切り口で制作されたものまで、それぞれの特徴や工夫を分析していきます。予算や規模に関係なく、視聴者の心に寄り添うアプローチや、独創的な表現方法など、今後のCM制作のヒントとなるポイントを探っていきます。
一つひとつの事例から、広告表現の可能性を見出し、次の企画立案に活かせるアイデアを提供できれば幸いです。
セーフィー株式会社は、創業10周年を迎え、「安心って、大事だ。」をテーマにした新CMを2024年12月1日より関西エリアで放映開始した。
今回のCMは、大阪府を拠点に全国展開するお好み焼・鉄板焼「千房」の店舗で撮影。同チェーンは従業員の安全確保を目的に、直営全店舗にセーフィーのシステムを導入している。
株式会社エコリングは、2024年12月2日より新WEB CMを公開している。新CMでは実業家のひろゆき氏を起用し、パリの自宅からオンラインで撮影を実施した。新CMは「フルボッコにされるエコリング」編、「可哀想なので覚えてあげてください」編など全9パターンを制作し、YouTubeなどのSNSプラットフォームと、12月16日からは新宿の屋外ビジョンで展開予定。ひろゆき氏のトレードマークである「いつもの配信画角」を採用し、WEB会議ツールを使用してオンラインで撮影した動画を利用している点が大きな特徴だ。
【2024年12月】GREEN SPOON
株式会社Greenspoonは、2024年12月1日から関西エリアで初となるテレビCMの放送を開始した。同社が展開する「GREEN SPOON」は、「自分を好きでいつづけられる人生を。」をビジョンに掲げ、素材そのままの野菜たっぷりのおうちごはんを提供している。今回のTVCMは、「オフィスでのランチ」と「帰宅後の夕食」という日常的なシーンに焦点を当て、食生活における「野菜担当」としての商品価値を訴求する内容となっている。
Park Directは、サービス開始から5周年を迎え、全国47都道府県の不動産管理会社に導入されている。月極駐車場の検索から契約、賃料支払いまですべてをオンラインで完結でき、最短即日からの利用が可能となっている。
今回のCMでは、Park Directのブランドカラーである青を基調とした布を背負ったラクダが、首から日本のナンバープレートを下げ、月極駐車場に座る「駐ラクダ」という独創的な演出を採用した。CMには駐車場を探すドライバーの女性も登場し、スマートフォンで簡単に契約できる利便性を表現している。
Macbee Planetは、2024年12月2日より、東京23区内の約11,500台のタクシーで初となるCM放映を開始した。
今年9月に「すべてのマーケティングを成果報酬に」という新たなタグラインを発表している。今回のタクシーCM展開は、多様化するクライアント企業に向け、特にビジネスパーソン層への認知拡大とブランド浸透を狙った取り組みとなる。
エニタイムフィットネスを展開するFast Fitness Japanは、2023年12月から実施した全国プロモーションに続き、2023年12月1日より新たなプロモーションを開始した。「自分を、もっと楽しむ力を。」をキャッチコピーとし、コネクテッドTVやWEBでの動画広告を中心に展開。
世界最大級のフィットネスジムチェーンであるエニタイムフィットネスは、日本国内で1,163店舗を展開し、会員数は90万人を超えている。
今回のプロモーションでは、自己実現をサポートする「ライフモチベートプレイス」としてのブランドイメージを強調し、8月1日にリリースした新機能「AFアプリ」も紹介している。また、2025年2月にはBSフジでフィットネスジムを舞台とした即興ドラマの放送も予定されており、2025年1月末までは全国店舗で特別入会キャンペーンも実施される。
楽天モバイルは、タレントの武井壮を起用し、同社の4G人口カバー率99.9%達成までの道のりを紹介する新ウェブCM「武井壮 巨大○○に挑戦!」篇を11月29日より公開した。新ウェブCMは、険しい山道での撮影を通じて、楽天モバイルの通信エリア拡大の軌跡を表現。撮影では実際の急斜面で武井壮自身が激走し、ドローンカメラを駆使した迫力ある映像が収められた。楽天モバイル公式TikTokでは、武井壮とのコラボ動画も同時配信している。
株式会社ネイチャーラボは、メンズヘアケアブランド「MARO17」の新アニメーションCMを2024年11月25日より全国で順次放映を実施した。
新CM「まだ、あきらめてないだろ?」篇では、メインキャラクターのテツ(声優:細谷佳正氏)に加え、朔千夜(声優:宮野真守氏)が新キャラクターとして登場し、テーマソングには東京スカパラダイスオーケストラが本CM用に書き下ろした新曲を提供している。CM放映に合わせて渋谷駅周辺でも広告が展開され、「あきらめるなよ、男だろ。」をブランドメッセージとするMAORO17は、独自処方のペプチドを配合したシャンプーやコンディショナーなどの製品を展開している。
LegalOn Technologiesは、AI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」の関西圏での認知度向上を目指し、2024年11月15日よりテレビCMとインフォマーシャルの放送を開始。このプラットフォームは、個人の経験や知識に依存しがちだった法務業務を一元管理し、企業全体の知見として活用できる仕組みを提供している。
2024年4月のサービス開始から半年という節目を迎え、関西圏の企業やビジネスパーソンへ向けたプロモーションを展開し、朝日放送テレビ、毎日放送、テレビ大阪の主要3局で11月15日から30日まで放送。また「報道ステーション」などの情報番組内でのインフォマーシャルも予定され、関西6府県全域をカバーする展開となっている。
株式会社Sales Markerは、顧客起点の営業手法「インテントセールス」を実現する『Sales Marker』の日本市場での更なる普及を目指し、タレントの斎藤工さん演じる熱血営業部長と営業部員が「これからの営業はインテントセールス」という記事との出会いから始まるストーリー展開を起用した新CMの放映を全国で開始。
このサービスは、520万社の企業データベースを活用し、企業の課題やキーパーソンの興味関心を把握することで、適切な営業アプローチを可能にしている。
今回のプロモーションではインテントセールスの実践によって、営業活動が単なる押し売りではなく、データに基づいた顧客起点の活動に進化していくことを表現。著名タレントを起用し、まだインテントセールスを認知していない層にも幅広く訴求することを目的に展開している。
株式会社フィネスは、俳優・アーティストの「のん」さんを起用したCM「のんとサジーベリー 甘くないぜ!人生は。」篇を11月16日より一部地域で放送。CMでは、のんさんの明るい表情と「甘くないぜ!人生は」というコピーを通じて、サジーベリーが元気と美しさを応援する、現代の生活に活力をもたらす健康飲料であることを印象付けている。
このプロモーションでは「人生にはいろいろあるけれど、前向きに元気に生きていく強さを持ってほしい」という思いをのんさんの表現を通して伝えることを意図。
株式会社フィネスは、CM放送と同時に2024年11月から企業広告にのんさんを起用し、グループ会社の「サジーワン」と連携してプロモーションを展開している。
リユースの高級時計やバッグ・貴金属を専門に取り扱う株式会社OKURAは、俳優の吉田鋼太郎さんを起用した新CMを公開した。CMは、愛用のブランド品を手放すことに悩みながらも、勢いよく「おおお~くら!」と叫びながらOKURAに駆け込む吉田さんのコミカルな演技が印象的だ。
このCMはWeb・タクシー広告・店頭サイネージで展開している。また、このCMと併せて、CMメイキング映像と吉田鋼太郎さんのインタビュー映像も公開された。
愛着のある品を手放す決断の難しさ、そしてOKURAがお客様の大切な品物を丁寧に査定するというOKURAの想いを感じるCMとなっている。
ブラザー工業株式会社は、特設サイトにて働く人々を応援する新しい企業CM「いい仕事しようぜ。」を公開した。CMでは、仕事に悩む若手社員2人が登場。学生時代の部活仲間という設定で、仕事で壁にぶつかりながらも、お互いを励まし合い成長していく姿が描かれている。
このCMで、オフィスのプリンターや生産現場の工作機械といったブラザー製品も登場。仕事を頑張る人たちをそばで支える存在であることを表現している。また、このCM公開と併せて、短縮版の企業CM「ここにブラザー。」シリーズも公開された。
今回のCMには、ブラザー工業株式会社の「目の前の仕事に全力で取り組むすべての人をすぐそばで支えたい」という思いが込められている。
株式会社Luupは、CMキャラクターに二宮和也さんを起用した初のテレビCMの放映を開始。CMキャンペーンサイトも公開し、東京・大阪にある一部のLUUPポートには二宮さんのグラフィック看板も掲出した。
「もう、フツーでしょ?」というセリフを通じて、日常の一部としてLUUPを使いこなす姿を二宮さんがリアルに表現。また、二宮さんの起用理由として、幅広い層から支持され、自然体で共感しやすいことに加え、実際にLUUPを愛用していることが重要なポイントになった。CMでは、電動キックボードや電動アシスト自転車が日常の移動手段として自然に溶け込んでいる様子を描きながら、同時に交通ルールやマナーの遵守の重要性も訴求している。
株式会社Luupは、幅広い年代に『自分も乗ってみよう』と感じてもらえるきっかけになることを期待し、今回のCMを展開している。
AGC株式会社は、女優の広瀬すずさんを起用したCM「突撃!クイズAGC/水素エネルギー篇」の公開を開始した。CMは、犬の散歩中に突然AGCのクイズが出題され、箱の中に入ったAGCの素材におそるおそる触れる広瀬すずさんが、その正体を当てるという内容。
AGCが様々な領域を支える「素材の会社」であることを、明るく元気に、そしてシンプルに伝えたいと考え、幅広い世代から支持されている広瀬すずさんを起用したそうだ。
CMは、AGCの特設サイトや公式YouTubeチャンネルで2024年10月18日から公開されている。
株式会社 明治は、発売30周年を迎える「銀座カリー」のリニューアルを記念し、お笑いコンビ・オードリーを起用したテレビCMを全国で放映開始した。新CMに加え、WEB CMや交通広告など、複数メディアでのプロモーション展開も実施。
テレビCMでは、銀座近郊出身の若林さんが銀座への愛着をインタビュー形式で語り、銀座カリーの「奥深い味わい」を表現。WEB CMでは、春日さんが「銀座カリー」役として登場する、ユニークな内容だ。同社は新CM放映に合わせ、銀座・入船・所沢で、3つの異なる交通広告も実施した。
明治では、今回のキャンペーンを通じて、30年の歴史を持つ銀座カリーの新たなブランド価値の創造と、若年層への認知拡大を図る方針だ。
アース製薬株式会社は、新製品のマウスウォッシュ「Damon(ダモン)」の新テレビCM「ラップ&ブレイキン」篇を放送開始した。同CMには、日本を代表するブレイクダンサーのShigekix(半井重幸)選手を起用している。
東京と大阪でピールオフ広告を展開し、渋谷駅構内のPickUpランキン 渋谷ちかみちと、Osaka Metro御堂筋線なんば駅の改札外通路壁面にて、スティックタイプの「ダモン リラックスミント(12mL 1本)」が無料でもらえる広告を掲出した。
駅広告においては、口臭に見立てた紫色のリーフレットをピールオフすると、爽やかな笑顔でポーズ(フリーズ)を決めるShigekixさんが出現するという仕掛けを用意。この独創的なアプローチにより、より多くの消費者に製品の特徴を印象的に伝えることに成功したようだ。
株式会社カゴメは、新商品「ごはんにかけるスープ」シリーズと「旨辛チリトマト鍋スープ」のCMに、人気ダンスボーカルユニット「新しい学校のリーダーズ」を起用した。
CMは、「あける、かける、たべる」篇と「必殺旨辛チリトマト鍋」篇の2種類。前者では、簡単でおいしい「ごはんにかけるスープ」の食べ方を、メンバーの個性的なダンスと表情で表現した。後者では、旨辛チリトマト鍋の様々なアレンジレシピを、コミカルな動きで紹介している。ワクワク楽しい!やってみたい!と思ってもらえるように工夫したという。
トマトを使った食事をもっと気軽に、そして楽しく味わってほしいというカゴメの思いが感じられる。
かどや製油株式会社は『かどやの純正ごま油』のWebCMの放映を開始しました。併せてかどや製油公式Xにてキャンペーンも実施。
今回のヨハネス・フェルメールの名作「牛乳を注ぐ女」をオマージュしたWebCMでは、『かどやの純正ごま油』を料理に直接、調味料としてかけることでお手軽に料理を美味しく仕上げる「ごま油を注ぎたい女」の姿が描かれている。誰もが見たことのある名画のオマージュというのはとてもユニークで、普段ごま油の広告に興味を持たない層にも響きやすいWebCMとなった。
WebCM放映と同時に公式Xでキャンペーンを実施するなど、若年層の認知度向上も狙った施策。幅広い層へ向けて商品の魅力を存分に伝えた事例だ。
デリバリーサービス「Wolt(ウォルト)」を展開するWolt Japan株式会社は、俳優の戸次重幸さんを起用した新テレビCMを北海道エリアで公開した。
第一弾CMでは直接顔に貼った正体不明の“あの人”がサービスの魅力を紹介。第二弾ではその正体を明かし、Woltステッカーを直接顔に貼った戸次さんがおすすめのお店を紹介していく内容となっている。
アプリ上で顧客が選べるお店が充実していて地域No.1である事実を背景に、北海道に絞って施策を展開し、Woltのサービスを地域に根ざした形で訴求している。北海道を代表する演劇ユニットTEAM NACSの戸次重幸さんを起用し、地域の親近感と信頼感を醸成するアプローチは非常に効果的であっただろう。
テレビCMとWEB CMの基本ガイドをご紹介します。広告手段としてのCMには、テレビで放送される従来型のテレビCMと、インターネット上で展開されるWEB CMがあり、それぞれの特性を活かした使い分けが重要になっています。テレビCMは「スポットCM」と「タイムCM」という2つの形式があります。
広告主が希望する曜日や時間帯を選んで放送できる形式です。例えば「平日の夜7時台」や「休日の午後」といった具合に、商品やサービスに最適な時間帯を狙って配信することができます。ただし、時間指定の範囲を細かくすればするほど、必要となる費用は増加する傾向にあります。
特定の番組に紐づいた広告です。選んだ番組の放送前後や番組の合間に広告を流すため、その番組を視聴している層に向けて効果的にアプローチすることができます。ゴールデンタイムなど、視聴率の高い時間帯の番組は広告費用も高くなりますが、その分多くの視聴者への露出が期待できます。
視聴者の属性や興味関心に基づいた細かいターゲティングが可能です。YouTubeやSNSなどのプラットフォームを通じて配信され、視聴データの分析や効果測定も容易に行えます。また、従来のTV CMと比べて制作費用や配信費用を抑えられることも特徴です。視聴者は好きな時に好きな場所で視聴でき、気になった商品やサービスにすぐにアクセスできる利点もあります。
テレビCMの強みは幅広い層に一度にリーチできる点ですが、細かいターゲティングが難しいというデメリットがあります。この課題に対して、地方局の活用やWEB CMとの組み合わせによるクロスメディア展開が注目されています。地方局でのCM展開であれば、地域を絞った効果的な宣伝活動が可能となり、WEB CMと組み合わせることで、より的確なターゲット層へのアプローチが実現できます。それぞれのメディアの特性を理解し、広告目的に応じて適切に使い分けることが、現代の広告戦略において重要なポイントとなっています。
CM事例からは、視聴者の心をつかむためのヒントが数多く見えてきました。それは必ずしも大きな予算や派手な演出だけでなく、時には小さな工夫や丁寧な表現の積み重ねによって生まれる感動があります。
放送時間が限られているからこそ、1つ1つのシーンに込められた想いや、ストーリーの組み立て方、音楽の使い方など、細部にまでこだわることで、視聴者の記憶に残る作品が生まれます。また、テレビCMとWEB CMの特性を活かし、メディアの垣根を超えた展開によって、より深い共感を得ることも可能になってきています。
本記事で紹介した事例が、次なるCM制作のきっかけとなれば幸いです。予算や条件は異なっても、視聴者の心に寄り添う表現を追求することで、新しい可能性は必ず開けるはずです。これからも、クリエイティブの現場から生まれる様々なアイデアに注目していきたいと思います。
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