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生成AI利用は2年で2倍に 広がる活用シーンと変わる利用者の意識
株式会社博報堂DYホールディングスのHuman-Centered AI Instituteは、全国の15~69歳の生活者を対象に2回目となる「AIと暮らす未来の生活調査」を実施した。この調査は、AIに対する現状の生活者意識や利用状況などに加え、将来的な期待や意向などを明らかにすることを目的としたものだ。
調査方法:インターネット調査
対象者:全国 15~69歳の男女
有効回答数:事前調査(49,529サンプル) 本調査(2,289サンプル)
調査期間:2024年10月
「AIに関する現在の状況」についての調査結果を見ると、2024年度の生成AI関連サービスの認知層は55.7%(推定4,270万人)に達し、前年度の28.7%(推定2,017万人)から大幅に増加した。
内訳を詳しく見ると、2024年度では月1回以上の利用層が17.9%(推定1,367万人)、過去経験層が11.1%(推定856万人)、利用なし認知層が26.7%(推定2,047万人)となっている。非認知層は44.3%(推定3,389万人)まで減少しており、これは前年度の71.3%から大きく低下している。
特筆すべき点として、2023年度から2024年度にかけて、実際の利用者(月1回以上利用層)の割合が8.0%から17.9%へと2倍以上に増加していることが挙げられる。このことから、生成AI関連サービスは急速に一般層への普及が進んでいることが見て取れる。
「生成AI関連サービス利用層のサービスの利用用途」に関する調査結果を見ると、2024年度において最も高い利用率を示したのは「文章作成・文章処理」で50.6%となっている。次いで「業務の効率化」が49.5%(前年比+17.6ポイント)、「翻訳作業」が49.4%(同+3.1ポイント)と続いている。
特に増加幅が大きかった項目として、「アイディア出し」が前年比+20.3ポイントと最も大きな伸びを示し、47.7%まで上昇している。また、「クリエイティブ作業」も37.5%(同+13.1ポイント)、「文章・記事・ドキュメントの要約」も46.5%(同+12.0ポイント)と大きく増加している。
一方で、「エンターテイメント・リラクゼーション」は28.4%と前年比-12.7ポイントの減少を示しており、唯一のマイナスとなっている。これは、生成AIの利用が娯楽的な用途から、より実務的・実用的な用途へとシフトしていることを示している。
「生活者におけるAIの存在」について、全体と生成AI利用層を比較した調査結果を見ると、全体では「自分にアドバイスを提供し、問題解決を手助けしてくれる存在」が64.0%で1位となり、次いで2位が「機械的すぎて、冷たい存在」(48.7%)、3位は「得体の知れない、不安を感じさせる存在」(46.3%)という回答が続いた。
一方、生成AI利用層の回答は、同じく「アドバイスと問題解決を手助けしてくれる存在」が83.2%と最も高く、2位は「自分を導き、サポートしてくれる先生または部下」(68.3%)、3位は「一緒に楽しみ、目標を共有できる仲間」(53.0%)となった。
この結果から分かるように、全体では否定的な認識である「機械的で冷たい」「不安を感じさせる」が上位に入っているのに対し、生成AI利用層ではポジティブな認識(「サポートしてくれる存在」「目標を共有できる仲間」)が上位を占めている。これは、実際に生成AIを使用してみることで、事前に抱いていた不安や懸念が払拭され、むしろ身近で有用なツールとして受け入れられていることを示している。
また、「安心感と支えを提供してくれる家族のような存在」については、全体では上位に入っていないものの、生成AI利用層では41.3%が選択しており、生成AIとの関係性がより親密なものとして捉えられていることが分かる。
「AIを活用できていると思いますか?」という問いに対する年代別調査結果を見ると、全体では20.3%がAIを活用できていると回答している一方で、年代による顕著な差が見られた。
最も高い活用率を示したのは10代で、63.6%が「AIを活用できている」と回答しており、全体平均を大きく上回った。次いで20代が35.1%、30代が25.1%と続き、年代が上がるにつれて活用率が段階的に低下していく傾向が明確に表れている。
この結果は、10代がデジタルネイティブ世代としてAIツールを自然に受け入れ、積極的に活用している様子を反映していると言えるだろう。
生成AI関連サービスの認知度は2024度に大きく上昇し、特に若年層を中心にAIツールの普及が進んでいることが明らかとなった。
今後、AIは幅広い年齢層への普及が進み、AIを「問題解決のパートナー」として受け入れる傾向が強まっていくだろう。現場での活用事例が蓄積され、効果的な活用方法が確立されていくにつれ、AIは私たちの仕事や生活に不可欠なツールとして定着していくものと考えられる。
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