
テレビCMというと、BtoC企業のものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかし最近では、BtoB企業もCM出稿に積極的になってきており、単なるブランディングではなく、商品宣伝や採用などテレビCMを活用する企業も増えています。
今回はBtoBをターゲットとした広告の事例をご紹介します。
BtoB企業がテレビCMを採用する理由
BtoB企業がテレビCMを活用する目的は、大きく以下の3つに分類されます。
1. 宣伝目的
製品やサービスの認知度を高め、潜在顧客へのリーチを拡大することが主な目的です。テレビCMは広範囲の視聴者に情報を届けることができ、特定の業界や企業の意思決定者だけでなく、関連部門の担当者や一般社員にも製品情報を伝えることが可能です。
2. ブランディング
企業のブランドイメージを強化し、信頼性や社会的信用を高めることを目的としています。テレビCMを通じて企業の理念や価値観を伝えることで、ステークホルダーや潜在顧客に対してポジティブな印象を与えることができます。また、タレントを起用することで注目度を高め、ブランド認知の拡大に寄与するケースもあります。野村総合研究所の調査によると、テレビCMが信頼できるという人は、全体の56%で、WEBCMより圧倒的に高くなっています。
3. 採用
消費者の目に触れづらいBtoB企業は、BtoC企業に比べると採用が苦しい傾向にあります。例えば新卒学生の場合、学生だけでなく、親が知名度の低さから不安を感じ、内定後に断られるケースもありえます。テレビCMは、求職者の応募意欲を高め、優秀な人材を確保すると同時に、求職者に対する安心感や信頼感の醸成にもつながります。
フジクラは、2024年10月3日から創業以来初となる全国ネットでのテレビCMを放映しています。若い世代を含めたすべての方に持ってもらうため、新たにブランドスローガン「つなげ、新しい世界線。」を掲げ、海外からの帰国者でフジクラに中途入社した40代の社員を俳優の長谷川博己さん、20代の先輩社員を出口夏希さんが演じています。
二人のタレントの掛け合いで、フジクラの魅力を伝えると同時に、中途社員・若手社員でも活躍できる雰囲気がCMから感じられます。
CM以外のBtoB手法については「BtoB広告について | 事例や効果、広告媒体11選」をご覧ください。
テレビCMのBtoB事例-製造・素材・建築・化学
AGC
「素材の会社」といえば「AGC」と答える人も多いのではないでしょうか?
AGC株式会社は、AGCは2021年2月より広瀬すずさんをCMキャラクターとして起用し続けてきました。2024年10月公開の「突撃!クイズAGC/水素エネルギー篇」では、広瀬さんが犬の散歩中に突然クイズを出題され、箱の中のAGCの素材に触れてその正体を当てるという内容です。
広瀬すずさんの起用理由について、AGCは「素材の会社」としてのイメージを明るく元気に、そしてシンプルに伝えるため、幅広い世代から支持される広瀬さんを選んだとのこと。彼女の若々しくエネルギッシュな姿勢が、既存の事業だけでなく新たな領域に挑戦し続けるAGCの方向性と一致しています。
大同特殊鋼
大同特殊鋼株式会社は、ラッパーのKREVAさんを起用。このCMでは、KREVAさんがラップを通じて同社の製品を紹介し、最後に「大同特殊鋼」と社名を強調しています。
ノバセル株式会社の調査によれば、このCMの放映により、2024年8月の指名検索数が過去のCMと比較して大幅に増加しました。特に、40代から50代の男性層での検索が多く、土日のプライムタイムでの放映が効果的であったと分析されています。
BtoB企業のCMにおいても、インパクトのあるクリエイティブが視聴者の関心を喚起し、企業認知度の向上につながることを示しています。
アイカ工業株式会社
アイカ工業株式会社は、生見愛瑠さん(通称:めるる)を起用。コア技術である「化学」と「デザイン」、そして創業以来の「変幻自在」な企業姿勢を表現しています。
アイカ工業は、国内シェアNo.1のメラミン化粧板や塗り壁材「ジョリパット」などの製品を提供していますが、一般の認知度向上を目指して今回のCMを制作しており、めるるの起用により、幅広い世代へのアピールを図っています。
DIC株式会社
株式会社広川製作所
テレビCMのBtoB事例-スタートアップ
TOKIUMインボイス
株式会社TOKIUMは、俳優の永山瑛太さんとガールズユニットAMEFURASSHIの愛来さんを起用。経費精算や請求書処理の課題をユーモラスに描いています。
怪獣退治後の打ち上げを、隊員は「月末で経費精算がある」と断る一方で、永山隊員はスマホでの簡単な経費精算を自慢げにアピールし、余裕の表情を見せることによりサービスの利便性を訴えています。
SmartHR
株式会社SmartHRは、積極的にCMを活用しているスタートアップです。2024年11月15日よりクラウド人事労務ソフト「SmartHR」の新テレビCMを放映開始。俳優の天海祐希さんがスマートな経営者役を、お笑いコンビ「男性ブランコ」の浦井のりひろさんが人事部長役を演じ、ユーモアを交えながら「SmartHR」の利便性と魅力を伝えています。
「SmartHR」は、労務管理クラウド市場で6年連続シェアNo.1を誇るサービスです。CMによりタレントマネジメントの重要性や「SmartHR」の使いやすさを中心に訴求しています。
formrun
株式会社ベーシックは、フォーム作成管理ツール『formrun(フォームラン)』の初となるテレビCMを2024年10月から福岡エリアで放映開始。女優の筧美和子さんが『formrun』の化身としてイメージカラーの衣装をまとい出演し、アンドロイド風の雰囲気でフォーム作成に課題を抱える人々を解決へと導くキャラクターを演じています。
LegalOn Cloud
サービス開始から半年という節目に、関西圏の企業やビジネスパーソンに向けた積極的なプロモーションを展開しています。
テレビCMのBtoB事例-物流
NXグループ
テレビCMのBtoB事例-IT・その他
マネーフォワードクラウド
株式会社マネーフォワードは、バックオフィス向けSaaS『マネーフォワード クラウド』の新テレビCM「バックオフィスメドレー」シリーズを2024年10月より放映開始。 2022年に放映された第一弾シリーズ「ベストヒット」のコンセプトを継承しつつ、近年のインボイス制度や電子帳簿保存法、働き方改革関連の法改正による業務負荷の増加を背景に、バックオフィス業務従事者の相談パートナーとしての存在感を示すことを目的としています。
Safie
セーフィー株式会社は、創業10周年にクラウド録画サービス「Safie」の新たなテレビCMを開始しました。 このCMは、大阪府を拠点に全国展開するお好み焼・鉄板焼「千房」の店舗で撮影され、同社が全直営店舗にセーフィーのクラウドカメラを導入している事例を紹介しています。実際の活用風景を映すことで、Safieブランドへの安心感・信頼感を醸成することを狙いつつ、知名度の高い飲食店様での導入事例を示すことで、全店舗運営者様に自分事として捉えていただけるような表現を心がけているとのこと。
スーパーデリバリー
株式会社ラクーンコマースは、運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」の初となるテレビCMを、2023年9月20日より放映開始。「スーパーデリバリー」は、アパレルや雑貨、家具、生活家電、食品など約150万点の商品を取り扱うBtoB企業。今回のCMでは、実際に「スーパーデリバリー」を利用している3店舗にインタビューを行い、仕入れの方法や「スーパーデリバリー」を活用するメリットを紹介しています。小規模店舗が顧客一人ひとりと向き合いながら、必要な時に必要な商品を手に入れる様子をリアルに伝えています。
プランソナー
TUNAG
まとめ
近年、BtoB企業がテレビCMを積極的に活用する動きが加速しています。従来のブランディングにとどまらず、製品・サービスの認知度向上、優秀な人材採用、そして企業信頼性の強化など、多岐にわたる目的でテレビCMが採用されています。
事例を見ても、各社が自社の特徴や課題解決に合わせて、クリエイティブな方法でCMを展開していることがわかります。例えば、AGCや大同特殊鋼のようにインパクトのあるタレントや手法を取り入れたものから、Safieやマネーフォワードのように実際の利用シーンや課題解決を訴求したもの、さらにはスーパーデリバリーのようにユーザー事例をリアルに描いたものまで多種多様です。
BtoB企業がテレビCMという媒体を通じて新たなターゲット層へのアプローチを模索し、より広範囲な視聴者層に情報を届けることに成功していることを示しています。BtoB企業のCM活用はこれからも活用が進むと予測されます。是非参考にしてください。

