全国農業協同組合連合会(JA全農)は、スキムミルクの認知拡大と利用促進を目的とした体験型施策として、マッチョ店員が接客するコンビニエンスストア「マッスルマート」を東京・渋谷にて展開した。企画・制作は面白法人カヤックが手がけ、2026年3月28日と29日の2日間限定でオープンした。

背景には、スキムミルクの消費低迷と在庫増加という課題がある。バター需要が堅調に推移する一方で、スキムミルクは用途の認知不足から家庭での利用が広がりにくい状況が続いている。酪農業界の持続可能性を支えるためには、新たな食シーンの創出と価値訴求が不可欠であり、「高たんぱく・低脂質」という機能的価値を日常的に取り入れる提案を行う必要があった。本施策はその解決策として、「新しいサステナブルな健康習慣」を打ち出した取り組みと位置付けられる。
会場では、コンビニという日常的な空間をベースに、筋肉をテーマとした複数の体験コンテンツを展開した。体重や運動習慣から必要なたんぱく質量を算出する「マッスルATM」や、食事とたんぱく質摂取量の関係を可視化する「マッスルセルフレジ」など、機能理解を促す仕掛けが用意されている。また、マッチョ店員との撮影体験やフリーペーパー配布など、楽しみながら情報に触れられる構成となっている。さらに、スキムミルクを使用した筋肉型パンや飲料の無料配布を実施し、味覚体験を通じて商品の価値を直接的に伝えた点が特徴だ。店員を務めた筋肉紳士集団「ALLOUT」によるパフォーマンスも含め、来場者の参加意欲を高める設計となっている。
高たんぱく・低脂質という機能的価値は、言葉で説明しても伝わりにくい側面があるが、筋肉という“結果”を象徴的に見せることで、直感的な理解へと転換している点が特徴。スキムミルクという一見地味な商材に対し、筋肉という強いビジュアルとストーリーを掛け合わせることで関心を喚起した事例である。コンビニという日常空間にマッチョという非日常的存在を配置することで強い違和感を生み、自然と視線と体験を引き寄せる構造となっている。
