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”疑問を持ち続けられる”人が活躍できるリスティング運用
誰もが気になるリスティング広告の運用のコツ。
特に運用に慣れていないうちは、成果が出ないときや成果を出す方法について知りたいと思うのではないでしょうか。
アドクロ編集部ではリスティング広告を中心とした運用型広告でこれまで多大な成果を出されている株式会社キーワードマーケティングに、リスティング広告運用の秘訣について迫りました。
改善されないのは”相対評価”ができていないから
編集部:CVR(コンバージョン率)などの重要指標が改善されないアカウントの共通点は何かありますか?
田代:相対評価ができていないことだと予想しています。この相対評価というのは所謂「どの数値であれば大丈夫」という基準のことですね。CVRもそうですし、それに繋がるクリック率とかもそうですけど数値がどの水準まで届くと良いのかという判断が初心者の方であればあるほど難しいと思っています。
よくあるのは相対的に見てCVRが悪いにもかかわらず、先にクリック率の改善を行ったりすることです。
CVR改善が目的であれば本来はターゲットに合う人のためのLPを作って、ターゲットをそのLPに呼び込むという作りが大切なんですが、クリック率が問題と捉えてしまって別の方向に改善策を走らせてしまう。これって、結局どの指標の数値が悪いのかが相対的に分からないからこそ起こる問題なんですね。
編集部:その相対評価が自分でできるようになるにはどうすればいいのでしょうか?
田代:正直すぐに解決するのは難しいと思います。時間をかけてデータを貯めていくのが1番かなと。
もし前任者がいて、ある程度運用がされている状態であれば過去分のデータを参考にして平均値を出したりできるとは思いますが、前任がおらずアカウントも始めて開けるようなパターンの場合はすぐに改善はちょっと難しいですね。
運用者は常にフラットなマインドであれ
編集部:リスティング広告の運用者にとって必要な素養はどのような物があると思いますか?
【キーワードマーケティング 広告事業部 シニアマネージャー 田代氏】
田代:3つあると思います。
1つ目は疑問を持てるかどうかですね。疑問を持つことからスタートしないと数値や運用の改善ができないんですよね。
実際弊社で活躍している人も共通してこの特徴を持っていると思います。それこそクリック率を見たときに「これって良いんだっけ?」「昔と比べると良化したけどなぜなんだっけ?」を常に考えないといけないので、ある種正解のない世界で疑問をもって考え続けないといけないんですね。
2つ目は物事を多角的に見れるかどうかです。疑問を持った後にそれに対する回答の選択肢を多く持てるほうが成果に繋げやすいんですよね。自分のアカウントの運用方針や設定の見直しはもちろん、競合のアカウントのトレンドを知ったり色んな角度から解決策を探せる人はやっぱり成果を出せている印象です。
3つ目は施策の振り返りを行って求めていた結果が出なかった時にマインドをフラットな状態に戻せるかどうかです。
当然ですが実行する施策は100%正解だと思って実行するんですが、時には外れてしまうこともあるんですね。その際に自分の施策が間違いなのではなく「データにブレが出てしまっただけだ」と環境要因のせいにしてしまうと本質的な物事の解決には繋がりません。
効果が出ないのであればそれはそれで事実として受け止めて、またフラットな気持ちに戻して最適な施策は何かを考えなければいけないです。
自分が正解と思ったことに対してデータから否定されるので、そこから気持ちを戻すのは意外と難しいんですけどね(笑)
編集部:経験が少ない方であれば気持ちをフラットに戻すのはさらに難しそうですね。
田代:年齢や経験は実はあまり関係なく、ここは完全にその人次第ですね。若いからと言って気持ちのコントロールがしにくいなんてことはないと思いますし、どれだけ気持ちを切り替えて次の施策を考えられるかどうかです。
編集部:運用担当者として結果を出し続けるにはどうすればいいですか?
田代:一喜一憂しないことですね。その時その時のトレンドもありますし多少ブレが生じてしまうのは広告の世界では仕方のないことなんですよね。
それを「過去はこの方法が上手くいったから今回も上手くいくはず」と頑固になってしまうといい結果は出せないですし、1度の成功体験を長く引きずってしまうとこの頑固というところに繋がってしまうので、先ほどの話にも通ずるところですが気持ちを常にフラットに保ち続けるのは本当に大切です。
とはいえ現在も広告の成果が出ていなくて焦っている方もいるかもしれませんが、正直運用のプロでさえ1カ月、2か月結果が出ないなんてことはありますからね。
物凄く運用が上手いと言われている人でさえ、必ずブレは出てしまうものです。月に億単位の金額で運用をしていれば安定はしやすいですが、それ以下の金額の運用であれば大前提、月ごとに多少のブレが出てしまうのは仕方ないという一喜一憂しないマインドは持っていてほしいと思います。
中小企業の強みを活かしてできる施策
編集部:実際の運用の中で効果が大きく改善した事例はありますか?
田代:LPの改善で数値が回復した事例は結構ありますね。広告の成果を上げるには、やっぱりクリック率や他の指標よりもCVRが大切でして、そのCVRに直結する部分となると最終的にユーザーがたどり着くページ、つまりLPなんですよね。
特定のキーワードのクリック率を改善する方法もありますが、LP改善からCVRに繋げるほうがインパクトとしては大きいのでおすすめしたいですね。
編集部:実際にLP改善を行っている会社は多いですか?
田代:あんまりいない印象です。特に大手の企業様になると、少し改善するのにも色んな部署から承認を得たりする必要があるので、なかなか柔軟に動けないという事情もあると思います。だからこそ中小企業の方は本来LPを変えて実験して、を繰り返してほしいなと思います。
編集部:具体的にLPを改善するのにまずはこれからやろう、というものはありますか?
田代:1番簡単なのは、良いと思った他社のLPを探して参考にすることですね。出来れば競合がいいですけど、競合でなくとも担当者が良いと思ったLPを見つけてください。
編集部:LPを「良い」と思うのは担当者の感覚ベースでいいですか?
田代:まずは感覚ベースでいいと思います。もちろん、何が良いと思ったのか言語化したり、実際そのLPを真似してみた結果数値がどう動いたのかをテストしていく必要はありますが、スタートの段階では感覚ベースでよいと思います。ただし、そっくりそのまま酷似したものを真似ると参考にした企業様からクレームが来る可能性もあるため、そこの節度は守っていただくようにお願いしたいですね。
Cookieは引き続き使用可能になる
編集部:2024年後半の広告トレンドについて教えてください。
田代:2024年は元々Cookie規制による対策をどう行うか、に焦点が当たっていたと思います。ただ、先日Googleから正式に「3rd Party Cookie規制の撤回」というアナウンスがありました。
そのため、少しトレンドとはずれますが、今後もCookieを使った分析ができるということになりそうなので、前述した運用担当者としての経験や勘を養うためにひたすらPDCAサイクルを回しつつ、GAやその他分析ツールをフル活用して、広告運用を行うのが良いかと思います。
また媒体やメニューというところでいえば、やはり基本はこれも今までにお伝えしたように、検索、リマケが中心になってくるかと思いますが、商材によっては若者をターゲットするものもあると思います。その場合は”検索離れ”がキーになるような気がします。
20代の特に前半のユーザーはGoogleなどの検索エンジンで検索をかけることなく、InstagramなどSNSで検索をする(もしくは情報収集をする)というケースが増えています。今後この世代が経済の中心となり、それが当たり前となる日が来るかもしれません。
2024年急に加速することはないかもしれませんが、どこかのタイミングで訪れるかと思います。あくまで優先順位は検索広告で今は良いと思いますし、中小企業の限られた予算でTiktokやInstagramへの予算投下は難しいかもしれませんが、情報のキャッチアップはおすすめします。
編集部:運用者の方にプロからのアドバイスはありますか?
田代:あまり悲観的になりすぎなくていいよ、ということですね。
失敗するときはあると思いますが、その時に自分まで大きく落ち込んでしまうのは少し勿体ないというか、代理店に勤めている人間ですら上手くいかないときはあるので気にしすぎることなくチャレンジを続けてほしいですね。
編集部:今後の御社の展望について教えてください。
田代:序盤でご紹介した「キーマケのブログ」の成長ですね。キーマケのブログは2018年に運営開始後、有り難いことに順調にPV数も伸び、会社の知名度向上にも大きく繋がりました。第1、第2フェーズである立ち上げ期・成長期を経て、第3フェーズである現在は、メディア運営の難しさをまさに感じているところです。
ブログ経由の問い合わせ数は年々増えていますが、複数の新規メディアが参入していることもあり、PV数を高いレベルで保つことが難しくなっています。対策として、ペルソナの設計や読者インタビュー、お客様の一次情報を元にしたテーマの選定などをおこない、日々改善に取り組んでいます。ブログは会社とお客様を繋ぐ重要な役割を持っているので、事業の根幹として今後も価値ある情報提供をおこなっていく所存です。
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