
クリニックのチラシは、開院や移転のお知らせ、診療時間や受診方法の案内を地域の方へ届ける広告です。医院の場所と診療科に加え、地図や予約方法まで一枚にまとめられるため、医院を知ってから受診を検討する際の案内として活用できます。
ただし、チラシを作るだけでは、届けたい方に届くとは限りません。新聞折込とポスティングでは配布先や日程の決め方が異なり、同じ部数でも、選ぶ地域によって医院への通いやすさが変わります。
この記事では、クリニックのチラシに載せる情報、デザイン、配布方法とエリアの選び方、費用、医療広告の注意点、制作から配布までの流れを解説します。
クリニックのチラシは、知らせたい内容を決めてから作る
制作を始める前に、「何を知らせるチラシか」を決めます。開院日を知らせる場合と、すでに開院している医院の診療案内を届ける場合では、見出しや情報の順番が変わります。
| チラシの目的 | 目立たせたい情報 | 合わせて伝える情報 |
|---|---|---|
| 開院のお知らせ | 開院日・医院名・診療科 | 所在地、地図、診療時間、予約方法 |
| 内覧会の案内 | 開催日・時間・会場 | 参加方法、予約の要否、開院日との違い |
| 移転のお知らせ | 移転先・新住所での診療開始日 | 新旧の位置関係、入口、連絡先 |
| 地域への診療案内 | 医院名・診療科・診療時間 | 受診方法、所在地、駐車場などの案内 |
開院日と内覧会の日程を分ける
開院前に内覧会を行う場合は、「診療が始まる日」と「院内を見学できる日」を別々に表示します。日付だけを大きく載せると、どちらの案内か分かりにくくなるため、「開院」「内覧会」の見出しと日付をセットにしましょう。
内覧会への参加予約と診療予約の窓口が異なる場合も、案内を分けます。診療予約を受け付ける開始日が決まっているなら、その日付も確認できるようにします。
診療案内は、受診する際に必要な情報を中心にする
開院後のチラシでは、診療科、診療日・診療時間、所在地、予約方法などを整理します。受け取った方が「何科の医院か」「いつ、どこへ、どう予約して行けばよいか」を判断できることが大切です。
診療内容を詳しく紹介する場合は、医療広告として掲載できる範囲を確認します。治療への不安を強くあおる表現や、効果を保証する言葉に頼らず、受診先を選ぶための正確な情報を伝えましょう。
クリニックのチラシに載せる情報とデザインのポイント
医院名・診療科・所在地・診療時間をそろえる
医院名と診療科は、チラシを見たときにすぐ分かる位置へ配置します。そのうえで、所在地、地図、診療時間、休診日、電話番号、予約方法を整理します。住所だけでは入口が分かりにくい場合は、建物名や階数、目印も加えます。
診療時間の表では、曜日ごとの違いや受付終了時刻を確認します。土曜日の午後だけ時間が異なる場合などは、注記が小さくなりすぎないようにし、ホームページの情報ともそろえます。
表面で用件を伝え、裏面で詳しく案内する
両面チラシなら、表面に開院のお知らせと医院名・診療科、裏面に詳しい診療時間やアクセス、予約方法をまとめる構成が考えられます。表裏のどちらを先に見ても医院が分かるように、医院名や連絡先の配置も検討します。
例えば、表面の上部に「開院日」、中央に「医院名・診療科」、下部に「所在地と予約案内」を置くと、制作時に情報の優先順位を決めやすくなります。これは構成の一例であり、内覧会や移転を主題にする場合は、先に伝える内容を入れ替えます。
チラシは、情報を減らすだけでなく読み分けやすくする
遠くから見る看板と異なり、チラシは手元で確認できる媒体です。診療時間や地図まで削るのではなく、見出し、余白、表を使って必要な情報を探しやすくしましょう。
色や文字サイズの種類を増やしすぎず、開院日、医院名、診療案内、アクセスなどのまとまりをつくります。デザインを確認する際は、画面で拡大するだけでなく、実際に配る大きさで印刷し、文字と地図が読めるかを確認します。
地図と予約案内は、初めて来る方の目線で確認する
地図には、最寄り駅の出口、主要な交差点、入口がある側など、来院に必要な情報を優先します。車での来院を想定する場合は、医院の位置と駐車場の入口が異なるかも確認します。周辺の建物を細かく描くことより、経路を迷わず追えることが大切です。
予約ページへ案内する二次元コードには、「診療予約はこちら」など、読み取った先で何ができるかを添えます。電話番号や所在地も併記し、スマートフォンを使わない方にも受診方法が分かる形にします。印刷前には、実寸の原稿から正しいページへ進めるかを確認しましょう。
新聞折込とポスティングは、届く相手と日程で選ぶ
新聞折込は、選んだ新聞の購読者へ新聞とともにチラシを届ける方法です。ポスティングは、指定した地域の配布可能な郵便受けなどへ投函する方法で、新聞を購読していない世帯にも届けられます。どちらが常に優れているというものではなく、届けたい地域と配布条件を比べます。
| 配布方法 | 届け方・主な特徴 | 確認したい条件 |
|---|---|---|
| 新聞折込 | 選んだ新聞の配達に合わせてチラシを届ける | 新聞銘柄、販売店の配達区域、部数、折込可能日、納品期限 |
| ポスティング | 対象地域の配布可能な郵便受けなどへ投函する | 配布区域、対象建物、配布期間、禁止物件などの除外条件 |
| 地域情報誌・フリーペーパーへの折込 | 地域の情報誌などにチラシを挟み込んで届ける | 家庭配布か設置型か、配布区域、発行日、折込の可否、原稿条件 |
新聞折込は、購読世帯と配達区域を確認する
新聞折込を検討する際は、医院の周辺を担当する販売店の配達区域と、新聞ごとの部数を確認します。市区町村名が同じでも、医院から通いやすい地域だけに細かく分けられるとは限りません。
内覧会など日程が決まっている告知では、希望日に折り込めるかと、印刷物をいつまでに納品するかを先に確認します。新聞休刊日や地域ごとの配送条件もあるため、制作・印刷の締切と合わせて計画します。
ポスティングは、全世帯へ届く前提にしない
ポスティングでは、配布禁止の建物や立ち入りができない集合住宅など、対象地域内でも配布できない場所があります。地域の世帯数と、実際に注文できる配布部数は同じとは限りません。
サービスによっては、戸建てや集合住宅などの建物種別を選べます。ただし、建物種別を選ぶことと、住民の年齢や家族構成を指定することは異なります。届けたい方に合う地域かを考えたうえで、指定できる条件を確認しましょう。
例えば、ラクスルの公式案内では、標準配布などは全戸配布ではなく、地域により選べる配布方法が異なること、指定した期間内に配布することが示されています。特定日に届く前提の告知は、利用するサービスの条件を確認してから制作します。
複数の配布方法を使う場合は、重なりを確認する
新聞折込とポスティングを併用する場合、同じ世帯に両方が届く可能性があります。合計の配布部数を、そのまま届いた世帯数として扱わないことが大切です。
繰り返し知らせることを目的に重ねるのか、別の地域へ広げるのかを決めます。地域情報誌への折込も、家庭への配布と店頭設置では届き方が異なるため、発行部数だけで比較しないようにしましょう。
クリニックのチラシを配る地域・部数・時期の決め方
医院からの距離だけでなく、通いやすい経路を見る
配布地域は、医院を中心に一律の半径で決めるのではなく、住宅地、駅、道路、河川などとの位置関係から考えます。近くても線路を越える必要がある地域と、少し離れていても一本道で通える地域では、来院のしやすさが異なります。
すでに開院している場合は、把握できる範囲の来院地域や利用駅を参考にできます。開院前なら、周辺の住宅分布や交通手段を整理し、配布会社から提示される区域図と照らし合わせます。
配布部数は、配れる地域を確認してから決める
先に印刷部数だけを決めると、希望地域では配りきれなかったり、部数を消化するために遠くまで広げたりすることがあります。まず配布可能な区域と部数を確認し、院内で使う分などを加えて印刷枚数を決めましょう。
予算内で全域をカバーできない場合は、医院に通いやすい地域を優先する案と、複数回に分ける案を比較します。何回配ればよいか、何部なら効果が出るかを一律に決めず、目的と期間に合わせて組み立てます。
内覧会や開院の告知は、配布完了日から逆算する
開催日があるチラシでは、配布を始める日だけでなく、配り終える日を確認します。配布期間の途中で内覧会が終わってしまうと、届いた時点で案内が使えない世帯が生じます。
配布完了後に受け取った方が予定を検討できる時間を取り、その日程から印刷・納品・審査・原稿確認の期限を逆算します。何日前が最適かは、配布方法や告知内容によって変わるため、すべての医院に共通の正解はありません。
クリニックのチラシ制作・配布にかかる費用
チラシの費用は、デザイン、印刷、配布を合わせて確認します。広告として届けるための総額と、単にチラシを印刷する費用を混同しないことが大切です。
| 費用の項目 | 金額が変わる主な条件 | 見積もりで確認すること |
|---|---|---|
| 企画・デザイン費 | 片面・両面、原稿作成、写真撮影、地図制作、修正の範囲 | 支給する素材、制作する範囲、校正・修正の回数 |
| 印刷費 | サイズ、紙質・厚さ、色数、部数、納期 | 配布用と手元に残す部数、折り加工、納品先 |
| 配布費 | 配布地域、部数、新聞銘柄、対象建物、配布期間など | 配布可能な区域・部数、配布条件、報告方法 |
| 配送・加工等 | 納品場所、梱包、折り加工、追加作業など | 基本料金に含まれる範囲、別途費用、税の扱い |
公開料金の例は、含まれる作業を確認して読む
新聞折込を扱うevoliaの公式サイトでは、B4チラシを世田谷区で30,000部配布する例として、単価3.40円、配布料102,000円(税抜)が掲載されています。単価には1枚0.10円の配送料が含まれ、印刷費用は別途とされています。
この金額は同社が掲載している配布料金の例であり、クリニックのチラシをデザイン・印刷して配る総額ではありません。また、医院周辺で同じ部数を配布できることや、現在この条件で申し込めることを保証するものではないため、希望する区域・仕様・日程で見積もりを取ります。
出典:evolia「はじめての折込広告」。2026年10月8日の公開情報確認時点。
印刷と配布がセットの料金は、二重に計上しない
印刷と配布をまとめて申し込むサービスもあります。例えば、ラクスルでは希望地域や日程などを選ぶと、印刷と配布を含む合計金額が表示される仕組みです。別途印刷する前提の見積もりと比べる際は、費用に含まれる範囲をそろえましょう。
参考:ラクスル「よくある質問」
総額は「企画・デザイン費+印刷・加工費+配布費+その他必要費用」で整理できます。セット料金の項目を重複して足さず、追加で必要な費用を確認します。部数を増やす場合も、単価だけでなく支払総額と配布範囲の広がりを見て判断します。
クリニックのチラシで確認したい医療広告のルール
事実であっても、何でも掲載できるわけではない
不特定多数へ配布するクリニックの広告チラシでは、医療広告として掲載できる事項に制限があります。医院名、所在地、広告可能な診療科名、診療日・診療時間などを正確に記載し、資格や治療内容を紹介する場合は、それぞれの要件を確認します。
虚偽・誇大広告、他院より優れているとする比較優良広告、患者等の主観や伝聞に基づく治療内容・効果の体験談などは禁止されています。「必ず治る」といった効果を保証する表現や、根拠のない優位性の強調は使わないようにします。
ホームページの文章や口コミをそのまま転用しない
ホームページ等には一定の要件で広告可能事項の限定を解除できる仕組みがありますが、その掲載内容を一般配布のチラシへそのまま使えるとは限りません。予約サイトや口コミサイトに載っている内容も、チラシに掲載できるかを別に確認します。
チラシに二次元コードを付けても、チラシ自体の広告可能な範囲が広がるわけではありません。読み取り先のホームページとチラシの両方について、掲載内容を確認しましょう。
内覧会の告知も、掲載する内容を確認する
厚生労働省の医療広告等ガイドラインに関するQ&Aでは、開院前に住民向けに行う内覧会の実施に関する事項は、広告可能とされています。ただし、内覧会の案内であればどのような治療表現でも使えるという意味ではありません。日時・会場・参加方法と、医院や診療の紹介内容をそれぞれ確認します。
出典:厚生労働省「医療広告等ガイドライン」、「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」Q3-8。個別の表現に迷う場合は、所管自治体の相談窓口に確認します。配布会社や新聞社等の審査条件も、印刷前に共有しておきましょう。
チラシの制作から配布までの流れ
1.目的・配布地域・完了希望日を整理する
開院告知、内覧会、移転案内などの目的と、届けたい地域、配布完了の希望日、予算を決めます。配布方法と部数の候補を先に確認すると、印刷後に条件が合わない事態を避けやすくなります。
2.掲載する情報と制作範囲を決める
医院名、診療科、日付、診療時間、所在地、連絡先などの確定情報を用意します。ロゴ・写真・地図の支給範囲、片面か両面か、修正の回数や担当者も確認します。未確定の内容は、いつ確定させるかを決めておきましょう。
3.審査と校正を済ませてから印刷する
広告表現と配布会社の条件を確認したうえで、日時・曜日、住所、電話番号、診療時間、地図、予約先を照合します。二次元コードは実寸で読み取り、印刷原稿とホームページの情報が一致するかも確認します。
原稿を印刷へ進める最終承認の期限を決め、誰が確認したかを共有します。印刷後の変更は刷り直しや追加費用につながるため、見た目の確認と記載内容の確認を分けて進めると整理しやすくなります。
4.納品と配布結果を確認する
配布会社が指定する数量・場所・納品期限に合わせて印刷物を届けます。配布終了後は、報告書等で実施期間や部数、配布できなかった区域などを確認します。提供される報告内容は会社やサービスによって異なるため、申し込み時に確かめておきましょう。
配布後は、閲覧・予約・来院を分けて確認する
チラシの二次元コードからのアクセスは、予約や来院そのものではありません。一方、チラシを見て医院名を検索した方や、電話で予約した方は、コードの読み取りだけでは把握できません。
チラシ用の案内URLや、来院時の任意の質問を使い、どのような経路で医院を知ったかを確認します。地域や配布時期を比較したい場合は、配布区域・期間・部数・原稿を記録し、ほかの広告を実施した時期も残します。
反響率を計算する場合は、何を反響として数えるかをそろえます。「チラシを見たと回答した予約件数÷配布部数」と「案内ページへのアクセス数÷配布部数」では、意味が異なります。医院や配布条件を問わず使える反響率として、根拠のない数値を置かないことが大切です。
受診する必要が生じたときにチラシを思い出す場合も考えられます。配布直後だけで評価せず、目的に合わせた確認期間を決めて、次回の地域や原稿、配布方法の見直しに活かしましょう。
クリニックのチラシ制作・配布を相談するときに
相談時は、医院の所在地、診療科、知らせたい内容、希望する配布時期、予算を伝えます。開院日や内覧会の日程、使えるロゴや写真があれば、合わせて共有すると制作と配布の検討を進めやすくなります。
アドクロでは、広告事例の知見と全国の媒体情報をもとに、医院の目的・地域・予算に合う広告をご提案します。媒体費30万円から、チラシを含む媒体選定、制作、出稿までご相談いただけます。制作費等は別途となります。
チラシ以外の媒体も比較したい方は、クリニック広告の選び方もご覧ください。
まとめ
クリニックのチラシは、医院の存在だけでなく、診療時間や場所、受診方法までまとめて届けられる広告です。何を知らせるかを決め、必要な情報を読み分けやすく整理することから始めましょう。
新聞折込とポスティングでは、届く世帯や配布日程の条件が異なります。医院へ通いやすい地域と配布可能な部数を確認し、制作・印刷・配布の総額、医療広告のルール、配布後の確認方法までそろえて計画します。
