
クリニックの開業広告は、地域の方に医院の存在と開院日を知らせ、診療内容や場所を確認できるようにするための取り組みです。チラシや看板、Web広告などの媒体を選ぶ前に、誰に何を伝え、どこで詳しい情報を見てもらうかを整理しておくことが大切です。
開院前は、工事や採用、各種手続きと並行して広告を準備することになります。日程や診療時間が変わる可能性もあるため、制作・審査・掲載の期限と、情報を確定する時期を合わせて考えましょう。
この記事では、クリニックの開業広告の進め方、媒体の選び方、予算配分、内覧会の告知、医療広告の注意点を解説します。
クリニックの開業広告で最初に決めること
地域の誰に医院を知ってもらうか
広告を届ける範囲は、医院を中心とした距離だけで決めず、通院する方の移動手段や生活圏を踏まえて考えます。駅から歩いて来院する地域と、車での来院を想定する地域では、候補となる場所や配布エリアが変わります。
例えば、駅前のクリニックなら利用する駅の出口や通勤経路、住宅地のクリニックなら周辺の生活道路や住宅の分布が検討材料になります。これは媒体選定の考え方の例であり、診療科だけで広告の範囲や方法が一律に決まるわけではありません。
開院前と開院後の目的を分ける
開院前は、医院名・診療科・所在地・開院予定日を知らせることが基本です。内覧会を開催する場合は、その日時や参加方法も案内します。予約受付を始める場合は、予約できる診療日と受付開始日を区別して伝えましょう。
開院後は、診療時間やアクセス、予約方法など、受診を検討する方が必要とする情報を継続して届けます。「開院します」と知らせる広告と、普段の診療を案内する広告では、掲載する情報や使用する期間が異なります。
広告を見た後の確認先を用意する
広告からホームページへ誘導する場合は、広告の掲載開始までにホームページを公開します。サイトでは、住所、地図、診療時間、休診日、連絡先、予約方法を確認できるようにしておきましょう。準備中の項目がある場合も、確定した情報と未確定の情報を混同させないことが大切です。
予約フォームや電話番号を載せるなら、受付できる状態かを事前に確かめます。受付開始前に公開する場合は、「予約受付は○月○日から」など、利用できる時期を明記します。
開業広告の準備は掲載希望日から逆算する
広告の準備期間は、媒体の空き状況、原稿審査、印刷・製作、配布や施工の条件によって異なります。「開院の何カ月前なら必ず間に合う」と考えず、開院日と希望する掲載日を伝えて、媒体ごとの期限を確認しましょう。
段階
進めること
確認しておきたいこと
計画を立てる
広告の目的、対象エリア、全体予算、候補媒体を整理する
開院予定日、予約受付開始日、内覧会の有無
掲載・配布条件を確認する
空き枠、審査、原稿提出、製作・配布の日程を確認する
申込期限、変更・キャンセル条件、必要な素材
情報を確定して制作する
ホームページや原稿、地図、予約案内を制作する
医院名、所在地、診療時間、連絡先の表記統一
掲載・配布を始める
公開や掲出、配布の開始・完了を確認する
リンクやQRコードの遷移先、予約受付の稼働
開院後に更新する
開院告知を通常の診療案内に切り替える
終了したイベント情報、診療情報の変更、契約更新日
日程の変更が起きた場合の対応も決めておく
印刷や看板の製作が進んだ後は、原稿の差し替えに費用や時間がかかることがあります。開院日などが未確定の場合は、どの情報がいつ決まるのかを制作担当者と共有し、最終承認の期限を決めます。
予定が変わったときは、ホームページだけでなく、予約ページ、広告、地図サービスなどの表示も確認します。すでに配布したチラシは差し替えられないため、記載したURLや電話番号から最新情報を確認できる状態を維持しましょう。
クリニックの開業広告に使う媒体と役割
媒体を増やすこと自体を目標にせず、「地域に知らせる」「場所を案内する」「詳しい情報を確認してもらう」という役割を整理します。以下は組み合わせを考えるための例です。
媒体・接点
開業時に考えられる役割
検討時の注意点
ホームページ
診療内容、開院日、アクセス、予約方法の確認先になる
広告開始前の公開と、変更時の更新体制を整える
チラシ・新聞折込・ポスティング
選んだ地域に開院や内覧会の情報を届ける
配布対象、配布期間、印刷・納品期限を確認する
屋外看板・駅看板・電柱広告
生活圏で医院名や場所を知らせる
掲出場所、契約期間、原稿変更にかかる費用を確認する
検索広告などのWeb広告
受診先を探す方などとの接点をつくる
配信範囲、広告文、遷移先、運用費用を確認する
Google ビジネス プロフィール
検索や地図上で所在地などを確認できるようにする
広告枠とは別の情報整備として、開業日と基本情報を管理する
チラシは配布完了日と案内する日程を合わせる
チラシでは、医院名、診療科、開院日、所在地、地図、診療時間などをまとめて案内できます。内覧会を告知する場合は、開催日までに配布が完了する日程を相談しましょう。
ポスティングは、指定した期間内に配布する方式もあります。すべての世帯に必ず届くとは限らず、投函できない建物などの扱いも事業者やプランによって異なります。配布エリアと部数だけでなく、配布できない条件や完了報告の内容まで確認しておきます。
看板は開院後も使うことを前提に原稿を考える
駅や道路沿いの看板を開院後も継続する場合は、医院名・診療科・場所などの基本情報と、期間限定の開院告知をどう扱うかを考えます。開院日を大きく載せる場合は、その表示をいつ変更するか、変更できる仕様かを確認しましょう。
看板の掲載料だけでなく、製作・施工・原稿変更の費用も確認します。開院直後に契約期間が終わるとは限らないため、支払い予定は契約全体で把握することが大切です。
Web広告は予約や問い合わせの受け皿と合わせて準備する
検索広告などを使う場合は、配信する地域と案内する診療内容を整理し、広告を見た方が必要な情報にたどり着けるページを用意します。広告文に記載した内容と、遷移先の診療日・受付条件に食い違いがないかを確認しましょう。
Google ビジネス プロフィールは、開業前の情報整備にも利用できます。Googleの案内では、開業日を設定してオーナー確認を行うことで、開業日の90日前からプロフィールが表示される仕組みが示されています。実際の登録は、対象施設の要件や確認手続きを公式ヘルプで確認しながら進めます。
開業広告の費用は初期費用と継続費用に分ける
必要な予算は、広告を届ける範囲、使う媒体、掲載期間、制作する素材によって変わります。開業広告の費用を一律の相場で決めるのではなく、同じ条件で見積もりを取り、何が含まれているかを比較しましょう。
費用の区分
主な項目
比較するときのポイント
初期制作費
広告デザイン、撮影、チラシ印刷、看板製作、ページ制作など
修正回数、納品形式、写真・原稿の用意を含むか
掲載・配布費
看板掲載料、新聞折込料、ポスティング料、Web広告の配信費など
掲載期間、配布部数、対象エリア、最低発注条件
運用・管理費
Web広告の運用、ページ更新、計測の設定など
媒体費との区分、報告内容、対応範囲
変更・終了時の費用
原稿差し替え、再印刷、看板撤去など
変更できる時点、更新・解約期限、別途費用
開院告知だけで予算を使い切らない計画にする
予算を組む際は、開院までに発生する費用と、開院後も支払う費用を分けます。例えば、チラシの印刷・配布は一度の実施費用として、長期契約の看板は契約期間全体の費用として整理すると、支払いの見通しを立てやすくなります。
どの媒体に何割を配分するかは、医院の条件によって異なります。まず必要な情報を確認できる環境を整え、そのうえで重点的に知らせたい地域や時期に予算を配分する、という順序で検討しましょう。
開院後の原稿変更や情報更新にかかる費用も見込んでおきます。複数社を比較する場合は、税込・税別、制作費、施工費、運用手数料、契約期間をそろえ、掲載料だけで判断しないことが大切です。
開院・内覧会の告知で載せたい情報
開院日と内覧会の日付、予約受付開始日が近い場合は、混同されない見せ方にします。内覧会を開催しない場合は、開院日と診療案内を中心に構成すればよく、必ずイベントを行う必要はありません。
情報
確認する内容
開院の案内
開院日、診療科、医院名、所在地
診療の案内
診療時間、休診日、予約の要否、受付方法
内覧会の案内
開催日時、参加方法、予約の要否、問い合わせ先
アクセス
最寄り駅や出口、建物名・階数、駐車場の有無や利用条件
詳細の確認先
ホームページのURL、QRコード、電話番号と受付可能な時間
内覧会が施設の見学や案内を目的とする場合は、通常の診療と誤解されないように説明します。提供内容が決まっていない段階で、相談や検査を受けられると受け取られる表現を載せることは避けましょう。
地図やQRコードは、原稿の校正時に実際に確認します。ビル内の医院なら入口や階数、車で来院する医院なら駐車場の入口など、迷いやすい点を補うことが大切です。
開業広告でも医療広告のルールを確認する
開院前の広告であっても、医療広告に該当する場合は医療法や医療広告ガイドラインに沿った確認が必要です。広告できる事項には制限があり、媒体や掲載内容によって扱いが異なります。
効果の断定や比較による優良性の表現を避ける
虚偽広告、比較優良広告、誇大広告などは禁止されています。「必ず治る」のような効果の保証や、他院より優れていると示す比較優良表現は使用できません。また、患者などの主観や伝聞に基づく治療内容・効果の体験談も広告に使用できません。
医院の特徴を紹介するときは、診療時間や所在地、設備などの事実を確認し、それぞれが広告できる事項に当たるかを確認します。事実であればどの媒体でも自由に掲載できる、というわけではありません。
内覧会は告知できるが、広告全体の確認は必要
厚生労働省の医療広告ガイドラインに関するQ&Aでは、開院前に地域住民向けに行う内覧会について、運営・管理に関する事項として広告可能とされています。ただし、内覧会の告知であっても、治療効果を保証する表現などが認められるわけではありません。
ホームページと広告枠の扱いを混同しない
患者などが自ら求めて閲覧するウェブサイト等には、一定の要件の下で広告可能事項の限定解除が認められる場合があります。一方、検索広告やバナー広告に、ホームページと同じ内容をそのまま掲載できるとは限りません。自由診療を案内する場合も含め、広告面と遷移先をそれぞれ確認しましょう。
原稿を制作したら、掲載媒体の審査条件と、厚生労働省の最新資料を確認します。判断に迷う内容は、所管の自治体・保健所などへの確認も含めて進めてください。媒体の審査を受けることと、広告主として表示内容を確認することは、両方が必要です。
開院後は告知の更新と反応の確認を行う
開院後は、「開院予定」や終了した内覧会の案内を見直し、現在の診療情報に更新します。広告だけでなく、ホームページ、予約画面、地図サービスの診療時間や連絡先もそろえましょう。
反応を確認するときは、サイト閲覧や予約件数に加え、来院時に任意で伺う「医院を知ったきっかけ」も参考になります。広告ごとに確認できる範囲が異なるため、一つの数字だけで効果を判断しないことが大切です。
内覧会の参加人数はイベントへの反応であり、そのまま受診者数や継続的な来院につながるとは限りません。Web広告も、クリック数と予約完了数では意味が異なります。広告の目的に合わせて確認する項目を決め、掲載場所や案内内容を見直す材料にしましょう。
開院直後は比較できる実績が少なく、診療日数や予約枠などの条件も変わります。広告の開始日、配布期間、原稿の変更日を記録し、受付状況と合わせて継続や変更を検討します。
クリニックの開業広告を相談するときに用意したいこと
広告の相談では、医院の所在地、診療科、開院予定日、内覧会の有無、予算の目安を共有しましょう。希望する媒体が決まっていなくても、知ってもらいたい地域と目的が分かれば、候補を検討できます。
ホームページや予約システム、ロゴ・写真などの準備状況、すでに発注している広告も伝えると、必要な制作と日程を整理しやすくなります。予算は媒体費だけの金額か、制作費等を含む総額かも明確にしておきましょう。
アドクロでは、医院の目的・地域・予算に合わせた媒体選定、制作、出稿をご相談いただけます。ご相談は媒体費30万円から、制作費等は別途となります。開院に向けた広告の組み合わせや進め方にお悩みの方は、お問い合わせください。
まとめ
クリニックの開業広告は、開院日を知らせるだけでなく、診療内容や所在地、予約方法を確認できるように準備することが大切です。対象となる地域と広告の役割を整理し、媒体ごとの制作・審査・掲載期限から逆算して進めましょう。
費用は初期制作費と継続費用、情報変更にかかる費用まで含めて確認します。医療広告のルールに沿って原稿を整え、開院後も診療情報を更新しながら、医院の状況に合う広告を検討していきましょう。
広告媒体の特徴を広く比較したい方は、クリニック広告の選び方|看板・チラシ・Webの活用と費用・注意点もご覧ください。
掲載・配布条件の参考:遠鉄アド「注意事項」/ラクスル「配布方法一覧(併配と単配について)」。実際の条件は、申し込む媒体・プランごとにご確認ください。
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