株式会社みらいマーケティング本舗 代表取締役・堀野 正樹氏は、約20年にわたり「社内マーケター」として活躍し、企業のマーケティング力を“1000%”引き出し、年商70億円を達成した実績を持つ、まさに「売上アップに直結させる専門家」です。その後独立し、現在はマーケティング基盤の構築や社内マーケターの育成を支援されています。Xでは18,000人以上のフォロワーがおり、1,500日以上、毎日マーケティング情報を発信されています。
本コラムでは、マーケティングに関する仕事をしている人、マーケティングを活用したい事業者が集まる「静岡マーケティングサロン」の運営アシスタント・秘書をしている柳井が、堀野氏にご自身の書籍をヒットに導いた、特別な予算や人脈に頼らない「再現性の高いマーケティング戦略」について、具体的な施策やその思考法をインタビュー形式で深掘りしていきます。
目的とターゲット 誰のために、何を売るのか？
柳井：堀野さんの初の著書『ひとりマーケターの教科書』が素晴らしい成果を上げていると拝見しました。
堀野：おかげさまで、売れ行きも好調でまもなく重版も決定しそうな勢いです。Amazonでも平均レビュー4.3と高い評価をいただいておりますが、実は今回の書籍は、Amazonよりも書店販売を中心に末永く愛される「教科書」として展開していくのが狙いなんです。
柳井：まさにそうした派手な数字だけではない「本質的な成果」と、そこに繋がった施策について、今日は深掘りさせていただきます。
柳井：まず、書籍を企画する上で、どのような目的で、誰をターゲットに設定したのでしょうか？
堀野：企画段階では、出版社の方から「堀野さんのX（旧Twitter）は表現が分かりやすく、図解の使い方も良い」と評価をいただきました。
正直、最初は「マーケティングの専門書を書くぞ」と考えていたのですが、「堀野さんの強みを一番伝えられるのは今の発信スタイル」という出版社のアドバイスを受けて方向転換したのです。振り返れば、この判断は本当に正解だったと感じています。
柳井：堀野さんご自身の「やりたいこと」と、読者の「ニーズ」をすり合わせた結果だったのですね。
堀野：表向きのターゲットは「これからマーケターになりたい人」や「社内でマーケティングを担うひとりマーケターさん」など、現場で活用できるノウハウを求めている方々ですが、本当は経営者やマネージャーの方にこそ読んでいただきたいです。
柳井：それはなぜですか？
堀野：残念ながら現場だけが頑張っても、組織全体はなかなか動きません。経営とマーケティングは車の両輪のような関係なので、経営者の理解やサポートがなければ真のマーケティングは機能しないのです。そのため、専門用語はできるだけ避け、マーケティングに不慣れな経営者の方でも重要性や流れが理解できるよう工夫しました。
誰でもできる！モノを売るための「4つの型」
特別な人脈や多額の広告費をかけなくても、誰でも実践できるマーケティングの「型」について、堀野さんの書籍販売の事例から解説していただきました。
【型1】「商品」ではなく「企画書」を作り込む
柳井：書籍という「商品」を売る上で、最も重視したポイントはどこですか？
堀野：企画書には、マーケティングで言う「4P」の視点を盛り込みます。4Pとは、Product（商品）・Price（価格）・Place（流通）・Promotion（販促） の4つ。つまり「何を売るのか」「いくらで売るのか」「どこで売るのか」「どうやって売るのか」という基本要素です。
さらに内容を考える際には、「お客様は何を求めているか」「競合はどんなものを出しているか」「自社だからこそ出せる強みは何か」という3つの視点、つまり 3C分析で整理します。
独自性ばかりを追いかけるのではなく、読者にとって本当に価値があるのは何かを、この4Pと3Cの両面からしっかり考えること。これは書籍も商品販売も同じだと思っています。
【型2】ターゲットの「解像度」を高める
堀野：誰に発信するのか、そのターゲットの解像度を高めることが非常に重要です。書籍のターゲットである「ひとりマーケター」の方々がどんな悩みを抱えているのか、実際にインタビューもしました。
まず、定性調査として、のべ10〜15人ほどの社内マーケターの方々に座談会形式や個別ヒアリングで取材し、自分以外の現場の体験を幅広く収集しました。さらに、定量調査としてWeb調査を実施。1000人のビジネスユーザーを対象とした調査の中から、中小企業でマーケティング業務に携わる50人に絞って、より深い生態を探りました。もちろん、日頃からSNSでマーケターの方々と交流する中で掴んだリアルな悩みや声も参考にしています。
さらに僕の場合は、過去に「ひとりマーケターとして悪戦苦闘していた自分自身」をペルソナとして設定し、当時何を知りたかったのかな？なにに悩んでいたんだろう？と思い返しながら文章を書きました。
柳井：ターゲットを「漠然とした層」ではなく「具体的な人物像」として捉えることが大事なんですね。
堀野：はい。そうすることで、読者がわからない言葉は使わず、図解を用いてでも分かりやすく伝えるという工夫が生まれます 。言葉にするとありきたりな「解像度を高める」ことを、深掘りしてやっている人は意外と少ないんです。ここは徹底すべき点です。
【型3】「何」を売るかよりも「誰」が売るのか？
柳井：今回の出版を経て、ご自身のビジネスにどのような変化が起こりましたか？
堀野：書籍出版のゴールは、本を売ること自体ではありませんでした。僕の目的は、新たな企業からマーケティング相談をいただけるようになること。
出版前は、X（旧Twitter）上で「名前は知っている」程度の認知でしたが、本を出したことで「著者」という明確なブランドが生まれました。すると、その肩書きが信頼を後押しし、結果として、大企業や省庁といった今まで接点の少なかった相手からも相談をいただけるようになりました。
この経験を通じて実感したのは、売る「商品」の中身以上に、それを「誰」が販売しているのかが成果を大きく左右するということ。SNSでの発信、書籍出版、クラウドファンディングなど、僕が取り組んできた活動に共通しているのは、「セルフブランディングが最終的にビジネスの成果に直結する」という点です。
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言語化と発信の積み重ねが成果をつくる
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柳井紗緒里 CitrineWebDesign
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