Facebook広告とは
Facebook広告は、SNS広告の中でも優先度高く実施すべき媒体の一つです。実名制による登録が必要で、プロフィールも充実しているアカウントが多いので、登録データの信頼性に優れており、結果としてターゲティング精度が高いのが大きな特徴です。
実名で登録された精度の高いアカウントデータを活用し、様々なターゲティングを行うことが出来るSNS広告の一つです。全世界で26億を超えるユーザーがおり、日本の利用者数は、2024年時点で約3000万人と推測(参照:総務省『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』)されています。
Facebookの運営元であるMETA社はInstagramも運営しており、広告も同じプラットフォームから出稿ができます。
Facebook広告の3つの特徴
精巧なターゲティングが最大の魅力
Facebook広告の大きな特徴の一つが、実名登録制という仕組みから生まれるターゲティング精度の高さです。GoogleやYahooなどのディスプレイ広告でもターゲティングは出来ますが、行動履歴からの推測がメインになるのに対して、Facebookは実名や年齢、出身校や勤務先、既婚/未婚などユーザー自らが登録した情報を元にターゲティングすることが出来ます。
様々なSNSに登録している方でも、自身の具体的な情報を最も多く登録しているのはFacebookという方は多いのではないでしょうか。
Instagramにも同時に出稿できる
広告を出稿するにあたって非常に大きなポイントの一つが、Facebook広告を出稿できるようになれば、同時にInstagramにも出稿できるようになるという点です。
広告出稿に関する公式マニュアルや解説記事もたくさんあるので、ご自身で出稿するハードルは高くはないですが、それでも広告プラットフォームごとに仕組みを理解するのは大変です。1回の努力で日本で5大SNSと言われるFacebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINE、TikTokの中の2つをマスター出来ることになるので、まさに一粒で二度美味しい状態といえるでしょう。
ビジネスシーンでよく利用されるSNS
ニュース等の最新情報を得るにはX(旧Twitter)、暇つぶしにはTikTokなど、SNSごとによく利用されるシーンは異なりますが、Facebookの利用シーンとして多いのが、知人の状況を把握するといった使われ方です。
中でもビジネスで関わりを持った方とは、LINEではなくFacebookで繋がっている、という方も多いのではないでしょうか。ビジネス上、表に立つ職種の方の場合、実名でFacebook登録されているケースも多く、お互いに友だち登録した上で、何かあればMessenger(メッセージツール)でやり取りするという場面はよく見受けられます。
ですので、Facebookを見ているときは完全にプライベートでOFFモードというよりも、ビジネス的なアンテナも少し張りつつ閲覧している場合も多いので、ビジネス上役に立ちそうな情報も抵抗なく受け入れやすくなっているのではないでしょうか(私もついつい気になるセミナー情報などあれば、それが広告だと分かっていても見てしまいます)。
Facebook広告の配信面
Facebook広告の配信面は、大きく分けて以下の4つです。
まずはメインとなるFacebookで表示される配信面です。Facebookのホームに表示されるフィード面(タイムライン)に表示される他、ストーリーズやリール、マーケットプレイスにも画像や動画を配信できます。
Messenger
FacebookのメッセージツールであるMessengerにも配信することが出来ます。Messengerを開いた時の、友達の一覧に表示されるため、メッセージを送る相手を探している途中でついつい目に入ります(こんな友達いたかな、と思うときも…)。
META社が運営するもう一つの巨大SNS、Instagramにも併せて配信することができます。Instagramのフィード、ストーリーズ、発見タブ、リール、ショッピングといった様々な配信面が利用可能です。
Instagram広告の詳細については以下もご参照ください。
Audience Network
意外と知らない方も多いのではと思いますが、FacebookやInstagramといったMETA社自身が持つプラットフォーム以外にも、追加で広告配信をすることが出来ます。配信先の媒体は正式に公表されていませんが、食べログやGunosyなど多くの媒体に追加配信が可能です。
Facebook広告の主な配信フォーマット
画像
基本となるフォーマットといえば画像です。メインとなる画像ファイルと、メインテキストや見出しなどのテキスト文章を入稿することで配信されます。
動画
リールの人気上昇に併せて、ここ数年で急速に広告出稿が増えているのが動画フォーマットです。制作は少し大変ですが、動画は画像の何十倍の情報量を持つと言われており、競合の一歩先を行く施策としても、積極的に取り入れていきたいフォーマットです。
カルーセル
一つの配信面で、最大10枚までの画像や動画を横スクロールで見せることができる機能。様々な利用シーンを紹介したい場合などに効果的です。
コレクション
メインの画像や動画に加えて、小さな複数の画像を表示することが出来るフォーマット。ECサイトなど多数の商品を取り扱っている企業にオススメ。
Facebook広告は文字入れが出来ないから難しい?
2020年の秋ごろまで、Facebook広告で使用される画像は、テキスト量が20%未満でないと審査が通りませんでした。
アパレルや飲食店など、写真映えする画像がある業界なら良いのですが、特にBtoB系を始めとした無形商材のサービスなどでは、写真メインで伝えられる事が少なく、これが理由でFacebook広告を敬遠していた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現在はこの20%ルールは撤廃されており、画像内テキストの比率が高くても、審査落ちすることは無くなっています。一方で、テキスト比率が少ないほうが広告としての品質は高いと認識され、優先的に配信される傾向がありますので、引き続き最低限のテキスト量で伝えるという心構えは必要です。
クリエイティブの参考は広告ライブラリで
いざFacebook広告のクリエイティブ作成をする際に、気になるのが他社(特に競合)がどのようなクリエイティブで出稿しているかです。
これについては、運営元であるMETA社が公式に出稿事例を公開しています。競合など、気になるアカウントがどのような広告クリエイティブを配信しているのか、参考にしてみてください(参考:広告ライブラリ)
Facebook広告でできるターゲティング
Facebook広告の要とも言える、ターゲティングについて説明していきます。それぞれ、細かく説明すると非常に長くなってしまうのですが、大きく分けて3パターンあります。
1. コアオーディエンス
Facebookのユーザーを様々な条件で絞り込み、広告配信が出来る基本のターゲティングメニューです。大きく5つの分類があります。
以下でそれぞれ解説していきます。
1-1 位置情報
配信対象としたいユーザーの国や都道府県、市区町村(郵便番号)単位での設定が可能です。また、特定の場所から半径1~80kmという範囲指定もできます。
更に以下のような詳細の設定が可能です。
・この地域に住んでいる人、または最近この地域にいた人(選択されたエリア内に自宅または一番最近の位置情報がある人)
・この地域に住んでいる人(選択されたエリア内に自宅がある人)
・最近この地域にいた人(選択されたエリア内に一番最近の位置情報がある人)
・この地域を旅行中の人(一番最近の位置情報が選択されたエリア内にあるが、自宅は200km以上離れている人)
例えば、一般家庭向けのハウスクリーニングのサービスで、サービス提供エリアが渋谷区限定といった場合、エリアで渋谷区を選択した上で、買い物客や観光客を弾くために、詳細設定で「この地域に住んでいる人」を選択するといいでしょう。
1-2 年齢・性別
13~65歳までは1歳刻みで指定が可能です。65歳以上は一括りでの指定となります。性別はすべて、男性、女性の3つから選択できます。
1-3 詳細ターゲット設定
興味関心、利用者層、行動というテーマから、それぞれ詳細な設定ができます。選択できる項目はめちゃめちゃ多いので、一部抜粋してご紹介します。
1-4 興味関心
興味関心はその名の通り、Facebookユーザーが興味や関心のあるトピックスを指定できるターゲティングです。シミュレーションゲームが好きなユーザー、ダンスミュージックが好きなユーザー、アウトドア好き、サッカー好きといった趣味系のトピックスや、デジタルマーケティングや不動産業といったビジネス的な関心、ワインやメキシコ料理といった食の好みなど、自身の商品・サービスにマッチする様々なターゲティングが可能です。
1-5 利用者層
利用者層は学歴や仕事、子供の有無などユーザーの属性に関するトピックスでの指定ができます。ざっくりした指定というよりは、詳細は絞り込みが可能で、例えば婚姻に関しても、以下のように細かく分かれています。
・婚約中(1年未満)
・婚約中(3ヶ月未満)
・婚約中(6か月)
・新婚(3ヶ月未満)
・新婚(1年未満)
・新婚(6ヶ月未満)
子供についても、以下のような具合です。
・子どもがいる(すべて)
・子どもがいる人(13~17歳)
・子どもがいる人(3~5歳)
・子どもが生まれたばかりの人(0~12か月)
・小学校低学年の子どもがいる人(6~8歳)
・小学校高学年の子どもがいる人(9~12歳)
・幼児の子供がいる人(1~2歳)
・高校卒業年齢以上の子どもがいる人(18~26歳)
仕事についても単なる業種の指定ではなく、以下のような絞り込みが可能です。
・IT 意思決定者
・ビジネスの意思決定者
・企業間取引を行う大規模企業の社員(社員数500人以上)
1-6 行動
行動は、ユーザーがFacebookを閲覧する時のデバイスやOSなどを詳細に指定ができます。例えばiPhone15用のスマホケースを告知したい場合、旧モデルのiPhoneやAndroidユーザーに配信しても意味がないので、端末指定でiPhone15ユーザーにだけ広告を表示する、といった使い方ができます。
※絞り込み過ぎに注意!
詳細ターゲットの設定は、様々な項目があるので見ているだけで楽しいです。色々眺めているだけであっという間に30分くらい平気で過ぎてしまいます…。
なるべくターゲット外の人へのリーチは除外したいという意識が働くので、様々な条件で絞り込みたくなりますが、あまりやりすぎてしまうと広告自体が配信されにくくなり、結果として機械学習が進まず、成果が出るまで時間がかかることもあります。Facebook広告の管理画面では、ターゲティング設定時にオーディエンスが狭すぎる/広すぎるといった目安を示すメーターも表示されますので、極端に狭くなりすぎないように注意しましょう。
2. カスタムオーディエンス
カスタムオーディエンスとは、Facebookのユーザーの中で、自分の会社と既に接点のある人に対してターゲティングが出来る機能です。ある程度の顧客リストを既にお持ちの企業の場合、コアオーディエンスよりも、カスタムオーディエンスの方が費用対効果が見込みやすい傾向にあります。
2-1 顧客リストのカスタムオーディエンス
例えば購入時に会員登録が必須のECサイトを運営されている場合、既に会員登録済のユーザーリストをお持ちのはずです。その会員リスト(名前やメールアドレス、電話番号など)をFacebookにアップロードすることで、「自社の会員かつFacebookユーザー」というユーザー群を作成することが出来ます。
ただし、情報が一致するかどうかは登録内容によるので、マッチ率は100%ではありません。同じ人でもECサイトの会員登録時のメールアドレスと、Facebookに登録しているメールアドレスが違うと一致しません。
ちなみに、「Facebookに自社の顧客情報をアップするなんて、情報漏洩しそうで怖くてできない!」という方も多いでしょう。実際にFacebookデータをアップする際には、ハッシュ化(暗号化のようなもの)されたデータとして扱われるので、顧客情報がそのままFacebookに送信されることはありません。
2-2 ウェブサイトカスタムオーディエンス
こちらは、顧客リストをアップロードするのではなく、予めFacebookが用意しているピクセルという計測用のコードを自社サイトに設置しておくことで、サイトへの訪問者データを集計し、オーディエンス化することができます。ピクセルを設置しておけば自動でデータが貯まっていくので、Facebook広告運用開始後のデータを活用したい場合はこちらが便利です(過去データは引っ張ってこれないので顧客リストで対応)。
サイトのいずれかのページにアクセスしたユーザーはもちろん、特定のページURLも指定できるので、会員登録ページや資料請求フォームにアクセスしたユーザーといった括りもできます。
2-3 エンゲージメントカスタムオーディエンス
Facebook内で特定の行動を起こしたユーザーをターゲティングできます。例えばFacebookで動画広告を配信したとします。Facebookユーザーがその動画をどのように視聴したかというデータを元に、例えば「あなたの動画を50%まで再生した人」という設定をすることで、ある程度検討度合いが進んでいると判断できるユーザーだけをオーディエンス化することができます。
既に広告を実施して、更にそこからユーザーを絞り込むという場面で利用されるので、大規模な広告予算がない場合はあまり使うことは無いかもしれません。
2-4 アプリアクティビティカスタムオーディエンス
Facebookアプリではなく、自社のアプリ内でのユーザー行動に基づいてオーディエンス化できる機能です。Facebook SDK(ソフトウェア開発キット)を使用してアプリのデータをFacebookに送ることで使用できます。こちらもアプリ限定のオーディエンスなので、使用シーンは限定的ですね。
2-5 カスタムオーディエンスの使い方
最大500個まで登録可能なカスタムオーディエンスですが、どのように活用するのかイメージは湧いていますか?
オーソドックスなやり方は、そのオーディエンスに対してそのまま広告配信をするといったやり方です。既に自社との接点があり、商品・サービスの認知はゼロではないユーザーが対象になるので、それだけでも費用対効果の向上が期待できます。
もう一つは、作成したオーディエンスを除外対象として設定するという方法です。例えば思い切ったセール企画をやりたいけど、できれば既存顧客ではなく新規顧客の獲得に繋げたい、といった場合、既存顧客のリストを除外リストとして使うことで、新規顧客だけに配信することができます。
もう一つは、作成したカスタムオーディエンスと似ているユーザーに広告配信するという手法です。それについては次で説明します。
3. 類似オーディエンス
カスタムオーディエンスは強力なターゲティングなので、費用対効果を抑えながらの獲得は可能な場合が多いです。ただ、配信できるユーザー数が限られているので、費用対効果は良いけど数が稼げない、といった壁にぶち当たることが多いです。その際に検討したいのが、類似オーディエンスです。
元となるオーディエンスリストを選択した上で、そのユーザーと類似度が高いユーザーに配信を拡張することが出来ます。対象の規模は1~10%で選択が可能で、1%なら対象の地域にいるユーザーの中から、類似度が高い上位1%のユーザーに配信が拡張されます。いきなり10%といった指定は失敗する確率が高いので、まずは1%から様子を見て拡張していきましょう。
Facebook広告の費用、課金体系
Facebook広告のメインの課金体系は、インプレッション課金です。広告が表示されるごとに課金される方式で、クリックの有無は考慮されません。広告表示1000回あたりの費用を表すCPM(コスト・パー・マイル)という指標が使われます。1000回表示させるのに700円支払ったとすると、CPM=700円となります。平均的なCPMは500〜1,000円程度です。
選択できる課金体系は、広告の目的によって変わってきます。検討>トラフィックorアプリのインストール、コンバージョン>カタログ販売の場合はCPCの選択も可能です(2024年2月現在)が、基本的にはインプッション課金だと思っていてください。
Facebook広告を始める際、月の予算いくらからスタートすれば良いかというご相談も良くいただきます。1日100円、月に3000円程度の予算からでもスタートはできますが、十分な広告配信がされるというと難しいので、実際には1日1000円程度、月に3万円程度の予算は必要になります。この程度は回してみないと、再現性のあるデータとしての価値が生まれず、成功も失敗も運次第になります。
Facebook広告の成功事例
株式会社フジボウアパレル
アパレル企業のフジボウアパレルは訴求メッセージの異なる4つの動画広告クリエイティブの効果を比較実験し、新しいオーディエンスにリーチするキャンペーンを実施したところ、最も効果のあったクリエイティブのコンバージョン率が最も効果の低かったものと比べ2.4倍であることを発見しました。
インビザライン・ジャパン株式会社
医療装置を手がけるグローバル企業Align Technologyの日本支社であるインビザライン・ジャパン株式会社は、Facebook動画広告のベストプラクティスに沿ったモバイルファーストのクリエイティブのバリエーションを複数用意してテストしました。また、新しいビジュアルでクリックスルー率を12%向上させました。
さいごに
以上、Facebook広告の概要をご説明しました。
Facebook自体が持つ実名登録された信頼性の高い顧客データはもちろん、自社のリストを有効活用できるカスタムオーディエンスなど、精度の高いターゲティングが最大の特徴です。
Facebook広告を出せばInstagramの広告も同時に出せることからも、SNS広告の中で何から始める?と迷ったら、とりあえずFacebook・Instagramからスタートするのも良いのではないでしょうか。
社内にリソースがある企業の場合、月に10万程度の予算であれば、仕組みを知るうえでまずは自社運用でからスタートしてみるのがオススメです。
月の予算が10万円を超え、様々なクリエイティブをA/Bテストしていきたい、といったフェースに入ったら、Facebook広告の運用に強い広告代理店に依頼するのもいいでしょう。