アドクロ編集部がお届けする2025年月日週の渋谷OOHレポート。渋谷で展開された広告で、押さえておきたい広告事例をピックアップしていきます。過去のOOH事例は、下記を併せてご確認ください。
Topics①：「新プロジェクトX」の広告
NHKのドキュメンタリー番組「新プロジェクトX 挑戦者たち」の告知広告です。渋谷駅の改修工事を題材にした特集を告知しており、通行人の目を強く引くビジュアルとコピーで構成されていました。
「工事」「終わらない」「遅く」など、渋谷駅利用者が日常で抱える不満や疑問に直結する言葉を赤字で浮かび上がらせることで、広告を見る人の感情を直接刺激。黒と赤のコントラストは番組タイトル「プロジェクトX」の持つ挑戦的なイメージとも結びつき、緊迫感を演出。また、「この工事、まだ終わらないのか」「終電ギリギリ、もっと遅くならないかな」といったフレーズは、渋谷駅を日常的に利用する人なら誰もが一度は抱いたことのある疑問や願望です。それをあえて広告の表現に取り込むことで、通行人は自分の実感と広告を重ね合わせ、自然と番組への興味を抱く仕掛けになっていました。
渋谷駅という舞台の「現実の不便さ」を逆手に取り、番組内容への興味へと転換させる設計がなされていました。硬派な番組告知でありながら、生活者の感情を上手く取り込んだ点が特徴的です。
Topics②：東京2025世界陸上とデフリンピックの告知の広告
東京2025世界陸上とデフリンピックの告知広告です。会場となる東京を舞台に、江戸の浮世絵世界と現代の人々や風景を融合させたビジュアルを採用。ソバを食べる場面や花火大会、海辺の風景といった江戸時代の生活文化が外国人観光客や東京の街並みと同居する構図は、時間を超えた旅を体験させるような仕掛けになっています。
スポーツ大会そのものの告知にとどまらず、「東京を訪れること自体が時間旅行になる」という観光の魅力を重ねることで、イベント参加者だけでなく、海外からの旅行者にも強く訴求。
掲出場所も長い通路を使った連続展開で、江戸の食・自然・夜景といったテーマが順番に現れる構成になっています。通行する人はまるで展示を鑑賞するように、江戸から現代へと続く物語を体験できます。スポーツ大会への期待感と東京観光の多層的な魅力を印象づけていました。
Topics③：「薫る花は凛と咲く」の広告
講談社漫画『薫る花は凛と咲く』TVアニメ放送中の告知広告です。登場人物たちの表情を大きく描き出したビジュアルが連続して並んでいます。
特徴的なのは、背景やトーンに淡い色彩を重ねている点。「初恋が」「誠実が」「気品が」「信頼が」「素直が」「優しさが」と続くコピーが、それぞれの人物に重なるように配置されており、キャラクターの個性や物語のテーマが視覚的に強調されていました。最後に「薫る。」と結ぶことで、タイトルとリンクしながら全体を一つのメッセージへと収束させています。
既存のファンにはキャラクターの魅力を再確認させ、まだ作品に触れていない人に興味を惹いてもらう狙いが見えます。「青春の多面性」をキャラクターとコピーで表現し、アニメ放送と書籍販売の双方に波及効果を生むように展開された広告だと言えそうです。
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アドクロ編集部
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