アドクロ編集部がお届けする渋谷OOHレポート。今週渋谷で展開された広告で、抑えておきたい広告事例をピックアップしていきます。
Topics①:「働き方改革を、改革しよう」、HR teamの広告
渋谷駅前の大型広告で掲載、株式会社HRteamが2024年5月25日に実施する「成長企業EXPO」の広告。
5月8日に同社の公式キャラクターとしてリリースされた「ジョビー」(※パンダをモチーフ)をデザインの中心に載せたクリエイティブで、黄色の背景に青文字の存在感があるデザインとなっています。
ハチコ―ボード、ハチコ―ボード2で大きく描かれた「働き方改革を、改革しよう。」というキャッチフレーズが印象的で、「働くに挑む」というミッションを掲げる同社の想いが載せられているように感じます。
様々な価値観がある前提ではありますが、最近は「職場がホワイトすぎて不安」といった声も散見されるようになってきました。広告内にも「ワークとライフって、反対語ですか?」という表現がある通り、職場環境1つとっても、“ある人にとってはマッチしていなく”ても、“ある人にはマッチしている”といった具合に、必ずしも同じ捉え方ではないのかもしれません。
働き方に関する考え方やマインドが多様化する中で、同社が考える一つの“(仕事の)あり方”の発信という意味でも、機能していたように感じました。
Topics②:マインクラフト15周年広告
Microsoftが運営するMINECRAFT(マインクラフト)の広告。同サービスが5月17日で、15周年を迎えるにあたって展開されたキャンペーン広告になります。
マインクラフトは、3D空間でブロックを壊したり組み合わせたりしながら建物を建築したり、モンスターを倒して冒険を楽しむことができるゲーム。ゲームでありつつ、プログラミング教育の一環として取り入れている学校があることや、採用活動に利用する学校もあるなど、教育との関係も注目されているサービスです。
マインクラフト特有のブロック調で作った日本の景色が印象的なクリエイティブでした。
本キャンペーンは5月18日と19日の2日にわたって開催される予定の“マイクラリレー”の告知を意識したもの。こちら、55組のクリエイターが約20分の動画をリレー式でプレミア公開していくというものとなっており、「君の世界をカタチにしよう」というテーマのもと、各クリエイターがマイクラ実況動画を配信していくようです。
Topics③:盆栽と凡才? imase、ニューアルバム広告
imaseの1stアルバム「凡才」が2024年5月15日に発売するのに合わせて展開された広告。
imaseは2021年12月に「Have a nice day」でメジャーデビューした22歳。2022年8月に配信リリースした「NIGHT DANCER」は韓国を筆頭に世界各国のチャートにランクインするなど、今話題のアーティストです。日本たばこ産業(JT)のCM 「ひといき習慣シリーズ」の主題歌である「でもね、たまには」で知っているという方も多いのではないでしょうか。
今回の広告は凡才にちなんで、“盆栽”が描かれたビジュアルが印象的で目を引きます。
「凡才」の横に描かれたメッセージ文には「3年前、はじめてギターに触った。」と知らない人からすると衝撃的な一文からスタートしており、imaseを知らないと真意がても気になります。
また、文字量も多くなく、比較的スッキリとした印象のあるクリエイティブでしたが、ところどころに目を引く要素がちりばめられた広告であったように感じます。
Topics④:カラフルな「Try? Everithing」、ディズニーキャスト募集広告
株式会社オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートのキャスト採用に向けた広告。
B0サイズのポスターの集合のようなクリエイティブで、文字の位置等含め各ポスターで基本同じ構成。「Try?Everything」と描かれた大きく描かれたデザインが象徴的となっています。
色味や描かれたコスチュームなどの写真はディズニーリゾート内の各エリアにちなんだ内容になっているようです。道玄坂ハッピーボード2面で通路を挟み込むような形で展開されていました。
カラフル過ぎるポスターに目を引かれたのと、ディズニーリゾートに1度でも行った事がある方なら目にしたことがある、“知っている”衣装の写真や景色が描かれており、会話のネタとしても広がりがある広告だったように思います。
GWの連休も終わり、この春進学した学生さんなどはアルバイト先を検討されているタイミングではないでしょうか。新しい事に挑戦しようとするマインドが高い時期を狙った施策であったように感じました。
Topics⑤:SHISEIDOの化粧品広告
資生堂「マキアージュ ドラマティック エッセンスリキッド」「SHISEIDO エッセンス スキングロウ ファンデーション」の広告。
「さよなら、ファンデーション。」というフレーズと写真が象徴的なクリエイティブで、同社の“セラムファースト技術”を用いて作られた化粧品を訴求しています。
「彩る美容液、という奇跡。」をキーメッセージに4月からコミュニケーション展開をスタートしている同商品。つけるたび素肌そのものを美しくし、メイクをする一瞬が未来の美しさを育んでいく、という体験を提供し、新たな化粧文化を創造したいという想いが含まれているよう。落ち着いたカラー展開で、少し大人の雰囲気をまとった雰囲気も感じた広告でした。
Topics⑥:KOSE「クリアピール セラム」の広告
株式会社コーセーが5月16日から発売する毛穴クリアふきとり美容液「クリアピール セラム」の広告。
「クリアピール セラム」は、毛穴詰まりの一因である角栓や古い角質を取り去り、毛穴が目立たない肌へと導く毛穴クリアふきとり美容液。今回の広告は、同商品のキャンペーンキャラクターとして起用されている、イタリアプロバレーボールリーグセリエA ヴェロ・バレー・モンツァで活躍する髙橋藍(たかはしらん)選手を全面に押し出したクリエイティブとなっていました。
“毛穴ケア1ヵ月チャレンジ”と称した動画となっており、実際に高橋さんが商品を使っている様子を見ることができます。通行中の方も多いエリアですが、テキスト情報が少なく、視覚的に内容を把握できる広告となっていました。
Topics⑦:応援広告(誕生日広告)
今週の渋谷駅構内では、連休の反動もあってなのか、数多くの応援広告が見られました。
編集部で確認した限り、なんと16種のポスターを確認。対象が同じ方のポスターが何枚か見られましたが、駅構内のポスター枠の多くは応援広告であったように感じています。
6人組エンタメユニット「すとぷり」のメンバー さとみさん
「すとぷり」さとみさん
「すとぷり」さとみさん、梶田拓希さん
soraさん、高見文寧さん
村上耕平(こぺ)さん、 新世代ダンス&ボーカルグループ「MAZZEL(マーゼル)」
男装ユニット「風男塾」、梶田拓希さん
オープンワールドRPG「原神」、プロジェクトセカイ 天馬咲希さん、黒嵜菜々子さん
編集部から一言
今週は“身だしなみ”に関わる2社(資生堂、コーセー)の広告が印象に残っています。本記事では取り上げていませんが、2社の広告以外にもファッション通販の会社がデジタルサイネージを使い、クーポンを配布する広告を展開していたりと、これから夏に向けて外出機会が増えていくと想定した上での展開なのでしょうか。先週は見られなかった広告カテゴリーだけに、意図が気になるところです。
また、Topics⑦でも取り上げたように、今週は応援広告の出稿量に驚かされました。各電鉄によって異なりますが、渋谷駅でB0サイズポスターを掲示する場合、媒体費として6〜8万程度が想定されます。それが10数枚ともなると結構な規模になりますが、改めて市場の盛り上がりを感じているとともに、今後も増えていくのか注目していきたいところです。
来週以降もどういった広告が展開されるのか、非常に楽しみです。
過去のOOHレポートはこちら。