Topics①:ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの広告
渋谷駅で展開されたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のクリスマス広告です。
広告は鮮やかな赤と青を基調とし、視覚的なインパクトを放っています。セサミストリートのキャラクターやジョーズなどお馴染みのキャラクターを配置することで、USJだと瞬時に把握できる視認性を確保していました。
広告のメッセージは、人気アトラクションのビジュアルに「クリスマスこそ振られて振られて振られまくれ!!」というコピーなど、イラストにちなんだコピーが掲載し、思わずクスッと笑ってしまう訴求も見られました。
クリスマスシーズンにおける、USJでの体験を通じた感動や思い出作りを提案している広告となっており、「ヒトにできるサプライズには限界が。」というコピーからは、パークでしか味わえない特別な体験の価値を強調しています。
Topics②:ベストヒット歌謡祭2024の広告
渋谷駅で展開された、日本テレビの「ベストヒット歌謡祭2024」の広告です。
毎年生放送されている「ベストヒット歌謡祭」が今年は11月14日に放送されるため、そのPRとして広告が掲出されました。14日の放送を控え、伝統ある音楽特番としての品格と、現代的な演出を両立させたビジュアルが特徴的です。
広告の中心となる黒地に金文字のメインビジュアルは、高級感と格調の高さを演出。「今年を彩った音楽の祭典へ皆様をご招待」というキャッチコピーからも、年末の音楽特番としての存在感が伝わってきます。
また、以前都内各地で展開されていた招待状風の広告の返答(出欠席表)も描かれており、NiziU、三浦大知、Mrs. GREEN APPLE、Omoinotakeなど、多彩なアーティストのサイン色紙が展開されていました。普段なかなか見ることができないアーティストたちのサインが見られるこの広告は出演アーティストのファンを中心に注目を集めました。
駅構内という多くの人々が行き交う場所での展開は、幅広い視聴者層への効果的なアプローチとなっており、音楽特番としての期待感を高める広告展開となっています。特番の宣伝というよりは、年に一度のイベント開催の告知のような広告で、多くの音楽ファンの興味関心をひいたのではないでしょうか。
Topics③:ウルトラリーグの広告
渋谷駅で展開された「ウルトラリーグ」の広告です。
赤を基調とした壁面に、ウルトラマンやウルトラヒーローたちのシルエットを黒で配置することで、力強さと緊張感のある世界観を表現しています。歩行者の動線に沿って複数のヒーローが連なって配置され、通路を歩くにつれて次々と新たなシルエットが現れる仕掛けは、見る者の期待感を高める効果的な演出となっています。
シルエットは黒一色で描かれていますが、光る目の部分に黄色を効果的に使用することで、より濃い印象を与えています。また、同じ空間には「ウルトラマンカードゲーム」の広告も展開。円柱状の柱面全体にカードデザインを配置することで、ゲームの世界観も同時に訴求していました。
Topics④:HUAWEI WATCH GT 5 Proの広告
渋谷駅で展開された、HUAWEI WATCH GT 5 Proの広告です。
広告のメインメッセージは「進化したゴルフ機能 進化した多機能スマートウォッチ」。特にゴルフ機能に焦点を当て、スマートウォッチの文字盤にゴルフコースのナビゲーション画面を大きく表示することで、製品の特徴を視覚的に訴求しています。
デザインは、洗練された白と黒のモノトーンを基調とし、時計本体の精緻な機械的なディテールを超拡大で展示。これにより高級感と先進性を印象づけています。これから年末にかけて、“クリスマス”などプレゼント需要が高まるシーズンになりますが、その選択肢として訴求していきたい狙いがあるように考えられます。
渋谷駅地下特有の天井の光の演出と相まって、未来的でハイテクなイメージを創出することに成功しており、スマートウォッチの先進性を効果的に表現した印象的な広告となっていました。
Topics⑤:生茶の広告
MEDIA DEPARTMENT TOKYO
渋谷駅前で展開されたキリンの「生茶」の広告です。
広告は2枚の大型ビジュアルで構成されており、それぞれ異なるアプローチで生茶のブランドイメージを表現しています。右側の広告では、緑の髪を特徴とする女性のイラストレーションが使用され、シンプルでありながら印象的なデザインとなっています。イラストは線画を基調としながらも、緑色で強調された髪の表現が商品カラーと見事に調和しています。
左側には、CM等でも起用している出口夏希さんの写真が配置され、爽やかな表情で商品を手にする様子が描かれています。2つの広告を並べることで、写真とイラストという異なる表現方法を用いながらも、統一感のあるブランドメッセージを発信しています。
夜間の渋谷という都会的な空間の中で、緑を基調とした落ち着いたトーンの広告は、都市の喧騒の中での清涼感や癒しを表現。ライトアップの組み合わせは、通行人の目を引きつける広告展開となっていました。
Topics⑥:ライブ告知の広告
今週の渋谷駅では、幾つかライブ告知広告が見られました。
1つ目は、MAN WITH A MISSIONの2025年全国ツアー「PLAY WHAT U WANT TOUR 2025」告知です。右側には黄色の文字で目立つツアータイトルとスケジュールが記載されており、通行中でもつい目に入ってしまうような視覚的なインパクト、情報の見やすさを両立した広告デザインとなっていました。
2つ目は、吉川晃司さんのデビュー40周年を記念したアニバーサリーライブの告知広告です。
黒を基調としたシンプルながらも力強いデザインで、右側には熱唱する吉川晃司の表情豊かな写真が印象的です。40年という長きにわたるアーティスト活動の重みと、なお衰えることのないパフォーマンスへの期待感が、このシンプルな広告デザインから伝わってきます。
3つ目は、ホロライブプロダクションに所属する宝鐘マリンさんの1stライブ「Ahoy!! キミたちみんなパイレーツ♡」の告知広告です。イベントは12月7日(土)、8日(日)の2日間開催され、現在チケットの先行販売が行われていることが告知されています。
広告デザインはピンクや紫を基調とした幻想的な色使いで、バーチャルな世界観を表現。サイネージを使って、複数の異なるビジュアルを展開することで、通行人の注目を集める工夫がされていました。
編集部から一言
今週の渋谷の広告展開で特に印象的だったのは、USJのクリスマス広告とベストヒット歌謡祭の広告展開です。どちらも「体験価値」を重視した訴求が特徴的でした。
USJの広告では、「モノ以上の価値がある体験」という視点を前面に打ち出しています。「ヒトにできるサプライズには限界が。」というメッセージは、デジタル時代において、リアルな体験の価値が再評価されている現代のトレンドを反映しているように見えます。また、クリスマスというイベントをフックに、ビジュアルが構成されており、季節感を演出していました。
一方、ベストヒット歌謡祭の広告は、SNS時代ならではの「視聴者参加型」の広告を展開していました。視聴者が好きなアーティストの展示の前で写真を撮影し、SNSでシェアするという行動を自然と促す仕掛けは、SNS時代の新たな勝ちパターンのようにも思えました。