株式会社ICT総研は、2024年12月までのSNS利用動向に関する調査をまとめ、2025年1月に結果を発表した。この調査はSNS運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,225人へのwebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したもので、主要SNSの利用率や満足度、未成年の利用制限に関する意識、SNS利用時のリスク認識などについてデータを収集している。
調査概要
調査方法：SNS運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,225人へのwebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析
調査期間：2024年12月まで
掲載元：2024年度 SNS利用動向調査
出典元：ICT総研
日本のSNS利用者数は年々増加、2026年末には8,550万人へ
「表1. 日本におけるSNS利用者数」のデータによると、2024年末時点での国内SNS利用者数は8,452万人に到達し、SNS利用率は79.0%となっている。これは2023年末の8,415万人（78.4%）から更に増加しており、2025年末には8,513万人（79.6%）、2026年末には8,550万人（80.1%）に達する見込みだという。2019年から2026年までの推移を見ると、SNS利用率は74.6%から80.1%へと上昇を続けている。
このデータから日本国内でのSNS普及は安定して進んでいることがわかり、人口減少が進む現在の日本でのこのようなSNS普及率の上昇は、特に高齢者層にもデジタル化が進んでいる様子を表しているとも言えるだろう。
主要SNSの満足度、TikTokがトップに
「表2. 主なSNSの利用率」によると、最も利用率が高いのはLINEで74.7%、次いでYouTubeが65.4%、X(旧Twitter)が55.9%、Instagramが54.5%と続いている。
「表3. 主なSNSの利用者満足度」を見ると、最も高い満足度を示したのはTikTokで86.5ポイント、次いでYouTubeが85.6ポイント、Instagramが85.3ポイントとなっている。一方で、X(旧Twitter)は78.3ポイントと主要SNSの中では最も低くなった。
これらのデータから、主に閲覧することが主体のSNSが高い利用率を示す傾向があることがわかる。特にTikTokは満足度トップで利用率も急増しており、短時間で閲覧できる動画コンテンツの人気が高まっていることがうかがえる。一方、X(旧Twitter)は高い利用率を維持しているものの満足度は最下位となった。フェイクニュースなどXに投稿されるネガティブな内容への不満や、Xの経営体制変更などの影響が出ている可能性も考えられる。
SNS利用のリスクと未成年利用への懸念が浮き彫りに
「表4. 未成年のSNS利用への制限」という問いに対しては、「15歳未満の未成年は利用できないようにすべき」という意見が22.9%で最も多く、次いで「保護者が管理できる状態で利用すべき」が18.9%、「12歳未満の未成年は利用できないようにすべき」が16.7%であった。「未成年であっても自由に利用して良い」という意見は6.9%にとどまる結果となった。
「表5. SNSを利用する際に考えられるリスク」においては、最も懸念されているリスクは「個人情報の流出」で60.9%、次いで「アカウントの乗っ取り」が50.8%、「誹謗中傷やネットいじめ」が36.8%となっている。
これらの結果から、SNS利用においてはセキュリティやプライバシーに関する懸念が強く、特に個人情報の保護が最大の課題となっている。また、未成年のSNS利用については年齢に応じた制限や保護者による管理を求める声が多数を占めており、SNSの健全な利用環境を整えようとする社会的な意識が高まっていると言えるだろう。
SNSは現代の日本社会に深く浸透し、2026年には国内ネットユーザーの8割以上が利用することが予測されている。動画コンテンツを中心としたプラットフォームの人気が高まる一方で、セキュリティリスクへの懸念も強まっている。
特に未成年のSNS利用への懸念にも見られるように、今後は各プラットフォーム提供者によるセキュリティ対策の強化と利用者自身のリテラシーの向上が、SNSの健全な発展のためには欠かせないだろう。SNSが社会インフラとしての役割を強めていく中で、リスク管理と利便性のバランスをどう取るかが今後の大きな課題となる。
古田ちほ アドクロ編集部
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