株式会社VOSTOK NINE研究所は、2025年1月31日に全国の15〜64歳の男女4,000名（有効回答3,518名）を対象にオンライン調査「購入・利用のきっかけとなる主要オンラインマスメディア調査2025」を実施した。この調査では、主要オンラインメディア47媒体を9カテゴリ（動画／SNS／ニュース／音楽・音声／新聞・雑誌系サイト／カルチャー・ライフスタイル／漫画アプリ／ソーシャルゲーム／スポーツ）に分類し、メディア接触が商品・サービスの購入・利用意向に与える影響を分析した。
調査概要
調査方法：インターネット調査
対象者：全国15歳から64歳までの男女4,000人（今回のレポートでは20歳〜64歳のみ抽出し算出）
有効回答数：3,518名
調査期間：2025年1月31日
出典元：VOSTOK NINE | 購入のキッカケとなるオンラインマスメディア調査
2025年はメディア利用者の購入意向度が大幅上昇、女性は45%超に
まず、「調査メディア利用者全体の購入意向度について」の全体データを見ると、2024年から2025年にかけて「欲しくなる層」の割合が大きく増加していることが分かる。女性は2024年の35.6%から2025年には45.3%へと9.7ポイント増加し、男性も31.5%から43.3%へと11.8ポイント増加している。
【1】調査対象メディア利用者全体の購入意向度について（2024年・2025年比較）
1-1：メディア利用者全体（性別・年代別）
年代別を見ると若年層ほど購入意向度が高く、特に20代女性は2025年に52.1%と過半数を超えている。一方、60代の購入意向度は他の年代と比較して低く、特に男性は21.9%から32.9%へと上昇したものの、最も低い層となっている。この結果から、若年層ほどメディア接触によって購買行動が喚起されやすい傾向があることが分かる。
1-2：メディア利用者全体（性別×年代別）
動画コンテンツが購入意向のトップに、新聞・雑誌系等のサイトは低水準
「カテゴリ別からみる、購⼊意向度について」の内訳を見ると、2025年に最も高いのは「動画」（55.4%、前年比＋19.3ポイント）で、次いで「SNS」（48.4%、前年比＋10.3ポイント）、「ニュース」（46.1%、前年比＋14.4ポイント）と続く結果となった。一方、「カルチャー・ライフスタイル」は24.9%と9カテゴリ中で最も低い水準にとどまり、「スポーツ」（32.2%）や「新聞・雑誌系サイト」（31.2%）も相対的に低調だった。この結果は、エンターテインメント性の高いコンテンツは購入意向への影響力が増す一方で、情報提供型のメディアは購買行動への直接的な影響が限定的であることを示していると言えそうだ。
【2】カテゴリ別からみる、購⼊意向度について（2024年・2025年比較）
動画カテゴリではYouTubeの影響力が突出、InstagramとX（エックス）も大幅増加
「メディア別からみる、購⼊意向度について」に関する調査では、動画カテゴリにおけるメディア別に見ると、「YouTube」が2024年の46.4%から2025年には77.0%へ30.6ポイントも急増し、圧倒的な影響力を示している。次いで「TVer」（60.5%、前年比＋28.7ポイント）、「Netflix」（54.2%、前年比＋19.8ポイント）となっている。
【3】メディア別からみる、購⼊意向度について（2024年・2025年比較）
3-1：「動画」カテゴリにおけるメディア別の購入意向度
また、SNSカテゴリでは「Instagram」が2024年の50.3%から2025年には67.0%へと16.7ポイント上昇し、「X（エックス）」も41.3%から62.6%へと21.3ポイント増加している。一方、「LinkedIn」や「BeReal」といった新しいSNSに関しては、影響力は限定的にとどまっている。この結果から、動画コンテンツとビジュアル重視のSNSが消費者の購買意欲に大きな影響を与えていることが読み取れる。
3-2：「SNS」カテゴリにおけるメディア別の購入意向度
20代・30代の動画とSNSが突出、60代はほぼ全カテゴリで購入意向が低迷
「年代別×カテゴリ別の購入意向度について」の分析では、20代では「動画」（60.0%）と「SNS」（59.6%）が特に高く、「ソーシャルゲーム」（56.5%）も高い影響力を持っている。30代でも同様の傾向が見られるが、40代以降は年代が上がるにつれて全体的な購入意向度が低下し、60代では「カルチャー・ライフスタイル」がわずか6.3%と極めて低い値を示している。この結果は、若年層ほどデジタルメディアからの購買影響を受けやすく、高齢層になるほどその影響が限定的になることを明確に示している。
【4】年代別×カテゴリ別の購入意向度について （2025年度調査）
SNS影響力は年代や性別で顕著な差
「SNSメディア別の購入意向度（性別）」という調査結果を分析すると、Instagram利用者の女性が最も高い購入意向度を示し、66.4%と全SNSプラットフォームの中でトップとなっている。男性利用者でも49.9%と約半数が「欲しくなる層」に分類されている。次に高い購入意向度を示したのはX（エックス）で、女性が54.1%、男性が49.9%となっている。一方、LinkedIn利用者は女性が24.5%、男性が28.1%と低く、BeReal利用者も女性が27.3%、男性が24.2%と購入意向に現段階では影響を与えにくいプラットフォームであることが分かる。全体的に見ると、ほとんどのSNSプラットフォームにおいて女性の方が男性よりも購入意向が高い傾向があるが、Facebookと LinkedInについては例外的に男性の方が僅かに高い購入意向を示している。これはSNSの利用目的や接触するコンテンツの性質が性別によって異なることを示している。
【5】主要SNS詳細×性別・年代別における購入意向度について （2025年度調査）
5-1：SNSメディア×性別
「SNSメディア×年代別」の調査結果を見ると、年代によって大きな差が見られる。Instagramでは20代の購入意向度が70.5%と突出しており、30代が64.5%、40代が58.6%と年代が上がるにつれて徐々に低下し、60代では38.5%まで下がっている。X（エックス）も同様の傾向があり、20代で61.1%、30代で58.8%、40代で51.7%、50代で42.3%、60代で32.2%と年代が上がるにつれて購入意向度が低下している。また、BeRealやLinkedInでは特に顕著な年代間格差が見られる。この結果から、若年層はSNS上の情報から購買行動に影響を受けやすく、特に視覚的要素が強いプラットフォームでその傾向が顕著であることが見て取れる。
5-2：SNSメディア×年代別
2024年から2025年にかけて、多くのメディアカテゴリで購入意向度が大幅に上昇していることは、デジタルマーケティングの重要性がさらに高まっていることを示唆している。特に動画コンテンツとSNSの影響力が顕著に増加しており、企業のマーケティング戦略においてこれらのプラットフォームへの注力が今後さらに重要になると考えられる。また、年代や性別によって効果的なメディアが異なることから、ターゲット層に合わせたプラットフォームの選定を含めたきめ細かいアプローチが必要とされるだろう。
古田ちほ アドクロ編集部
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