アドクロ編集部がお届けする今週の渋谷OOH Report。今週渋谷で展開された広告で、抑えておきたい広告事例をピックアップしていきます。
Topics①:CANMAKE(キャンメイク)商品開発者の想い全開な広告
キャンメイク「ブラウンパレッド」の広告。渋谷駅内2箇所で展開されました。
目を引くのは、デザインの1/2以上を占める商品企画担当者の想いが溢れ出たメッセージ。手書き風の文字に「使い勝手〇でキュートな新色爆誕しました!!!」「控えめに言ってヤバいのできました…」と距離感を縮める“今時”な言い回しの文章で、まるで友達に言われたような親しみを感じさせる内容でした。
一般に屋外広告は、広告への接触時間が短い場合が多く「文字量を少なく、なるべくシンプル」なデザインが多くなりがちです。
今回のように文字量が極端に多い広告は決して多くないですが、“開発担当者の想いが溢れ出た”とも受け取れる表現なので、ポジティブな印象に捉えた方も多かったのではないでしょうか。
Topics②:レッドブル「#新社会人の翼」
渋谷キラキラボード
「翼をさずける。」でお馴染みのレッドブルが展開した広告。こちらの今回の広告では、「#新社会人の翼」をテーマに、新社会人に向けた応援メッセージを展開しました。
渋谷キラキラボード
「初プレゼン」「昼食後の眠気」「午後も頑張るエナジー!」など、新社会人本人が“エナジードリンクを飲みたい”と思うようなシーンを想起させることで、飲料の認知獲得に繋げていたように感じます。
クリエイティブ内ではLINEギフトを使ってレッドブルをプレゼントできるキャンペーンも実施。新社会人だけでなく、そこに関わる上司や同僚になる方も参加できる座組になっていました。
Topics③:アメックス「ゴールド・プリファード・カード」
TOQサイネージピラースクランブルスクエア前
TOQサイネージピラーヒカリエ側
アメリカン・エキスプレス社が実施した「ゴールド・プリファード・カード」の広告。
「ゴールド・プリファード・カード」は従来のゴールドカードとは別に作られた新カード。メタル製カードであったり、年間200万円以上のカード利用で1泊2名分の無料宿泊券が付与されるなど特典を持ったクレジットカードになっています。
駅構内2箇所のサイネージで広告が展開され、うち1箇所は柱のフルラッピングを行うなどビジュアルにこだわった展開が特徴的でした。
放映された動画は、パーティーを彷彿とさせるような盛り上がりのある動画で「これマジ!?超奇跡!!」の言い回しなど、若年層を意識したコンテンツのような印象も受けました。
渋谷スクランブルスクエア、渋谷ヒカリエから渋谷駅直結の導線上にあるこれらのサイネージ周辺は、同ビルに勤めるビジネスパーソンの利用が多く、比較的知名度のあるベンチャー企業・大手企業勤務の方に見てもらいやすい点から、人気の高い広告面となっています。
Topics④:春クールのアニメコンテンツの広告
今週はアニメ関連の広告が多数みられました。アニメやドラマは春(4月)、夏(7月)、秋(10月)、冬(1月)と4半期ごとに放映作品が変わる事が多く、該当時期にはそのクールで放映される作品の広告が多数みられるようになります。
SHIBUYA WALL-JACK
ここ1、2年は特に、該当時期になるとアニメに関する広告を多数みるようになりました。駅の一部分をジャックするなど規模も大きくなってきている印象があります。
TOQサイネージピラー田都渋谷
例えば今週展開された「ガールズバンドクライ」は赤をベースにしたクリエイティブが印象的で、渋谷駅地下には真っ赤にラッピングした柱サイネージ、横長ビジョンのジャックと空間全体を抑えた展開が特徴的でした。また、渋谷MAGNET壁面でも同時展開しながら、屋内・外で露出を高めていました。
Topics⑤:アルコール飲料の広告
今週は先に取り上げたアニメ関連の広告も多かったのですが、同様にアルコール飲料の広告も多数みられました。
渋谷駅看板
先週発表されたキリンビールの新商品「晴れ風」の広告を始め、ジョニーウォーカー、GINON(ジノン)、サントリー生ビールと様々な商品の広告が展開されていました。先週も「#環奈と乾杯」をテーマにしたアサヒドライクリスタルの広告が渋谷駅複数個所で展開していましたが、各社この春先のタイミングで出稿量を増やしている印象があります。
歓送迎会の多い時期的な要因もあると思いますが、アルコール飲料の消費量が増える夏に向けた種まきの側面が強いと考えています。
下記は総務省統計局が出している「ビール」及び「発泡酒・ビール風アルコール飲料」の1世帯当たり月別購入数量を表したグラフです。2017~2019年平均ではありますが「気温が上がる夏にかけて」と「年末年始で消費量が増えると想定される12月」は比較的高い水準にある事が伺えます。
「暑い時に飲むキンキンに冷えたビールがおいしい!」と言われれば、イメージが付く方も多いかもしれませんね。実際に数値傾向としても現れているようです。
近年温暖化が叫ばれ、4月でも20℃後半の気温が予測される日も見られるようになっていますが、暑くなるタイミングが早まるにつれ、アルコール飲料の広告タイミングも今後変化があるかもしれませんね。次週以降も引き続きウォッチしてまいります。
4月に入り、渋谷駅前にちょっとした変化がみられました。
渋谷スクランブル交差点の目線位置にあり、長らく「赤い枠縁」が象徴的だった“シブヤテレビジョン2”がフレームデザインを一新。
スターツコーポレーション株式会社がネーミングライツを取得し、2024年4月1日より「スターツビジョンSHIBUYA」として運用を開始しました。
また直近で新宿駅構内(新宿BBB)や新宿駅前で新しい大型ビジョン(新宿サザンテラスビジョン)の運営が始まるなど、街の風景が少しずつ変化していることを実感しています。引き続き、各社の展開にも注目していきます。
過去のOOHレポートは下記よりご覧いただけます。