空港には日本全国、そして海外からも日々多くの人たちが集まります。たとえば、出張で利用するビジネスパーソンや、休暇に旅行を楽しむファミリー、友達と卒業旅行に旅立つ学生など、多様な層の利用客が訪れます。また、海外からビジネスや旅行で訪れた訪日客もたくさん利用する施設です。
普段の生活で利用する電車やバスなどの交通機関と違い、日常的に利用する頻度が少ないため、多くの人たちにとって空港は少し特別な非日常空間といえます。
今回は、電車やバス、駅構内などの公共交通機関に掲出できる交通広告の中でも、目的地に旅立つ人や海外から訪れる人にとって「玄関」の役割を果たしている空港や飛行機に出稿することができる空港広告・飛行機広告について、その特徴や種類などを解説していきます。
空港広告・飛行機広告とは?
ビズ男(初心者)
空港とか飛行機の広告といっても、
駅などにあるサイネージとか、電車などの交通広告と一緒じゃないんですか?
アドクロ先生
もちろん、駅ターミナルでも目にすることができるポスターやサイネージなどの広告媒体が空港にもありますが、空港広告には空港という空間を生かした他の交通広告にはない特徴や種類のものがあります。
また、機内広告にも長時間、同じ席に座っているという特徴を生かした様々な媒体があるんですよ。
空港は駅などに比べて、ロビーやコンコース、ショップ、飲食店など様々な施設が存在している広い空間です。
そのため、空港広告は他の交通広告に比べてダイナミックな展開をすることができますし、利用者が移動する範囲も広いため、様々なポイントで接触することができるのが特徴です。
また、飛行機内では決まった席で長時間過ごすことになるため、機内広告は日頃電車などで目にする交通広告と比べて接触されやすく、記憶への残り方も違います。新幹線にはない液晶画面が席についており、長い旅路の中で様々なプログラムを視聴する乗客も多いため、機内広告は動画広告を見せる機会にも恵まれています。
空港や航空会社の数
国内では全国47都道府県のうち、37に空港が存在しており(2021年4月時点)、それらの空港は、大きく4つに分類されます。成田空港や羽田空港、関西国際空港のような航空網の中継の役割を果たす「拠点空港」、静岡空港や神戸空港などの地方公共団体が管理を行う「地方管理空港」、自衛隊、在日米軍が使用する「共用空港」、調布飛行場などのような、どれにも分類されない「その他の空港」の4分類です。
そのため、空港広告は全国各地に点在する空港で展開することができます。
そして、国内で就航している航空会社の数は30社近くにも及びます(2021年4月時点)。
ANAやJALといった全国に路線を持つ会社を始め、北海道を中心としたAIRDOや九州・沖縄エリアを中心としたソラシドエアといった特定地域に特化した路線を持つ会社、そしてピーチやジェットスターといったLCCと呼ばれる低運賃を特徴とした航空会社も利用者が増えてきています。
利用者の性別・年齢
飛行機を利用する人を性別で見てみると、男性が約6割、女性が約4割となっており、男性のほうが少し多くなっています。おそらく仕事で利用する男性が女性より少し多いためだと予想され、休日だけに限ると女性の割合が増えてほぼ同じ割合になります。
また、年齢を見ると、40代以上の利用が多くなっており、ビジネスで利用する人や、時間やお金に比較的余裕のあるリタイア層の利用が多い傾向にあるようです。休日の利用者となると、休みを利用して旅行に出掛ける社会人や学生が多くなり、20代・30代の利用者の割合が上昇します。
空港広告・飛行機広告は若年層からシニア層まで、男女問わず多くのターゲットに対してリーチすることができ、平日は多くのビジネスパーソンが利用することから、ビジネス向けの広告出稿にも向いた交通広告だといえます。
ビズ男(初心者)
空港というと大きなキャリーケースを抱えた家族連れがたくさんいるイメージですが、
実際にどれくらいの人が観光目的で利用しているんでしょうか?
アドクロ先生
目的別に見ると、観光目的で利用している人は全体の4割程度で、
ビジネスで利用している人も同じく4割程度みたいですよ。
ビズ菜(ベテラン)
同じくらいの割合なんですね。
やっぱり休日になるとその割合も変わってきますか?
アドクロ先生
その通りです。
休日になると観光目的の人が多くなる傾向にあります。逆に平日に限ると、ビジネス目的が多くなり、観光目的の利用者は下がる傾向にあるみたいです。
そのため、空港広告や機内広告では旅行関連や観光地特有の広告も多く見られますが、ビジネス向けの広告も多く出稿されています。
空港における空港メディアの種類と特徴
それでは、実際に空港で出稿できる各種空港メディアについて紹介していきます。
壁面広告
空港内のロビーやコンコースなどに掲出する広告で、空港特有の広い空間を活用した広告展開が可能です。
搭乗口周辺のコンコースは乗客が長い距離を移動するため、空港広告ならではの長大なポスター展開や、連続した表現ができるのが特徴です。
また、出発・到着ロビーは天井が高く開けた空間になっているため、天井から巨大なフラッグを吊って空港を利用する多くの人に注目される広告を掲出することもできます。
柱巻き(アドピラー)
空港内の柱に掲出するタイプの広告です。
飛行機への搭乗以外にも、ショッピングや食事を楽しむ多くの人の目に触れることのできる空港広告です。
通路などの多くの柱が林立するスペースに集中することで、インパクトのある展開をすることもできます。
デジタルサイネージ
空港内には多くの場所に大小様々なデジタルサイネージが設置されています。
搭乗口付近の待合スペースに設置されたサイネージは、搭乗時間を待つ多くの乗客に対して視聴機会を作ることができます。
他にも、柱や壁に設置されたサイネージや、フライト案内板の周辺に巨大サイネージを設置している空港もあり、利用客が必ず接触するスペースでの掲出が可能な空港広告です。
カート広告
空港内で荷物を運ぶ際に利用するプッシュカートに掲出するタイプの広告メディアです。
プッシュカートは空港内の各所に設置されており、スーツケースを持った搭乗客の多くが利用するため、空港利用客だけではなく送迎に来た人にも高頻度で接触される空港広告ならではの媒体になっています。
飛行機内における機内広告の種類と特徴
飛行機利用客に対しては空港だけではなく、飛行機内でも接触ポイントを作ることができます。
ここでは飛行機の中で展開できる様々な機内広告メディアについて紹介していきます。
機内誌
プロモーション番組
航空会社によってモニターで視聴できる番組のひとつとして、企業独自のプロモーション番組という枠で機内広告を提供しているケースもあります。
機内でのプログラムのひとつにラインナップされるため、搭乗客が何を見るかピックアップする際の選択肢に入ることができます。
機内広告の中でも、能動的に視聴するメディアになるため、搭乗客へ大きなPR効果を見込むことができます。
その他の空港系広告メディア
航空各社ではここまで紹介してきた空港広告や機内広告以外にも、空港・飛行機の特徴を生かした交通広告が用意されています。
機体ラッピング
飛行機の機体自体をラッピングして広告媒体とすることができるという特殊な空港広告です。
滑走路に並ぶ飛行機の中でもラッピングされた機体はひときわ目立つため、搭乗口からの注目を集めることができますし、自社の広告を空に飛ばすことができるという他の交通広告では実現することが出来ない魅力も秘めています。
特徴的なラッピングは話題性もあるため、ニュースなどで取り上げられてPR 効果が出るケースもあります。
搭乗券広告
搭乗手続きの際に発行される搭乗券の裏側に掲載する広告メディアです。
こちらも空港特有の搭乗券という乗客が必ず手にするものを利用した空港広告になります。
会員向けDM
航空各社が持つマイレージクラブなどに入会している会員向けにDMを送付できる媒体です。
ビジネスパーソンを中心とした、飛行機をよく利用する比較的所得の高い層に向けてダイレクトにリーチすることができるため、ターゲットを絞った広告展開に有効な空港広告です。
空港広告・飛行機広告のメリット
空港広告や機内広告には、出張や旅行など日常的には利用しない空港という場所ならではのメリットがあります。
他の交通広告では見られない特徴的なポイントについて解説していきます。
日本各地、世界各国からの利用客
空港には日本各地から利用客が集まる他、海外からの訪日客もたくさん利用するため、空港広告や機内広告は外国人に向けてブランドや商品をアピールする際には効率的にリーチできる媒体です。
ビズ菜(ベテラン)
空港って見知らぬ土地に来たときに
初めて上陸する場所でもありますよね。
アドクロ先生
その地に訪れた乗客にとって「玄関」の役割を果たすのが空港です。
そのため、地方の空港などでは観光やビジネスで訪れた利用客に向けたその地域特有の広告が効果的なのも空港広告や機内広告の特徴です。
巨大な空間を活用した広告展開
空港は広大なスペースを有する特殊な空間のため、空港広告では駅などでは出来ない、大きくインパクトのある広告を展開することができます。
高い天井を活用した巨大なフラッグを吊ることもできますし、空港内にはイベントスペースがあるケースも多いため、旅行客や海外からの訪日客に対してインパクトのある仕掛けを作ることもできます。
ビズ男(初心者)
空港では搭乗するときや到着した後も、
たくさん歩く印象があります。
アドクロ先生
そうですね。
空港内では移動距離も長いため、利用客へリーチできるポイントがたくさんあるのも空港広告の特徴です。
壁面を利用した長大なポスター広告などを空港ではよく目にすることができますよね。
長時間の接触機会
飛行機は長距離の移動に利用されるので、その分搭乗時間も長くなります。
機内広告は電車やバスなどの交通機関とは違い、利用客が接触する可能性が高く、かつ記憶に残すことができる媒体でもあります。
国際線ではフライトが何時間にも及ぶことが多いため、モニターで映画や番組を視聴したり、雑誌を手に取って読んだりする乗客もたくさんいます。
そうした搭乗客の多くに対して確実にリーチすることができるという特徴が機内広告にはあります。
電車やバスなど他の交通広告については下記の記事で解説しています。それぞれ特徴をしっかり把握することで、効果的な広告展開を実現することができます。ぜひチェックしてみてくださいね。
空港広告・飛行機広告の広告媒体例
空港
『高松空港 国内線到着ロビー デジタルサイネージ』
- フルハイビジョンで空港利用者に訴求
『高松空港 カート広告』
- 長期掲載で多くの空港利用者にPR
『富山空港電照広告 手荷物受取所』
- 手荷物受取所内に設置される電照広告
- 到着されたお客様への訴求が可能
飛行機内
JALの機内誌『SKYWARD』
- JAL国際線の機内誌
- 機内座席シートポケット設置により配布
『Jetstar Magazine』
機内エンターテインメント『JAL ビデオ前CM』
- JAL国際線の機内で放映されるビデオ前CM
- 個人用モニターで放送されるため視認性の高い媒体
- 月間約260,000人が視聴
機内エンターテインメント『JAL 国内線前方スクリーンCM』
- JAL機内で放映される国内線前方スクリーンCM
- 月間視聴可能者数約902,000人
まとめ
日常生活で利用する駅や電車などとは違い、空港や飛行機は多くの人にとって非日常の空間であり、空港広告や機内広告にはその特徴を生かした媒体が多く用意されています。
旅行で利用する人はもちろん、出張などで利用するビジネスパーソンにとっても、空港は来ると少しわくわくする空間ですし、飛行機の中ではくつろいだ気分になります。日常とは少し違った空間でリーチすることができる分、空港広告や機内広告にはターゲットに刺さりやすく流されにくいという効果を見込むことができます。
日本全国の幅広い層や、海外から訪れた外国人にも効果的に訴求できる空港広告や機内広告は、他の広告メディアに比べても費用対効果が望める広告媒体といえるでしょう。
逆に、出張するビジネスパーソン向けや卒業旅行の学生、ファミリー層など、空港を利用する特定層に絞ったターゲットに向けても空港広告・飛行機広告は大きな力を発揮することができます。