日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、「世界腎臓デー」に合わせて慢性腎臓病(CKD)に関する啓発キャンペーンを実施した。このキャンペーンは、お笑いコンビ「ぺこぱ」を起用し、彼らが腎臓の役として登場するユニークな内容だった。特に、東京メトロと東急線での電車内ジャックが話題となり、3月23日から29日までの間、車両内の広告を「腎臓の新常識」で埋め尽くした。

この企画の背景には、腎臓が「沈黙の臓器」と呼ばれる理由がある。腎臓は初期症状がほとんどないと言われ、日本では5人に1人、推定2,000万人がCKDの患者と言われるなど、日常的に意識されにくいが深刻な国民病となっている。そこで、腎臓がもし喋ることができたらという想像をもとに、「ぺこぱ」の2人が真っ赤なジャケットで腎臓になりきり、否定しないツッコミを通じて腎臓の声を代弁する形で、病気への認識を高めることが狙われた。
車内の中づり広告が実施され、全8パターンのコピーで満たされた。また、SpotifyやPodcastでもぺこぱによる音声コンテンツを配信し、聞くことを通じて腎臓病の知識を楽しみながら学んでもらう工夫が施された。

この施策は、交通広告を活用したプロモーションで、多くの通勤客に病気への意識付けを行っている。特徴的なのは、「ぺこぱ」の起用によって重くなりがちな疾患啓発をポップに転換している点にある。腎臓を擬人化し、否定しないツッコミという芸風を活かして“腎臓の声”を代弁させることで、受け手にストレスなく情報を届ける設計となっている。深刻なテーマでありながらも、笑いを交えることで接触ハードルを下げ、記憶に残るコミュニケーションへと昇華している点は、著名人のキャラクターを機能的に活用した例といえる。

