早稲田大学広告研究会は読売新聞社と共同で、学生が制作したグラフィック広告を東京メトロ早稲田駅および高田馬場駅、JR高田馬場駅に掲出した。掲出期間は2026年3月23日から31日までで、就活期の大学生を主な対象とした駅広告プロジェクトとして展開された。

本企画は、SNSやデジタルメディアが情報取得の主流となる中で、「新聞の価値」を同世代の視点から捉え直すことを狙った取り組みだ。広告制作にあたり、学生たちは新聞を読み、気づきや印象の変化を共有しながら表現を検討した。制作に先立ち、参加メンバーは約1か月間にわたり新聞を読み続ける体験を行った。その過程で得られた気づきをもとに、就活生が抱える「社会人と同じ目線で会話ができるのか」という不安に着目し、仮説を構築。早稲田祭のトークイベントでのアンケートを通じて検証を行い、その結果をクリエイティブに反映した。

完成した広告は2種類で構成されている。一つは「今日起きたことも知らないやつが、未来を創れるわけがない。」というコピーを軸に、馴染みの薄い記事をあえて多く取り上げ、社会への視野を促す内容だ。もう一つは「紙にするって、覚悟がいる。」というメッセージを掲げ、新聞制作の裏側にある取材・校閲・編集のプロセスを伝える構成となっている。掲出場所には、早稲田生の通学動線上にある駅が選ばれた。

若者の新聞離れやメディア不信が広がる中、「社会のことを知らないのではないか」という不安や、新聞制作の工程への無関心といった若年層のリアルな感覚を起点に表現を設計している。同世代が自ら体験し、言葉にした広告であることが、一方的な価値訴求では届きにくい層への働きかけとして機能している。掲出場所を早稲田駅・高田馬場駅に絞ったことで、通学動線上で若年層に確実に届く接点をつくっており、学生自身が新聞の価値を「社会との会話に参加するための情報源」「手間をかけて編集されたメディア」として再定義し、同世代が新聞を手に取る入口をつくる施策となっている。

