銚子電鉄は千葉県の銚子駅と外川駅を繋ぐ、総延長6.4kmの鉄道路線です。1923年の開業以来、地域住民や観光客の足として親しまれてきました。しかし、採算性の悪化に前社長の横領、東日本大震災、コロナ禍と幾度となく危機にさらされてきた同社。そのたびに、「ぬれ煎餅」や「まずい棒」をはじめとするアイデアで危機を乗り越えてきました。
菓子製造・販売、駅名ネーミングライツ販売、アパレル、電柱広告、自作の映画…とユニークなアイデアを次々と生み出す銚子電鉄社長の竹本勝紀様にアイデアを生み出す秘訣について話を聞きました。
幾度となく危機を乗り越えてきた銚子電鉄

あと、電車車両には車で言う車検が義務付けられていますが、検査費用は1編成1,500万かかります。これが3年に1回やってきます。銚子電鉄では3編成車両を保有しているので、それぞれコストが重くのしかかります。
銚子電鉄の取り組みがメディアに取り上げられ、観光客が増えてくるとともに「今年こそは黒字か!」と思うと、今回のコロナのような外部要因によって、結果赤字になる…そんな繰り返しです。
何もしないことが一番のリスク。とにかくアイデアを出し続ける
待っていてもお客さんが来ないのであれば、面白い企画を自ら打ち出して新たなお客様を迎え入れるしかないわけです。何もしないことが一番のリスクですので、とにかくアイデアを出しながら走り続けています。思いついたら商品化して、ひたすらプレスリリースを書き、SNSやYouTubeなどのソーシャルメディアもフル活用して販売に邁進する。このスタンスを大事にしています。
「どうしたらそんなに面白いアイデアが思いつくのですか?」とよく聞かれるのですが、特にコツがあるわけでもなく、とにかく考えて出し続けています。考えることをやめないことがコツかもしれません。もちろんですが、ボツ案もたくさんありますよ。

食べ物以外でも、アパレルに進出したときは、「経営状態に穴が開いている」ことをコンセプトにした、“心まであったかい”銚電の『穴あきマフラー』を売り出して完売したりもしました。穴が開いていたら寒いはずなんですが…(笑)

色々試行錯誤しながら行きついた先が、クスッと笑ってつい応援したいと思っていただけるような“自ギャグ”を織り交ぜる今のスタイルです。この自ギャグネタで結果的にメディアに取り上げられる機会も増え、銚子電鉄の利用者増加に繋がりました。幾度となく襲ってくるピンチをアイデアで乗り越えてきましたね。
「電車屋なのに自転車操業」全ては鉄道を走らせるため