おすすめは目標コンバージョン単価の設定
編集部:入札の種類について、業種によってどちらがおすすめなどありますか?
田代:ありますね。
まず自動と手動の違いに関してはGoogleが色んなシグナルを見て運用してくれるか否かがあります。このシグナルとはユーザー情報のことで、デバイス、実際の検索語句、所在地等を指し、Googleはこのシグナルを見て誰にどんな広告文を出せばいいのかをやってくれます。
そのため、シグナルに入っていないようなものであれば、手動で入札するほうがいいと思います。例えば店舗系ビジネスなどの天気に左右されるものであれば、Googleは天気まではシグナルに入れていないので、Google側の学習を期待するよりも自分で手動で入札戦略を組むほうが良い成果は出やすいと思います。
編集部:中小企業の方がよくやっている自動入札はありますか?
田代:クリック数最大化をしている企業様のアカウントはいくつか見たことはありますね。どうしてもクリックを取りたい場合であれば導入しても良いとは思いますが、目標次第では別の自動入札を使うことをおすすめする場合があります。
例えば一定のキーワードで必ず露出をしたい場合ですね。クリック数最大化は、文字通りクリック数を大きく取りにいくための戦略になるので、常にユーザーに対して見せておきたい、という時には使ってもいいと思います。
SEOで急激に順位が落ち込んだときに取り入れることはたまに見かけたりしますので、コンバージョンを取りに行くのとはまた別の観点になりますね。

【Google広告の自動入札の一覧】
編集部:クリックが取れるということはLP(ランディングページ)に自信があるなら使ってもよいですか?
田代:あまりその考えに至ったことはありませんね。
仮にクリック最大化にしたうえでインテントマッチ(部分一致)で広く取っていく戦略を取っている場合、上述したようにインテントマッチ(部分一致)の場合は本来必要ではないキーワードまで拾ってくる可能性があるので、その場合インテントマッチ(部分一致)の拡張に対応できるLPが無いと考えています。
編集部:業種問わずおすすめな入札戦略はありますか?
田代:まずは手動ですね、自動であれば目標コンバージョン単価の設定をおすすめしたいです。

【目標コンバージョン単価(上から3つ目)の説明】
※手動入札とは:広告主が各クリックに対して支払う金額を自分で設定する入札戦略。この方法では、入札額を細かくコントロールできるため、特定のキーワードや広告グループに対して戦略的に入札額を調整することが可能。
目標コンバージョン単価の場合は設定したとしてもそのCPA以下で本当に取れるの?と疑問を抱く方もいるかと思いますが、過去の経験上スタートしてから2~3か月目からうまくいけば安定してCV獲得ができるようになります。(うまくいかないと広告の配信量が出ない”シュリンク状態”になる)
実は、昔は目標コンバージョン単価の設定は一定のコンバージョンが取れているアカウントしか使えない設定だったんですよね。
そのため初心者の方にはなかなか馴染みのない設定ではありましたが、近年その制約が無くなりましてコンバージョン実績が0のアカウントでも使えるようになりました。
そのため初月から目標コンバージョン単価以下でコンバージョンが出る可能性はありますが、初月からいきなりCPAが良くなる可能性は50%以下くらいかなと思います。
やはり2~3カ月は見ておいたほうがいいと思います。
編集部:色んな設定を試して初月からコンバージョンが出ずに苦労する方は多いと思いますが、何かアドバイスはありますか?
田代:入札戦略の話でいくと自動ではなく手動入札にしたほうがいいと思います。その方が正直社内でも説明がしやすいと思います。入札に入れているキーワードを一覧で見せて、どのキーワードでクリックが取れて、コンバージョンに至っていないのかが可視化されるのでどこに問題があるのかがわかりやすくなります。
次に向けた改善案の話をする際もボトルネックがあると他の人に改善の依頼もしやすくなりますからね。
編集部:初心者の方であればあるほど手動のほうがいいんですね
田代:自動も種類があるのと学習期間が必要になりますし、管理も大変なのでまずは手動から始めたほうが効果も出ますし楽かなと思います。
競合サイトからキーワードを見つける手法も
編集部:手動入札を行う際のキーワードの見つけ方について教えてください。
田代:まずはキーワードプランナーですね。

【キーワードプランナーの実際の画面。入力したキーワードの関連キーワードを検索ボリュームや競合性などの指標とともに一括で表示してくれる】
Googleで検索した時にサジェストワードが出ると思いますが、それも参考にするといいと思います。

【Google検索時のサジェストの例】
後は競合のサイトを見るというのは意外と良いキーワードを発見できる方法です。
LP内には当然該当のキーワードを含んでいると思いますので、キーワードプランナーだけで言い換え語句などが見つからない場合は競合サイトの活用をしてほしいですね。
