交通広告の中でも、駅広告や車両広告と聞くと、BtoC向けの商品のプロモーションが真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし、近年ではBtoB企業も交通広告を巧みに活用し、新たな商機を生み出しています。特に、SNSと連動させた広告展開により、交通広告が単なる看板ではなく、「バズ」を起こす仕掛けとして注目を集めています。
例えば、特定の業界のビジネスパーソンが多く集まる主要な駅構内や、通勤電車の車両内広告を活用したプロモーションがその一例です。これらの広告は、通勤や移動中に目にする機会が多いため、BtoBのターゲット層に確実にリーチできるだけでなく、デザインやメッセージによってはSNSで話題となることもあります。特に、車両を丸ごと使ったラッピング広告などは、ビジュアルのインパクトで注目を集める効果が高まっています。
本記事では、BtoB企業が駅や車両を活用した交通広告でターゲットにどのようにメッセージを届け、さらにはSNSでバズを生み出しているのか、具体的な成功事例をご紹介します。
駅車両広告以外のBtoB広告は、BtoB広告についてで詳しく記載してます。
駅広告・車両広告の事例（スタートアップ）
SmartHR
クラウド人事労務ソフトのBtoBサービス「SmartHR」は、コロナ禍により緊急事態宣言が初めて発令された2020年4月にJR首都圏全線の電車内ポスターや、JR新宿駅や東京メトロ都内主要16駅の駅ナカポスターなどにBtoB広告を展開しました。代表の「宮田さんのブログ」によると、コロナ禍で外出が減る中でも電車広告を見た人から数多くのツイートで拡散し、テレビCM並みの効果があったとのことです。FNNプライムオンラインやAbemaPrimeなど複数のメディアでも記事にしてもらうなど、時流をとらえたキャッチ・クリエイティブで話題になりました。
oVice
oVice株式会社は、バーチャル空間「oVice」の広告を都内各所に掲出しました。
「oVice」はバーチャル空間の中で自分のアバターを使用し、社内の人とのやり取りができる社内コミュニケーションツールです。コロナ禍以降の働き方の見直しの中、バーチャルオフィスの提供を通じて様々な企業の経営をサポートしています。新宿をはじめとする都内の駅構内や電車内、タクシー車内、エレベーター内など、多岐にわたる場所に広告を掲出。交通広告・屋外広告に加えて、日本経済新聞・読売新聞・朝日新聞にも広告を掲載しました。「5秒出社」というシンプルでありながらインパクトのあるコピーで、通勤要らずで働けるバーチャルオフィスの魅力をPRしています。
SmartHR
先ほどご紹介したクラウド人事労務ソフト「SmartHR」は、交通広告を積極的に活用しています。JR新宿駅西口の地下広場をジャックした例をご紹介します。
年末調整などの労務手続きが増える時期にあわせ、新宿駅西口の地下広場を独占するような広告展開となっています。この広告ではSmartHRを象徴する水色をバックに、昨年からSmartHRの広告に起用されている木梨憲武さんと伊藤淳史さんの写真が掲載されています。新宿西口以外でも電車広告や駅貼りポスターなど、各所で広告を掲出しています。
マネーフォワード
引用：PR-TIMES
マネーフォワードは、経理などのバックオフィス業務の効率化を支援するクラウドサービスを提供する企業です。上場も果たしている、BtoB-Fintech企業です。業界紙やターゲットではなく、「知名度を上げる」「信頼性を上げる」ために、CMやOOHを利用した独自の広告戦略を展開しています。
2020年10月から、『マネーフォワードクラウド給与』において、「紙ワザから、神ワザへ」をテーマにした広告をオンラインや都内主要駅のサイネージで配信しています。紙中心で煩雑な年末調整作業をクラウドでペーパーレス化することで、労務担当者や従業員の負担を軽減する様子をビジュアルで表現しています。
commmune
引用：PR-TIMES
コミューン株式会社は、コミュニティサクセスプラットフォーム「commmune（コミューン）」の交通広告を実施。commmuneを活用する17社の担当者が、実際の成果や活用方法などを自分の言葉で語っています。インタビュー内容を自然にピックアップすることでお客様が本当に感じていることを表現しています。
渋谷区屋外ポスターを皮切りに、東急渋谷駅やJR東京駅など主要駅で順次展開しました。
みずほリサーチ＆テクノロジーズ
みずほリサーチ＆テクノロジーズは、「電車の中で座るための戦略とアクションプラン」と題したトレインジャックを実施しました。東京駅と品川駅ではトレインジャックと同様のビジュアルを活⽤した駅広告も展開しました。
通勤通学の際に「座りたい」と感じる電⾞利⽤者に向けて「座りたいけど座れない」課題解決のため、94Pにわたる提案書「電⾞の中で座るための戦略とアクションプラン」を作成し、広告にしたものです。
同社の分析力と課題解決能力を遊び心のある形で表現。ターゲットとなるビジネスパーソンの興味を自然と引き出し、企業の専門性を印象付けていました。
infobox
株式会社インフォボックスは、JR東日本の主要駅で営業データプラットフォーム「infobox」の広告を展開しました。山手線をはじめとする30駅32面に設置された独立型ベンチ広告では、「BtoBの新規セールスならinfobox」というキャッチコピーを採用。サブコピー「誰に、いつ、どう営業する？」を通じて、営業活動における「ニーズとタイミングの不一致」を解決する同サービスの価値をアピールしました。
Sales Marker
引用：PR-TIMES
株式会社Sales Markerは、国内初のインテントセールスSaaS『Sales Marker』の広告を山手線や中央線快速を含む首都圏の主要路線などJR東日本の首都圏全線にて2024年12月9日から12月22日まで展開。電車内のドア横に掲出されました。2024年現在、まだまだ新しいワードの「インテントセールス」の認知拡大・普及を目指す取り組みの一環として実施されました。
バクヤスAI 記事代行
引用：PR-TIMES
TechSuite株式会社は、生成AIを活用したSEO記事制作代行サービス「バクヤスAI 記事代行」の電車広告を都営三田線全車両で開始。広告は電車内のドアステッカーに掲出され、生成AIを活用したAIタレント「バクヤスちゃん」を起用。生成AIのビジュアル広告としての新たな試みも行われています。広告は2025年1月7日から1年間、都営三田線全車両のドアステッカーとして掲出されてます。
ドラEVER
株式会社ドラEVERは、ドライバー専門求人サイト「ドラEVER」 と 運送企業向け車両管理DXツール「運SOUL」 のつり革広告を、Osaka Metro御堂筋線1編成（10車両）に1年間掲出。
Osaka Metro御堂筋線の車内に展開されているつり革広告は、運輸業界を支える2つのサービス「ドラEVER」と「運SOUL」の認知を高めるために展開されている。
駅広告・車両広告の事例（その他）
株式会社長倉製作所
引用：PR-TIMES
株式会社長倉製作所は、2024年1月19日より新CMシリーズとJR沼津駅でのOOH広告を展開しました。採用広報を目的としたこれらの広告は、BtoB企業ならではの「迷走」をテーマに制作され、ユニークな演出で注目を集めています。
JR沼津駅在来線改札内に掲出されたOOH広告では、「フォロワー6人しかいません。」という自虐的なSNS投稿風コピーを用い、「なにはさておき正社員募集中！」と続ける構成で、ユーモアとインパクトを両立した内容が展開されています。見た人に企業の存在を強く印象付け、関心を引くことを狙っています。
まとめ
BtoB企業による交通広告の活用は、単なる「看板広告」に留まらず、ターゲット層への確実なリーチとSNSでの話題性を両立させた戦略的なプロモーションとして進化を遂げています。主要駅や電車内といった高い視認性を持つ場所で広告を展開することで、通勤や移動中にターゲット層の記憶に残りやすいという利点を活かしています。
さらに、SmartHRの電車広告やoViceの「5秒出社」キャンペーンなど、広告のデザインやメッセージ性を工夫することで、SNS上での「バズ」を引き起こし、広告の効果を拡大する事例も増えています。
BtoB広告は、業界紙やDMなどがまだまだ中心です。BtoB広告についての記事を御覧ください。
ただ、BtoB企業にとっても、交通広告はターゲット層にリーチするために活用できる可能性はあります。これらの事例を参考に、自社の広告戦略に取り入れるヒントとしてご活用ください。
アドクロ編集部
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