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社内メールが広告に?担当者に聞いた長倉製作所の広告の狙い
株式会社長倉製作所は、2024年9月10日から、JR沼津駅の在来線改札内にて駅広告を展開しています。キャッチコピーは「お客様に誠実な会社」。同社の社長と広報チームとのメールのやり取りをそのまま広告にした斬新な演出となっていました。
本企画を担当した、株式会社電通東日本でクリエーティブディレクターを務める松田脩氏、 プランナーの冨田孝行氏によると、今回の企画は2024年7月中旬ごろから検討を開始。
「これまで同スペースで掲載していた広告の情報鮮度が落ちてきたためです。またクライアントとしても広告の手応えを感じていたこともあり、隣のスペースも増やして、新たなメッセージをつくりたいという意向もありました。」
メール形式という親しみのある形式で、構図はシンプルに伝えたいことがまとまったデザインでしたが、クリエイティブの狙いについて、
「長倉製作所様では、以前から企業認知およびリクルートを目的に広告出稿を行ってきました。その中で、できるだけ若者にユーモアのある会社と感じてもらうことを大事にしてきました。とはいえ、これは求人でもあることは忘れてはいけません。入社して、ふざけてばかりいていいわけもありません。
長倉製作所は、人間関係に関しては朗らかで包容力がある一方で、仕事には真摯に向き合っているスタンスの会社です。日頃から製品の精度やものづくりに対して非常に厳しくストイックな一面もあります。そんな仕事への誠実さを感じさせることも、求人という意味では大切なのではないかと考えました。」
「仕事への 『誠実な姿勢』を誇張せず、あくまで等身大で伝えたいと考えました。とはいえ、真面目なビジュアルとコピーだけでは既視感もありますし、そうしてしまうことで、その誠実さも理想論としか感じられないのではないかと思いました。その中で、よりリアルなものとして会社の誠実さを感じてもらうものとしてたどり着いたギミックが『社長と広報部とのメール』をそのまま貼り付けるというものでした。
あえて生々しいやり取りを曝け出すことで、インパクトのある表現となり、嘘を感じないクリエイティブになるのではないかと思いました。ある種、社内のやりとりを外に見られても恥ずべきことはないという、誠実さの表れにもなると考えました。」
今回の広告では、内部コミュニケーションを露出したデザインにする事で、視聴者との心理的距離を縮め、信頼性を高める効果があるように思いました。また、広告制作の過程そのものを広告のコンテンツとして利用することで、リアルな現場感を演出。透明性、誠実さなど「企業の人間性」が、見え隠れした広告のように感じました。
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