株式会社僕と私とは、2024年12月26日に、Z世代をターゲットとした優れた動画表現を表彰する「エモアワード2024」の受賞作品を発表した。この審査では、2024年1月1日から10月31日までに日本国内で公開された動画作品を対象に、Z世代の心を揺さぶる“エモい”クリエイティブを評価した。
審査は、ヴィアゲート株式会社の「エモミルリサーチ」を活用し、一般生活者の生体データ（視線・表情）から「エモスコア」を算出する方法で行われた。さらに、マーケティング業界の有識者・専門家が、エモーショナル・インパクト、創造性、トレンド性、広告効果、技術力などを基準に審査を行った。その結果、グランプリ1作品と優秀賞3作品が選ばれた。
高齢ドライバーの免許返納を描いた「家族の選択」
グランプリ作品には「最もエモく、共感・感動を生む最優秀作品に贈る賞」として、トヨタ自動車株式会社の「高齢ドライバーと、どう向き合うか」が選ばれた。
この作品は、家族に頼られていた祖父が免許を返納することで感じる寂しさと、その思いを家族が理解し寄り添うストーリーを描いている。特に、祖父が家族旅行を続けたいという願いを、運転をやめた後も家族全員で叶えようとする姿が「家族愛」として多くの共感を呼んだ。高齢者の運転免許返納に伴う葛藤を家族のストーリーを通じて描くだけでなく、視聴者に「移動の本質価値」を再認識させる作品となっている。
グランプリとなったこの作品は、Z世代の視聴者が自分自身の家族関係を重ね合わせることで、深い共感と感動を得たのだろう。高齢者の運転問題を家族全体の問題として捉え、共に解決策を見出す姿勢がZ世代に高く評価されたのではないだろうか。
トヨタ自動車株式会社「高齢ドライバーと、どう向き合うか」
Z世代のリアルな友情を映した「親友との夏休み」
「優秀賞：エモーショナル・ストーリーテリング部門」には、「特にエモい物語性に優れた作品に贈る賞」として、株式会社viviONの「大学生106人に聞いた『親友と夏休みにやりたいこと』」が選ばれた。
この作品は広告でありながら、まるで友達の投稿を覗いているかのようなクリエイティブで、Z世代のリアルな声を反映している。他撮り、自撮り、集合写真と画像と動画をうまく構成し、“自分ごと化”できる作品となっている。
Z世代の視聴者はこの作品を自分の日常と重ね合わせ、自然と引き込まれたのではないだろうか。Z世代の視聴者インサイトを的確に捉え、親近感を与えることで共感を生んだ作品と言えるだろう。
ゲームの世界で生まれる「共闘の喜び」
「優秀賞：デジタルイノベーション部門」は、株式会社コロプラの「〖フェスティバトル〗ファーストトレーラー」が受賞した。
この作品は、ゲームというデジタルコンテンツを通じて描かれる人と人とのつながりを、温かみのある表現で丁寧に描いている。最新の映像技術を駆使しながらも、「誰かと共に楽しむ喜び」「主人公になれる喜び」というメッセージが、Z世代に響く作品に仕上がっている。
この作品は、デジタル技術と人間関係の温かさを融合させ、Z世代に刺さる新しい表現を提示したのではないだろうか。視聴者がデジタルの中にも人間味を感じ、共感を得たことが見て取れる。
株式会社コロプラ「【フェスティバトル】ファーストトレーラー」
現代人の「忙しすぎる毎日」に気づかせる広告
「優秀賞：ソーシャルインパクト部門」は、三井住友カード株式会社の「忙しすぎる人」が受賞した。
この作品は、現代人の忙しさをテーマに、立ち止まって反省する気持ちを自然な形で突き刺すような作品となっている。視聴者にハッとさせる現代人のありようを描き、特に、作品の主人公である女性と同じ世代の視聴者に深い共感を呼んだのではないだろうか。
この作品は現代社会の問題を的確に捉え、視聴者に自己を見つめ直す機会を提供している。Z世代の視聴者は、この作品に触れて自分の生活を振り返り、共感と気づきを得たのだろう。
今回の「エモアワード2024」受賞作品には、家族愛、友情、現代社会の問題提起など、Z世代の視聴者が“自分ごと”として捉えやすいテーマが多く見られた。
これらの作品は、視聴者の心に深く響くストーリーやメッセージを持ち、共感を生むことで高い評価を得ている。特に、Z世代の価値観を反映したリアルな感情表現や、デジタル技術を活用した映像表現が際立っており、これらの要素が“エモい”と感じる広告の鍵となっていることが分かる。
今後は、SNSで特に需要が伸びているショート動画をはじめとした、視聴者が“自分の体験”として共感しやすいストーリー性のあるコンテンツがますます求められるだろう。企業のブランド戦略では、単なるプロモーション動画としてではなく視聴者の心を動かすような作品を目指すことが、今後のマーケティング成功の鍵となるのではないだろうか。
古田ちほ アドクロ編集部
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