粗利益を守り、営業利益を高める
著者は利益を最大化するための重要な要素として、「ブランド創出」「売上拡大」と並んで「粗利益」を守り抜くことの死活的な意味を強調する。値引・割引・在庫処分損という“三つの敵”がひとたび牙を剥けば、積み上げた粗利益は瞬く間に食い荒らされる。だからこそ、粗利益をリアルタイムで監視し、異変の芽を即座に摘む“番人”を組織の中枢に据えよ、と本書は語る。

営業利益の正体は「粗利益−諸経費」という至ってシンプルだ。粗利益を最大化する道と、経費を極限まで研ぎ澄ます道、二つのレバーを同時に握りしめてこそ、営業利益は跳ね上がる。さらに著者は、稼いだ利益を滞留させず「新規投資=既存利益−内部留保」という循環に乗せ、成長の火を絶やすなと説く。24の数式は、勘や経験という曖昧な羅針よりもはるかに精密な座標を示し、経営者を最短距離で利益というゴールへ導くコンパスになる。本書はその確信に満ちている。
「データで利益を生み出す」経営戦略の真髄
著者は35年以上のキャリアを持ち、特にドイツ・オットー社との共同出資アパレル通販会社での経験が転機となった。日本側の「ファッションは感性が大事」という常識と、ドイツ側の「徹底的なデータ分析に基づく販売」という考え方が衝突する中、データに基づくアプローチが圧倒的な成果を上げたことで、「数字で経営する」重要性を確信するに至ったという。
著者は、多くのマーケティング書が理論や売上に焦点を当てるのに対し、本書「24の数式」は「利益」を中心に据え、再現性の高い実践的アプローチを提供している点で異なると強調する。対象読者としては、売上ではなく利益を追求したい経営者、マーケティングと営業の連携に課題を感じる実務家、そしてデータに基づく意思決定を組織に定着させたいリーダーを想定している。
さらに著者は「ブランドを感覚ではなく利益につなげること、データに基づく意思決定、そして個人ではなく組織としてできるマーケティング」の重要性を説き、読者がこれらの要素を取り入れることで、日本企業に欠けていると指摘する「ブランド」「データ」「利益」の三要素を強化することを期待している。

