北海道中川郡音威子府村は、その魅力を日本国内で幅広く知ってもらうため、面白法人カヤックと共同でユニークな広告キャンペーンを展開した。音威子府村の開村123周年を記念して、村の写真に一言コピーを添えた123枚のポスターが新宿駅西口に掲出された。地域おこし協力隊の募集に向けたPRである。

音威子府村は、北海道で最も人口が少ない自治体であり、その魅力は訪れた人にしか伝わりにくいとの課題がある。一日の乗降客数が世界一の新宿駅から情報を発信することで、都市部の多くの人々に村のリアルな魅力を届け、興味を喚起する狙いがある。ポスターには、村民の協力のもと日常の風景や村の名産が写されており、ユーモア溢れるキャッチコピーが添えられている。「すれちがったやつ、だいたい知り合い。」や「村民の三分の一がクリエイターです。」といったコピーは、音威子府村のユニークな一面を巧みに表現している。

通常の観光ポスターとは異なり一つのテーマに絞らず多彩な魅力を発信した点が特徴。単なる観光宣伝に留まらず、「情報量では伝えきれない」リアルな村の姿を多面的に表現する試みだ。人口最少の村と世界有数のターミナルである新宿という対極的な環境を掛け合わせた点に価値がある。人の流れが最大化された都市空間において、あえて道内“最も小さな自治体”のリアルを持ち込むことで、情報のギャップ自体をフックとして機能させている構造に見える。さらに、観光地の魅力を一枚で完結させる従来のポスターとは異なり、123枚という物量で多面的に見せることで、村の「断片」を積み重ねていく設計となっている。ユーモアのあるコピーと生活感のある写真を組み合わせることで、単なる風景紹介ではなく、「人がいる場所」としての温度感を伝えている点が特徴だ。地域プロモーションにおける有効なアプローチといえる。

