
歯科医院の看板には、建物の入口や壁面に付ける医院の看板と、道路沿いなどの広告枠を借りて出す看板広告があります。医院に設置する看板は入口の案内や周辺への認知に、離れた場所の看板広告は生活道路などで医院名を知ってもらうために活用できます。
この記事では、広告枠を利用する屋外の看板広告を中心に、費用、場所、デザインの選び方を解説します。駅構内の看板については、歯科医院の駅広告をご覧ください。
歯科医院の看板広告でできること
通院する前から、医院名を知ってもらう
医院の前を通る機会がない人にも、通勤や買い物で使う道路沿いなどで名前を知らせられることが、看板広告の特徴です。すぐに受診先を探していない人へも、生活の中で医院の存在を伝えられます。
そのため、看板を見た直後の予約だけを目的にするのではなく、地域のどの範囲で名前を覚えてもらいたいかを考えます。医院名が目立たず、診療内容の文字だけが大きい原稿では、後で医院を検索しようとしても見つけにくくなります。
医院や駐車場までの道順を知らせる
幹線道路から一本入った場所や、入口が建物の裏側にある医院では、曲がり角や分岐点にある看板が案内の役割を果たします。「医院があることを知らせる看板」と「曲がる場所を知らせる看板」では、優先する情報が変わります。
道案内が目的なら、看板を見た地点から安全に到達できる経路が必要です。車の進行方向から入れない駐車場や、右折できない交差点へ案内していないかまで確かめます。
歯科医院で検討できる看板の種類

看板の種類
主な設置場所
選ぶ際のポイント
野立て看板
道路沿い、交差点付近など
道路のどちら側から見えるか、医院へ向かう経路か
壁面看板
建物の外壁
視線の高さ、周辺の建物や街路樹による遮り
屋上看板
建物の屋上
遠方からの見え方と、地域内外のどちらへ知らせたいか
電柱広告などの案内媒体
道路沿いの電柱など
利用できる場所、表示できる情報量、曲がり角との位置関係
大型の広告面を確保するより、医院へ向かう人の目に入る位置を選んだ方が目的に合う場合もあります。反対に、遠くからも医院名を認識してもらいたいなら、周辺に遮るものがない壁面や屋上の広告面も候補になります。
医院の敷地内や入居する建物に看板を新設する場合は、製作・設置費に加え、建物所有者の承諾や看板スペースの使用条件も確認します。医院の入口が見つからないという課題なら、外部に広告を出す前に、建物の壁面・袖看板や入口表示を見直す方法もあります。
看板の設置場所は、診療圏と進行方向から選ぶ
距離よりも、普段通る道を確認する
医院を中心に円を描くだけでは、通いやすさは分かりません。川や線路を渡る必要がある場所、坂道が多い場所、幹線道路で行き来が分かれる場所では、同じ距離でも移動の負担が異なります。
医院の所在地から、住宅地、最寄り駅、日常の買い物先へ向かう道を地図上でたどります。既存医院なら、来院者が多い地域と利用する交通手段を、個人が特定されない形で整理すると候補を絞れます。単に交通量が多い道路ではなく、想定する患者さんが使う道路かを見ていきます。
看板の正面写真だけで決めない
物件資料の写真ではよく見えても、実際には手前の街路樹や停車中の車に隠れることがあります。歩く人に向けた看板は歩行者の目線、車から見てもらう看板は道路からの見え方を確認します。車で確認する場合は、同乗者が観察するなど安全に行います。
広告面に対する角度も重要です。進行方向に対して横を向いた面と、正面に近い角度で見える面では、医院名の読み取りやすさが変わります。夜間も見てもらいたい場合は照明や周囲の明るさを確認し、昼間の写真だけで判断しないようにします。
現地で見る項目
歯科医院の広告として確認したいこと
通行する人・車の向き
知らせたい住宅地や駅から来る人に向いているか
医院までの道順
一方通行、中央分離帯、右折制限を踏まえて到達できるか
遮るもの
樹木、電柱、ほかの看板、駐停車で隠れないか
広告面の高さ・角度
実際の通行位置から医院名を読み取れるか
夜間の状態
診療時間帯に必要な明るさがあるか
継続して使う条件
掲載開始日、契約期間、周辺工事の予定など
歯科医院の看板広告の費用
看板広告の費用は、掲載する場所、大きさ、契約期間によって異なります。毎月の広告料に加えて、デザインや広告面の製作・取り付けなど、掲出までに必要な費用を確認します。ここでは、野立て看板と電柱広告の公開料金を紹介します。
野立て看板の料金例
愛知県岡崎市の三広アド社では、3年契約の野立て看板について、次の基本料金を公開しています。
サイズ(同社表記)
契約期間
月額広告料(税別)
看板面仕上げ料(税別)
3畳
3年
10,000円〜
30,000円〜
6畳
3年
18,000円〜
54,000円〜
※2026年10月確認。出典:三広アド社「野立て広告料金表」。実際の料金は設置場所などによって異なります。
3畳の最低表示額では、月額広告料10,000円×36カ月と看板面仕上げ料30,000円を合わせて390,000円(税別)になります。月額料金だけでなく、契約期間全体の広告料と初期費用で予算を考え、見積もりで追加費用の有無も確かめます。
電柱広告の料金例
東電タウンプランニングの電柱広告は、1個から申し込める1年契約の商品です。東京都内の月額料金は、次のように地域によって異なります。
対象地域
掲載単位・契約期間
月額広告料(税別)
千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・台東区・渋谷区・豊島区
1個・1年契約
4,500円
上記以外の東京23区
1個・1年契約
4,000円
八王子市・立川市・町田市・府中市など
1個・1年契約
3,300円
※2026年10月確認。一部の駅周辺にある特定の電柱は別料金です。初期費用は1個22,000円(税込)が別途必要です。出典:東電タウンプランニング「電柱広告」。
電柱広告は、医院へ向かう曲がり角や生活道路での案内に利用できます。ただし、空いている電柱でも法令や設備の状態によって掲出できない場合があります。希望する経路を伝え、利用できる位置と料金を確認します。
壁面・屋上看板は希望エリアで見積もる
壁面や屋上の看板は、同じ大きさでも立地や見える方向、照明の有無によって条件が異なります。希望エリア、掲載期間、予算を伝え、候補ごとの広告料と制作・施工費を取り寄せて比較しましょう。媒体別の公開料金は、看板広告の費用でも紹介しています。
契約前に確認したい貼り替え・撤去の費用
診療時間、電話番号、医院名などを変更すると、看板面の貼り替えが必要になることがあります。原稿の修正費、出力費、作業費のどこまでかかるかを確認しておくと、長期契約中の変更に対応しやすくなります。
契約終了時には、広告面の撤去や原状回復に費用がかかるケースがあります。撤去費を終了時に見積もる契約では、契約時点で総額が確定しません。誰が費用を負担し、どこまで撤去するか、解約の申し出はいつまでに必要かを確認します。
医院名と通いやすさが伝わる看板デザイン
最初に読んでもらう情報を決める
医院の認知を目的にするなら医院名、道案内を目的にするなら医院名と進行方向を中心に組み立てます。診療時間や駐車場の案内などは、看板の大きさと見る距離に合わせて加えます。すべてを同じ大きさで並べると、何を覚えてほしいのかが伝わりにくくなります。
パソコンの画面で原稿を拡大して見るだけでなく、現地写真に合成し、想定する距離から医院名が読めるかを確認します。顔写真やロゴを入れる場合も、医院名や道案内を読みにくくしていないかを見ます。
色と文字は、周囲の景色の中で見比べる
医院のイメージカラーを使う場合も、文字と背景の明暗差を確保します。白い外壁、街路樹、隣接する広告など、周囲の色によって看板の見え方は変わります。白地に淡い色の細い文字を置く案と、濃い色の太い文字を置く案を現地写真に合わせるなど、実際の掲載環境で比べましょう。
院長の顔写真は人物を覚えてもらう要素になりますが、必須ではありません。医院名や所在地が小さくなるほど写真を大きくする必要はなく、医院名・ロゴ・案内を中心にしたデザインも選択肢です。
矢印・距離・入口の案内を正確にする
道案内の矢印は、その看板を見る方向に合わせて作ります。両面看板では、裏表で見る人の進行方向が異なるため、同じデザインをそのまま使えるとは限りません。距離を表示する場合も、直線距離と実際に進む距離を混同しないようにします。
車の通行を想定する看板では、二次元コードの読み取りを前提にしない方がよいでしょう。医院名を覚えてもらい、停車後や帰宅後に検索してもらえるよう、ホームページと同じ表記にそろえます。
きぬた歯科の看板戦略から考える設置場所

アドクロ編集部の取材で、きぬた歯科の院長は、幹線道路の合流や渋滞する地点を調べて野立て看板の場所を検討していると説明しています。また、高速道路沿いと一般道沿いでは、通行する人の範囲が異なるという考え方も紹介しています。
新宿五丁目交差点の看板については、伊勢丹新宿店の利用者が駐車場から店舗へ歩く経路を意識して選んだと語っています。交通量の多さに加え、広告を見てもらいたい人が通る場所かどうかを見ている点が参考になります。
ここから自院の広告選びに活かせるのは、看板の枚数や派手な色使いをまねることではなく、その場所を誰が、どのような状況で通るかを見る視点です。地域の住民に知らせたい医院と、広い範囲からの認知を目指す医院では、選ぶ道路も変わります。
取材内容は、「きぬた歯科」が語る看板戦略をご覧ください。
看板を出す際の規制と広告審査
屋外看板は、自治体の屋外広告物条例によって、設置できる場所や大きさなどが制限され、許可が必要になる場合があります。自院の敷地内であっても、自由に設置できるとは限りません。新設の場合は、管理会社や施工会社と、設置場所のルールを確認します。
歯科医院の原稿は医療広告の規制にも沿う必要があります。医院名、所在地、診療時間などを正確に記載し、診療内容や資格を追加する際には広告できる範囲を確認します。ほかの医院の看板に載っている表現でも、そのまま使えるとは限りません。
参考:国土交通省「屋外広告物制度の概要」、厚生労働省「医療広告等ガイドライン」。
看板広告を出すまでの流れ
まず、医院の所在地、告知したい地域、希望する掲載時期、予算を整理します。候補を取り寄せたら、設置場所の地図と写真、広告面の寸法、見える方向、空き状況を確認し、現地の見え方も踏まえて選びます。
申込前には、広告料・制作費・施工費と、契約期間・更新・解約の条件を確認します。その後、媒体側の原稿審査や必要な許可手続きに合わせて制作・施工を進めます。開業日に合わせる場合は、設置済みの広告枠を使うのか、看板から新設するのかも伝え、希望日から逆算して予定を組みましょう。
掲載後は地域別の反応と案内の分かりやすさを確認する
掲出後は現地写真を確認し、医院名や矢印が予定どおり見えるかを点検します。看板を見たと回答した来院者の地域や、入口についての問い合わせも記録すると、認知と道案内のどちらに課題があるかを検討できます。
医院名の検索や来院者が増えても、看板だけの効果とは限りません。Web広告、紹介、季節による変化もあるため、掲出期間とほかの施策をあわせて記録します。複数面を使う場合は、場所ごとの役割を決めておくと更新時に比較しやすくなります。
まとめ
歯科医院の看板広告は、診療圏の中で医院名を知ってもらい、通院経路を案内する手段です。交通量や月額料金だけでなく、見える方向、医院への行きやすさ、契約期間、貼り替え・撤去費まで含めて検討しましょう。
看板以外の広告との組み合わせは、歯科医院の広告の種類と選び方で解説しています。

