
歯科医院の広告には、看板や駅広告、チラシ、地域情報誌、検索広告、SNS広告などがあります。選ぶ際に大切なのは、医院の近くに住む人、通勤・通学で通る人、受診先を探している人のうち、誰との接点を増やしたいかを整理することです。
駅前のビルに入る医院と、駐車場を備えた郊外の医院では、知ってもらいたい場所も伝える内容も異なります。この記事では、歯科医院で検討できる広告の種類と費用、立地に合う選び方、広告を予約・来院につなげるための準備を解説します。
歯科医院の広告は、何を改善したいかで選ぶ
「患者さんを増やしたい」という目的を、もう一段具体的にすると広告を選びやすくなります。医院の存在が知られていないのか、存在は知られていても診療時間が伝わっていないのか、予約まで進んでもらえていないのかによって、取り組む内容が変わります。
医院の状況
広告で伝えたいこと
主な選択肢
開業・移転を予定している
開業日、所在地、診療時間、予約方法
駅ポスター、チラシ、地域情報誌、検索広告
地域で医院名を覚えてもらいたい
医院名と、普段の生活圏から通える場所にあること
屋外看板、駅看板、地域を走るバスの広告
ビルの上階や住宅街にあり、場所が分かりにくい
利用する出口、曲がり角、建物・入口の位置
駅の出口付近の広告、道案内の看板
受診先を探す人に候補として選んでもらいたい
診療時間、アクセス、診療内容、予約の案内
検索広告、歯科ポータルサイトへの掲載
広告を追加する前に、医院名で検索したときの情報も確認します。診療時間が古い、入口が分からない、予約先が見つからないといった状態では、広告で関心を持ってもらっても来院につながりにくくなります。
歯科医院で検討できる広告の種類
屋外看板や駅広告、チラシは、歯科医院で活用される広告の一例です。このほか、電車・バスの広告やWeb広告なども、届けたい相手と地域に合わせて検討できます。

屋外看板・駅看板
屋外看板は道路沿いや建物の壁面など、駅看板はホームや改札付近、通路などに設置された広告面を利用します。同じ場所で継続して医院名を見せられるため、地域での認知や医院までの案内を目的に検討できます。
車での通院を想定するなら、通行量だけでなく、駐車場へ向かいやすい道路かどうかも重要です。駅利用者に知らせるなら、医院側の出口を使う人に見える位置かを確かめます。大きな駅や目立つ看板であっても、通院する生活圏から外れていれば優先度は下がります。
駅ポスター・駅のデジタルサイネージ
駅ポスターやデジタルサイネージは、開業・移転など、時期を決めて知らせたい情報にも利用できます。ポスターは掲出中に同じ広告が表示され、一般的なサイネージのスポット枠は、ほかの広告などと順番に放映されます。
サイネージには複数の画面をまとめた商品もあるため、希望する出口に画面があるかだけでなく、購入する枠の対象範囲を確認します。ポスターも、1枚ずつ申し込むものと複数面のセットでは規模が異なります。医院の近くで実施したい場合は、駅名だけで商品を決めないことが大切です。
電車・バスの広告
電車では中づりやまど上、ドア横、車内ビジョンなど、バスでは車内ポスター、車体の広告、車内放送などが選択肢になります。駅広告が特定の駅を利用する人への接点であるのに対し、車両を使う広告は路線や運行エリアを軸に検討します。
医院の周辺を走る路線バスなら、住宅地と最寄り駅を行き来する人へ知らせる方法を考えられます。一方、電車広告は複数路線や多数の車両をまとめて販売する商品もあります。単院の告知では、出稿範囲が診療圏に対して広すぎないかを見極めます。
チラシ・新聞折込・地域情報誌
チラシは、地図、診療時間、院内の写真などを手元で確認してもらえる媒体です。ポスティングは配布可能な町丁目や住宅の範囲、新聞折込は販売店の配布区域や部数、地域情報誌は発行地域と配布方法を確認します。いずれも「医院から近い」というだけで、希望する世帯すべてに届くわけではありません。
開業日や内覧会の告知では、原稿の締め切りと実際に届く日を合わせて検討します。配布数を増やす前に、道路や線路で分断されていないか、普段の買い物や通勤の経路から通院しやすいかを地図で確認すると、配布地域を絞りやすくなります。
検索広告・SNS広告・歯科ポータルサイト
検索広告は、地域名や診療に関する言葉で受診先を探している人との接点をつくります。Google広告では地域を指定できますが、設定によっては、その地域にいる人に加え、地域に関心を示す人も対象になります。配信開始後は、検索語句や地域別の実績を見て、医院の方針と合っているかを確認します。
SNS広告は、写真や動画などで医院の情報を届ける方法です。歯科ポータルサイトは、医院情報の掲載や予約機能など、サービスごとに提供範囲と費用が異なります。依頼先を比較するときは、広告費だけでなく、原稿制作や運用、予約システムの費用まで確認します。
なお、ホームページのSEOやGoogle ビジネス プロフィールの整備は、有料広告への出稿とは異なる施策です。Google ビジネス プロフィール自体は無料で管理でき、外部へ運用を依頼する場合には別途費用がかかります。広告とあわせて、正しい医院情報を確認できる状態を整えます。
歯科医院の広告費はいくらかかる?
歯科医院だから一律の料金になるわけではなく、広告枠の場所や大きさ、期間、配布数などで費用が決まります。公開料金の例として、次のような商品があります。
媒体・商品
掲載条件
公開料金(税別)
東京メトロの駅ばりポスター
葛西駅などのB等級駅
葛西駅などのB等級駅
B1サイズ・1枚・7日間
広告料金24,000円
三広アド社の野立て看板
3畳・3年契約
月額広告料10,000円〜
看板面仕上げ料30,000円〜
看板面仕上げ料30,000円〜
※2026年10月確認。各社の公開料金例です。制作費などを含む総額は、出稿条件に合わせて確認します。
上記の野立て看板は、月額で表示されていても3年契約の商品です。駅ポスターの7日間料金と、そのまま高い・安いを比べることはできません。医院としていつまで、どこで告知を続けたいかを決め、同じ検討期間で支払う総額を比べます。
費用の区分
主な内容
予算を組む際の確認点
媒体費・配信費
看板や広告枠の掲載料、Web広告の配信費
契約期間、面数、配信予算
制作費
デザイン、撮影、印刷、動画制作
使用する媒体数、サイズ、修正の範囲
施工・配布・運用費
看板の取り付け、チラシ配布、広告の運用
料金に含まれる作業と追加費用
更新・終了時の費用
原稿の差し替え、看板の撤去・原状回復
変更時の費用、解約条件、撤去費の見積もり時期
特に長期の看板は、診療時間や名称を変えた場合の貼り替え費と、契約終了時の撤去費も確認します。撤去時に見積もる契約なら、現時点で未確定の費用として分けておきます。媒体別の料金は、看板広告の費用と駅広告の費用も参考にしてください。
立地と診療圏に合わせた広告の組み合わせ

駅前・オフィス街の医院
駅の出口から医院まで歩き、どの経路で存在を知ってもらえるかを確認します。ビルの上階にある医院なら、駅から近いことと建物の入口が分かることは別の課題です。駅広告で医院名を知らせ、ホームページで出口からの道順や入口の写真を案内する、といった組み合わせを考えます。
通勤する人を想定する場合は、仕事帰りに受診できる診療時間かどうかも広告選びに関わります。医院の対応時間と合わない層へ広く出稿するより、通える条件を具体的に伝えることを優先します。
住宅地・郊外の医院
住宅地では、駅までの道だけでなく、買い物、送迎、バスの利用などの経路も候補になります。車での通院が中心なら、駐車場の入口に到達できる道路と、看板を見る車の進行方向を照らし合わせます。徒歩や自転車で通う人が多いなら、近隣へのチラシや生活道路沿いの広告も検討できます。
診療圏は半径だけで区切らず、川、踏切、坂道、幹線道路なども見て決めます。既存の医院であれば、個人を特定しない地域別の来院傾向と、患者さんが利用する交通手段を参考にできます。
きぬた歯科の取材に見る、地域に合う媒体の選び方

きぬた歯科・きぬた泰和院長。アドクロ編集部の取材より。
アドクロ編集部が取材したきぬた歯科では、最初に実施した広告として、八王子エリアで配布されていた地域情報紙が挙げられています。その後、インターネット広告や看板などへ展開を広げた経緯が語られています。
この取材から広告選びの参考にできるのは、大規模な予算をそのまま再現することではなく、地域の人が普段どの媒体に触れているかを見る視点です。医院の立地や診療方針が違えば、同じ看板や同じ配布方法が合うとは限りません。
詳しくは、きぬた歯科への取材記事をご覧ください。
広告の反応は、予約と来院まで確認する
広告を始める前に、何を改善できれば継続するのかを決めておきます。医院名を知ってもらう施策なら指名検索や医院サイトへのアクセス、予約を目的とする施策なら問い合わせ・予約・実際の来院を確認します。広告の表示回数やクリック数だけでは、医院の成果までは分かりません。
初診時の確認では、「医院を最初に知ったきっかけ」と「予約前に確認したもの」を分けると、看板を見た後で検索した経路も把握しやすくなります。回答を一つに限定すると、複数の広告に触れていた状況を見落とすことがあります。
一定期間の広告費を同じ期間の新患数で割ると、新患1人あたりの広告費負担を把握できます。ただし、紹介や自然検索による来院も含まれるため、この数字だけで個別の広告の効果は判断できません。掲載開始日や配布地域を記録し、広告への回答、地域別の来院傾向、予約枠の状況をあわせて振り返ります。
歯科医院の広告で確認したい医療広告のルール
歯科医院の広告には、医療法に基づく規制があります。看板やチラシだけでなく、患者さんを誘引し、特定の医院が分かるWeb上の表示も対象になり得ます。虚偽・誇大な表現、他院より優れていると示す表現、患者さんの主観に基づく治療内容・効果の体験談などは掲載できません。
原稿は、医院名、所在地、診療時間などの正確な基本情報を軸に作ります。看板やチラシなどでは、原則として法令で認められた事項を広告します。一方、医院のウェブサイトなどでは、一定の条件を満たすと掲載できる情報の範囲が広がります。検索広告やバナー広告そのものには、この扱いは適用されないため、リンク先のページと広告原稿を分けて確認します。
参考:厚生労働省「医療広告等ガイドライン」。
まとめ
歯科医院の広告は、地域で名前を知ってもらう、医院の場所を伝える、受診先を探す人に情報を届けるなど、目的によって選択肢が変わります。まずは診療圏と通院経路を整理し、広告費・制作費・契約期間をそろえて候補を比べましょう。
開業に向けた準備の順序は、歯科医院の開業時の広告で解説しています。

