カタリナマーケティングジャパンは、カタリナネットワークのデータを活用し、2023年と比較して2024年の消費者の購買行動にどのような変化があったかを調査した。
調査概要
- 調査方法：カタリナのリテールメディアネットワーク 内で集積した年間売上12兆円規模の実購買データをもとに構成
- 対象ID：毎月1回以上買い物をしている状態が以下対象期間内で継続しているID
- 対象店舗：カタリナネットワークに分析対象期間を通じて継続して加入している店舗
- 対象期間：2023年1月1日～2023年10月31日までの10か月（2023年）、2024年1月1日～2024年10月31日までの10か月（2024年）
- 掲載元：2024年速報版 消費者購買行動変化レポート
2024年 消費者に起こった平均購入単価の変化とは
まず、カタリナネットワーク内で買い物をした消費者の2024年の総購入金額は、2023年と比較し1.0%の増加と、ほとんど変化はなかった。1人あたりの購入数量については、 前年比97.9%と、2.1%減少した。
一方、平均購入単価は103.2%と上昇した。これは、2022年との比較をしている2023年版消費者購買行動変化レポートよりも、 平均購入単価の上昇率は和らいでいる。
値上げ傾向は落ち着きつつあるが、依然として物価高の状況は継続しており、その上昇をうけて消費者1人あたりの購入数量の減少につながったと考えられる。家計の節約志向はこれからも続き、購入数を減らすことにより支出総額を維持する消費者が増えると推測される。
■消費者購買行動変化レポートダイジェスト
※参考：2022-2023年比較
9割のカテゴリーで購買行動が減少、シビアな消費者の目
次に、購入者数の対前年比の減少が大きいカテゴリのTOP20である。購買状況をカテゴリ別で見ると、 全46カテゴリのうち実に43カテゴリ (93.5%) が前年を割っており、特定のカテゴリというよりも、全体的に減少していることが分かる。このことから消費者は、日常生活に欠かせない商品でも、必要最低限の購入にとどめるケースが増えていると考えられる。
■購入者数が前年比で減少したカテゴリTOP20
購入データから考える日本酒の課題とは
次に、購入者数の対前年比の減少が大きいカテゴリのTOP20で15位であった日本酒についてのデータである。
日本酒が2023年10月の酒税法改正での減税により、価格の高騰が抑えられているにも関わらず、購入金額、購入数量、購入人数が前年を下回っている。
購入人数が減少する際は、もともと購買量が少ないライト層から減っていき、 カテゴリ内には購買量が多いヘビー層の割合が増えるため、 購入人数の減少とともに一人あたりの購買量が増えていく傾向がみられるのが定石だ。
しかし日本酒カテゴリでは、購入人数とともに一人あたりの購入数量なども減少しており、ライト層からヘビー層まで、全体的に購入者が減少していることが考えられる。
価格の高騰が抑えられている状況でも購買促進につながりにくいことから、今後日本酒カテゴリは、消費者のライフスタイルや嗜好の変化に対応した商品の提案や、新たな消費シーンの創出が必要になると考えられる。
■日本酒の購入状況
今後も消費行動が冷え込む状況が続けば、消費者は価格と品質のバランスをより重視し、支出を抑える行動が増えると考えられる。これにより、単価が抑えられた商品やコストパフォーマンスの高い商品が市場で成長する可能性が高い。
そのため、企業には単なる価格競争だけでなく、価値を創出するマーケティング戦略が求められる。価格を下げるだけでなく、「この商品にはこれだけの価値がある」と、消費者にうまく伝える工夫が重要となるだろう。
北野たき アドクロ編集部
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