株式会社JTBは、2025年4月25日から5月7日までのゴールデンウィーク期間における旅行動向について調査を実施した。この調査では、全国15歳以上79歳以下の男女を対象にインターネットアンケートを行い、1泊以上の国内・海外旅行の意向や予定、旅行費用、目的、同行者、交通手段などについて、1,846名の回答をもとに分析している。
調査概要
調査方法：インターネット調査
調査内容： 2025年4月25日～5月7日に実施する1泊以上の旅行
対象者：全国15歳以上79歳までの男女個人
有効回答数： 事前調査10,000名 本調査1,846名
（事前調査で「GWに旅行に行く／たぶん行く」と回答した人を抽出し本調査を実施）
調査期間：2025年3月6日～12日
国内旅行は“分散と長期化”が進行中
2025年ゴールデンウィーク（以下、GW）に1泊以上の旅行を予定している人は、全国で約2,345万人と推計された（前年比93.1%）。総旅行消費額は9,855億円（同96.1%）で、物価上昇や経済状況の影響を受け、旅行者数・消費額ともにやや減少している。
国内旅行は2,290万人（同92.8%）で、平均費用は36,600円と前年より微増した。旅行日数が延びる傾向があり、特に3泊4日以上の中長期滞在が増加している。
出発日のピークは5月3日と4月26日に集中しており、GWの飛び石連休と4連休に合わせた計画が多い。
旅行目的としては「リラックスする、のんびりする」が28.7%と最も多く、「家族と過ごす（28.5%）」「食事・地域の味覚（27.5%）」が続いた。一方で、「趣味を楽しむ・極める」が15.6%と前年より増加しており、個人の関心や嗜好を反映した旅行スタイルが広がりを見せている。
行き先は「関東（22.3%）」「近畿（17.1%）」「九州（9.7%）」が上位を占める。2024年の能登半島地震の影響から一時的に減少していた「北陸」は回復傾向を示しており、前年より1.2ポイント増加した。
その旅先を選んだ理由としては、「行きたい場所がある（43.7%）」「自家用車やレンタカーで行ける場所（19.0%）」「帰省先なので（17.0%）」などが上位を占めた。
居住地と旅行先の関係をみると、北海道を除く地域では域内旅行が減少し、別地域への移動が目立っている。
移動手段では「自家用車（50.8%）」が最多だったが、前年より4.5ポイント減少している。代わって「JR新幹線（26.7%）」や「レンタカー（12.2%）」の利用が増えており、旅行の長期化に伴い複数の交通手段を使う動きが強まっているようだ。宿泊先は「ホテル（62.2%）」が中心である一方、「キャンプ場・キャンピングカーなどのアウトドア宿泊」が前年から2.2ポイント増加し、体験型の旅行が浸透してきていることが見て取れる。
海外旅行110%回復、近場と長期の二極化に
海外旅行は前年比110.0%の55万人と増加しており、旅行費用の平均は26万8,000円でほぼ横ばいとなっている。（※図表1より）
旅行先は「韓国（25.7%）」が最多で、「台湾（14.2%）」「東南アジア（10.6%）」「ハワイ（9.7%）」「ヨーロッパ（9.7%）」が続いている。近距離の手頃な旅行先が支持される一方で、長期・遠距離の旅行も一定数存在し、二極化が進んでいる。
旅行費用の水準は「10万円〜15万円未満（15.9%）」「7万円〜10万円未満（15.0%）」「15万円〜20万円未満（14.2%）」が中心で、旅行日数は「3泊4日（29.2%）」が最も多い。
生活者の旅行意欲に大きく影響しているのが経済環境の不透明さである。物価高や為替不安により、消費者の節約志向は一層強まっている。「生活費を節約している（20.2%）」「趣味や旅行にかける費用を減らしている（18.1%）」と答えた人は前年より増加しており、慎重な支出傾向がみられる。
旅行支出において重視される項目は「飲食（30.6%）」が最多で、「宿泊施設（17.7%）」「体験・アクティビティ（6.9%）」が続いた。性年代別では、体験型の支出は若年層、宿泊や飲食は中高年層に偏る傾向がある。
2025年のGW旅行は去年と比較しても全体として控えめな動きとなるようだが、一方で「遠方志向」「アウトドア」「体験重視」といった新たな傾向も見られる。経済状況や生活意識の変化を受け、旅行の価値観も多様化していると言えそうだ。
古田ちほ アドクロ編集部
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