奈良県、JR東海、近鉄グループホールディングスは、奈良県明日香村にある「石舞台古墳」を再現した巨大模型を、東京駅八重洲コンコースに展示した。2026年7月の「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録を記念した企画で、8月17日から30日まで展開している。

今回の取り組みは、近鉄グループの奈良観光キャンペーン「わたしは、奈良派。」、JR東海の観光キャンペーン「いざいざ奈良」、奈良県による3者共同企画。世界遺産登録を契機に、首都圏で飛鳥・藤原エリアへの関心を高め、奈良への観光誘客につなげる狙いがある。展示の中心となったのが、飛鳥エリアを代表する史跡「石舞台古墳」だ。7世紀初め頃に築造されたとされる国内最大級の方墳で、30数個の巨石を積み上げた石室が特徴。被葬者については、飛鳥時代の有力豪族・蘇我馬子とする説が有力視されている。東京駅に登場した模型は、実物の2分の1スケールで石舞台古墳を再現したもの。全長約4m、全幅約2.3m、高さ約1.3m、重量約300kgという大きさで、駅のコンコースに巨大な古墳が現れるという異質な光景をつくり出した。会場では模型だけでなく、「わたしは、奈良派。」飛鳥・藤原編と「いざいざ奈良」飛鳥編のキービジュアルも展示。両キャンペーンでイメージキャラクターを務める杏と鈴木亮平による世界遺産登録へのお祝いメッセージも掲出し、奈良の歴史や観光地としての魅力を伝える構成となっている。

近鉄グループでは今回の世界遺産登録に合わせ、杏を起用した「わたしは、奈良派。」の2026年秋キャンペーンも展開。石舞台古墳や橘寺、藤原宮跡などを巡る新CMを公開したほか、9月下旬から東京駅や品川駅のデジタルサイネージ、10月から近鉄各駅や車内でも広告を展開するなど、複数の接点から飛鳥・藤原エリアへの観光需要を喚起している。

今回の東京駅での施策は、観光地の魅力をポスターや映像だけで伝えるのではなく、その象徴となる「石舞台古墳」そのものを都市空間に持ち込んだ点が特徴。日常的に多くの人が行き交う東京駅構内に巨大な古墳を出現させることで、「なぜ東京駅に古墳があるのか」という違和感を生み、通行者の足を止めるきっかけをつくっている。
世界遺産登録というニュース性を、巨大な立体物によって直感的な体験へ変換したプロモーション。東京にいながら奈良の歴史に触れる接点をつくり、そこで生まれた驚きや興味を実際の旅行へつなげる体験型OOHといえる。

