奈良県橿原市は、カプコンとの包括連携協定に基づき、対戦格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズを活用したまちづくりを展開した。キャラクターの銅像や巨大壁画、駅構内の装飾などを市内各所に配置。2026年7月の「飛鳥・藤原の宮都」の世界文化遺産登録を受け、歴史遺産への関心を市内周遊につなげる取り組みとして打ち出した。

両者の連携の背景には、カプコン創業者の辻本憲三氏が橿原市出身という縁がある。1995年に藤原宮跡で開催された「ロマントピア藤原京'95」では、カプコンがパビリオンを出展し、オリジナルアニメ『ストリートファイターII よみがえる藤原京~時を駆けたファイターたち』を上映。この接点を起点に交流を重ね、シリーズ誕生35周年にあたる2022年8月30日に包括連携協定を締結した。
連携後は、「リュウ」「春麗」「ケン」「エドモンド本田」の銅像4体に加え、デザインマンホールや駅名標の装飾、周遊マップの発行などを展開。ゲームのキャラクターに出会える場所をまちなかに点在させ、複数のスポットを巡る楽しみを設けた。
市の玄関口となる近鉄大和八木駅周辺では、「ストリートファイターストリート」の構想を推進。駅北側には高さ約2.7メートル、幅約9メートルの巨大壁画が設けられ、リュウや春麗をはじめとする29体のキャラクターがゲーム画面さながらに並ぶ。駅構内の階段やホーム待合室にも装飾を施し、電車を降りた段階から作品の世界観に触れられる空間をつくった。

視覚的な装飾に加え、近鉄大和八木駅と近鉄橿原神宮前駅では、リュウ役・春麗役の声優が市内の見どころを紹介する構内放送を、2026年7月31日から1年間の取り組みとして導入。駅南側の観光交流センター「かしはらナビプラザ」前にはリュウの銅像、周辺にはリュウと春麗のデザインマンホールを配置し、駅の内外に接点を広げた。

JR万葉まほろば線の香久山駅、畝傍駅、金橋駅では、計11か所の駅名標にオリジナル装飾を実施。駅名標ごとに異なるキャラクターを見比べられる点が特徴だ。また、2025年8月29日から2026年3月末頃にかけては、22種類のキャラクターデザインを用いたラッピング列車も運行し、移動中の車両にも作品の世界観を取り入れた。

こうした展開には、行政とカプコンだけでなく、地域の企業や団体、市民も関わっている。春麗の銅像は、ふるさと納税を活用したガバメントクラウドファンディングによって実現。近鉄大和八木駅北側の壁画は橿原ロータリークラブから寄贈され、奈良芸術短期大学の教員・学生や児童が制作に参加した。市は2026年度、5体目以降のオブジェ制作に向けた寄附募集も打ち出した。

