転職後、「エゴサーチ」で意外な落とし穴に直面
X運用の目標設定はどのようにしていますか
KPIは「インプレッション数」を重視していますが、わかさ生活時代との違いとして、GMOサインでは「リード獲得」も指標の1つとして扱っています。
ただ、両社とも基本的には認知拡大とファン作りという目標は共通しています。わかさ生活では「アイケアのサプリといえばブルーベリーアイ」、GMOサインでは「電子契約といえばGMOサイン」という第一想起を目指しています。また、日々の「いいね数」を指標として見ていることも変わりありません。いいねが増えれば、アルゴリズム的にインプレッションも上がり、ファンも自然と増えていくためです。
「インプレッション数」を高める工夫はどういったものがありますか
インプレッションを増やすための露出方法は主に3つあると考えています。
- トレンドワードを活用した投稿を発信すること
- リポスト（拡散）で新しい人に情報が伝わること
- エゴサーチでアプローチすること
私の経験から言えることは、基本的にはtoCもtoBも、X運用ではこれといった特別な違いはなく、強いアカウントの育て方は同じだと考えています。その上で、前職では特に「エゴサーチ」を活用したアプローチに力を入れていました。他社と比べてもかなり積極的に行っていたと思います。
「エゴサーチを使ったアプローチ」とはどういった手法なのでしょうか
関連するキーワードを含む投稿を検索し、投稿に対して「♡（いいね）」を付けていくアプローチです。
こちらからユーザーに直接アクションできる手段が「いいね」であり、「いいね」されたことが相手に通知されることで、プロフィールを見てもらえる機会が増えます。わかさ生活時代は特に力を入れていて、“エゴサーチで育てた”と言っても過言ではありません。「ブルブルくん」など、商品以外でも対象ワードが多く、エゴサーチを活用しやすい状況だったことも大きいです。
ただ、toBサービスということもあり、前職と比較すると現職ではエゴサーチをしても「GMOサイン」について呟いている人がほとんどいません。GMOインターネットグループが展開するtoCの他サービスも含めた言及はありますが、「GMOサイン」関連に絞るとそれがガクッと減る。ここに難しさを感じています。
関連ワードも細かく見ていますが、toBサービスであることや、基本的にはインフラに近く“あって当たり前のサービス”なので、ユーザーも特段発信するモチベーションにならないと思いますし、何か不満などがあって初めて声が上がるという印象でした。
今はどのように「エゴサーチ」を活用しているのでしょうか
既に「電子契約」や「電子印鑑」に興味を持っている層へGMOサインの存在を知らせるという点では、エゴサーチが効果的だと考えています。発信の母数は少ないとはいえ、幾つかキーワードを選定し、エゴサーチしています。
また、Xはビジネスパーソンが多いSNSですので、まずはアカウントを知ってもらうことが重要です。なので、エゴサーチで接触したユーザーがGMOサインのアカウントプロフィールを見た時に、サービスのことが理解できるよう内容を作り込んでいます。
【実際のプロフィール写真 2025年5月9日時点】
例えば、プロフィールに資料請求URLを貼ったり、「350万社を突破」と実績を記載したり、無料プランの特徴である「月5件まで送信無料」を明記したり。まずは製品を知ってもらうことが第一歩で、そこに関連した情報を載せています。
「電子契約に興味がある層」にターゲットを絞らない
現状、1日あたりどれくらい投稿しているのでしょうか
1日2投稿以上を目安にしていますが、実際には4〜6投稿することが多いです。投稿は、必ずしも“電子契約に興味がある層”だけをターゲットにしているわけではありません。その層だけ意識してしまうと、Xの良さが活かせなくなると感じています。
XはInstagramなど他SNSと比較して拡散性が強い媒体です。好きなアイドルやスポーツチームなど、共感で結びついているプラットフォームなのに、そこで「電子契約に興味がある人」だけを対象にすると、ターゲットが極めて狭くなってしまいます。
【GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 GMOサインX担当 馬氏】
もちろん、そこだけを狙うことも間違いではありません。ただ、淡々と自社商品情報だけを発信して反響を上げられるのは、既に“熱狂的なファン”を持つ商品、ごく一部の企業だけではないでしょうか。実際、宣伝メインになっている企業アカウントの多くがエンゲージメントが低迷しているように感じます。
一度フォローしていただければ、投稿に目を向けていただける可能性が上がります。Xは基本無料で情報発信できるプラットフォームですから、投稿だけでなく継続的に「GMOサイン」という名前を目に入れてもらうこと自体が重要だと考えています。
X運用で生成AIは活用していますか
最近は、Grok（X社が提供する生成AI）を活用して運用をブラッシュアップすることもあります。直近だと「1日どれくらい投稿するのが良いか」と聞いたら、3〜4投稿が良いと言われたり、他にも「Xのアルゴリズムについて教えてください」といった質問を投げかけたり、「この投稿は反応が得られるでしょうか？忖度なしで答えてください」と投稿文の添削に利用しています。アルゴリズムやXの仕組みに関する質問は、X社の生成AIなので、確かな情報を持っているだろうと期待していますね。
一方で、例えば「日本語を綺麗にしてください」と指示すると、綺麗になりすぎて逆に感情移入しづらいというか...文法的には正しくても、ちょっと使えないと感じるところがあります。話し口調というか、人間味がある感じがでなかったり。そういう意味では、投稿のヒントは掴めますが、どのAIもまだ発展途上だと考えています。
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フォロワー発信の声に耳を傾けて判明した意外な事実
フォロワー発信の声に耳を傾けて判明した意外な事実
加藤誠也 アドクロ編集部
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