歌人・俵万智さんの新刊「生きる言葉(新潮新書)」の交通広告が、10月27日から東京メトロ・福井鉄道・えちぜん鉄道の「田原町(たわらまち)駅」に掲出された。著者名と駅名が同音となるユニークな縁に着目し、駅という生活動線の中で著者名を想起させる設計に踏み切った施策だ。

【えちぜん鉄道・福井鉄道「田原町駅」に掲出された『生きる言葉』広告】
「生きる言葉」は発売後に10万部を突破し、幅広い読者層に支持を広げている。スマホとネットが日常化した現代において、恋愛、子育て、ドラマ、歌会、SNS、AIまで、さまざまな場面で言葉が果たす役割を、歌人ならではの視点と実体験から掘り下げた一冊だ。
掲出場所の選定にはストーリー性を持たせた。福井鉄道の田原町駅は俵さんの母校・福井県立藤島高校の最寄り駅であり、地縁と語呂を重ねた展開となっている。

【えちぜん鉄道・福井鉄道「田原町駅」に掲出された『生きる言葉』広告】
新潮社プロモーション部の金子氏によれば、今回の企画は俵万智さんの新刊「生きる言葉」が10万部を突破したことを記念して実施したもので、8月初旬より出稿を検討していたという。書籍内(p.22)には〈高校時代の最寄り駅が「田原町(たわらまち)」という。誰よりも早く名前を覚えてもらえて便利だった。(中略)駅名をもじったペンネームだと勘違いされがちだが、俵万智は本名である。〉という記述があり、刊行後、この箇所に対する読者の反響が多く寄せられた。
そこで「田原町」という駅名にまつわるエピソードを活かし、駅広告として展開することで新たな話題を生み出し、普段本を手に取らない層にもアプローチできるのではないかと考えたという。

【東京メトロ「田原町駅」に掲出された『生きる言葉』広告】
金子氏は、「たわらまち」という名前の掛け合わせが今回の広告のこだわりのポイントであり、俵万智さんだからこそ成立した唯一無二の企画に仕上がったと語る。また、読者からの感想をX上で募集し、寄せられたコメントを広告内に使用した。募集時には「俵万智さんにゆかりのある○○駅に出稿します!」と駅名を伏せるなど、展開までの過程も工夫を凝らしたという。
「『言葉』をテーマにした本だからこそ、『言葉を考える』という豊かさを感じるきっかけになればと思いました。本書には俵さんならではの視点でAIについて語った、『そこに「心の種」はあるか』という章もありますので、ぜひあわせてお読みいただければ」と金子氏は語った。

