今や商品を売るために欠かせない手法として広く注目を集めている「インフルエンサーマーケティング」。
今回は、この手法を活用してUGCが6倍になった突撃動画や、1日でアプリダウンロード1万件を達成した事例など、数々の成功事例を持つ企業「FinT」にインタビュー。インフルエンサー事業部のリーダーである有末氏に、同社で手掛けた具体的な事例をもとに、インフルエンサーマーケティングの成功の秘訣や効果的な戦略について深掘りしながら現代のマーケティングの鍵を探りました。
「ただの案件動画」は敬遠される時代に
編集部: FinTさんについて教えてください。
有末: FinTは、SNSを起点にしたマーケティング支援を行っている会社です。インフルエンサーマーケティングに関しては全体設計から関わっており、SNSからオフラインへとつなげる広い範囲のプロモーションを支援しています。
社員の平均年齢が若く、デジタルネイティブ世代という強みを生かした視点でZ世代をターゲットにした依頼を多く手掛けていますが、SNSでのバズをきっかけにして40代以上の層を狙っていきたいと考えるクライアント様もいらっしゃいます。
編集部: インフルエンサーマーケティングのトレンドについて教えてください。
有末: 最近は「界隈系マーケティング」が注目されているように思います。インフルエンサーをただ起用するだけでは伸びにくくなっているので、熱狂的なファンを持つインフルエンサーを起用して、そのファンのエンゲージメントや購買行動を狙う手法です。
例えば「にじさんじ」のようなVTuberやゲーム実況者など、特定の界隈で熱狂的な支持を得ているインフルエンサーや、よりニッチなコミュニティに特化したインフルエンサーを起用するケースが最近では増えています。そうすることによって、ファンが「ただの案件動画」ではなく、より親近感を感じて購買行動に結びつくことが期待できます。
【株式会社Mizkanとにじさんじのタイアップ動画】
編集部: なるほど。その界隈でしか知られていないようなインフルエンサーの、ニッチなファン層を狙っていくような感じになっているんですね。
有末: そうですね。最近ではユーザーのリテラシーが高くなってきているので、以前は案件動画を多く投稿するだけで効果がありましたが、今はユーザーに「ただの案件動画だな」と思われ敬遠されていまいます。だからこそ、逆に案件としてファンにどのように喜んでもらえるかを考えながら設計することが、今後はすごく大事になってくると思っています。
信頼感で勝負!インフルエンサーが生む『買ってみよう』効果
編集部: インフルエンサーマーケティングについてさらに掘り下げたいのですが、商材による向き不向きはありますか?
有末: 弊社がサポートしている企業で言えば、コスメや美容系の商材が特にインフルエンサーマーケティングに向いていると感じています。最近ではアプリやゲームアプリも成果が出ており、Qoo10やAmazon、楽天といったオンラインモールでの売上向上に悩むクライアント様との相性も良いですね。
逆に、向かない商材やサービスは正直あまり思いつきません。インフルエンサーマーケティングは基本的に、コミュニティに対してアプローチする形になるので、その商材に合ったファン層を持つインフルエンサーを起用すれば、大きな失敗には繋がりにくいと思います。もし失敗するとすれば、それは起用したインフルエンサーと商材のファン層が合わなかったということだと思います。
編集部: インフルエンサーを起用することで、マーケティングにおいてどのような強みや他の媒体にはないメリットがあるのでしょうか?
有末: 先ほども少し触れましたが、インフルエンサーを通じて特定のコミュニティにアプローチできるというのが大きなメリットです。例えば、女性フォロワーの多いインフルエンサーを起用すれば、女性をターゲットにしたマーケティングをピンポイントで行うことができます。
さらに、インフルエンサーに実際に商品を使用してもらい、その体験をもとにレビューを発信してもらうことで、信頼感を高めることができます。特に、タレントやアイドルとは違って、インフルエンサーは消費者に近い存在です。
そのため「この人が言っているなら買ってみよう」という共感や親近感が生まれやすく、ユーザーに寄り添ったメッセージを届けることができるのも、インフルエンサーならではの強みだと思います。
編集部: なるほど。これまで、インフルエンサーマーケティングというとタレントのように有名で少し遠い存在の人が発信しているイメージが強かったですが、そういうわけではないんですね。
有末: そうですね。例えば、Twitterでフォロワー2万人程度のマイクロインフルエンサーでも、一気にバズって3万いいねがついたり、1000万インプレッションを超えたりすることがあります。そういったインフルエンサーが発信することで「こんな一般的な人でも効果を実感しているなら自分も試してみよう」といった共感が生まれ、購買に繋がっていきます。
編集部: マイクロインフルエンサーを複数起用するのと、有名なインフルエンサー1人を起用するのでは、どちらが良いのでしょうか?
有末: それはタイミングや目的によって異なりますが、マイクロインフルエンサーを起用するメリットとしては、様々な軸での検証ができる点です。それぞれのインフルエンサーがどのような訴求方法を用いて、どの企画が伸びたかを実際に確認できますし、その中からヒットコンテンツが生まれて、結果的に売上が伸びることもあります。
一方で、大物インフルエンサーを起用するメリットもあります。総じて安定して大きなリーチを持っており、一定のファン層がいるため、購買に繋がる可能性が高いです。また、そのインフルエンサーが推奨しているという「権威性」も付加価値になります。
編集部:インフルエンサーマーケティングは成功の判断が少し難しいのかなと思っているのですが、投稿されたコンテンツに対しての評価はどんな指標を見ればいいのでしょうか?
有末: それは最終的な目的によると思います。例えばオンラインモールでの売上が目標であれば、モールの売上データを見ますね。あと弊社では、モールやランディングページの遷移におけるCPC(クリック単価)など、クリック数を見ていくことが多いです。
一方、小売店の場合は、どれだけ多くの人に認知されているかを測るインプレッション率を重視します。あえてインプレッション「数」ではなく「率」で評価し、フォロワー数に対してどれだけのインプレッションを獲得したかで、そのインフルエンサーの成果を見やすくしています。インフルエンサーへの報酬はフォロワー数に基づくことが多いので、フォロワー数に対するインプレッションの割合が一つの指標になることが多いです。
編集部: インプレッション数をフォロワー数と関連づけて評価するということですね。
有末: その通りです。熱心なファンがついているインフルエンサーは、フォロワー数に関わらず大きな影響力を持つことがあります。最近ではフォロワー数に基づく報酬設定がスタンダードになっていますが、フォロワー数の少ないインフルエンサーでも、大きなインプレッションを得ている場合は非常に価値が高いと言えます。
UGCが6倍に!オフィスに突撃するタイアップコンテンツ
編集部: 具体的な成功事例の背景や成果を紹介してもらえますか。
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