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人気の「わかさ生活広報」が語る!フォロワー9,900から13万の裏側
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ブルーベリーを利用したサプリメント「ブルーベリーアイ」などを手がける、わかさ生活。
もしかしたら、こちらのCMでご存じの方も多いかもしれません。
そんな「わかさ生活」が運営する公式Xアカウントで、ひときわ目立つ“馬広報”がいることをご存じでしょうか。
同社の公式X(旧:Twitter)は、2020年7月でフォロワー数9,900から2024年6月時点で約13万と10万以上フォロワーを増やし、今なお増え続けている人気アカウントです。
今回、2020年から新卒で運用担当者となり、アカウント知名度を飛躍的に向上させた「中の人」に、企業アカウントの考え方や投稿の作り方について、話を聞きました。
フォロワー9,900人ながら、投稿への反応は0
編集部:わかさ生活の公式Xアカウントでは、フォロワー数が13.7万(※2024年6月時点)もいらっしゃいますが、いつから「中の人」がアカウント運用をされているのでしょうか。
わかさ生活:私がアカウント運用を引き継いだのは、2020年の7月になります。当時を振り返ると、フォロワー数は9,900人ほどで、投稿内容は自社宣伝がほとんどでした。
9,900と聞くと一見多いようにも見えますが、1投稿あたりのimp数(インプレッション数:コンテンツが表示された回数)が500程度、投稿に対する「いいね」数が15程度とフォロワー数に対して、投稿へのレスポンスがほとんどない状態だったんです。
【わかさ生活のX運用担当「中の人」とマスコットキャラクター「ブルブルくん」】
その状態で引き継いだわけですが、私自身も企業アカウントの運用自体は初めて。そこで、運用をスタートするにあたって「X(Twitter)がどういう場所なのか」を改めて考えるところから始めました。
編集部:SNSって一言で表すと「WEB上の交友の場」ってイメージがあります。
わかさ生活:そうですね。それを私なりに言葉にすると、SNSという場は、タレントやキャラクターなど、とにかく“好きで繋がっている場所”だと思います。好きだからフォローするし、好きだからリアクションをする。
そうなると、既に自社商品を好んで購入いただいている方はともかく、その他大多数の方にとって、「企業アカウント」や「一方的に発信する宣伝投稿」ってそもそも求められていないと考えました。
その上で、少しでも見てもらうため(=好きになってもらう)にはどうするべきか考え、宣伝でない雑談投稿を始め、今のスタイルになっていきました。
トレンド入りしたキーワードを使って投稿していく
編集部:とはいえ、企業アカウントだと、やっぱり自社商品の投稿が優先になる気がしますが…実際、投稿の割合はどのくらいで考えているのですか。
わかさ生活:割合で言うと、「日常投稿:自社の宣伝投稿」で8.5:1.5ぐらいです。投稿数については、以前は1日10投稿と目標を決めていましたが、今は特に数は設けず、1投稿以上するスタンスで運用しています。
編集部:1投稿以上とのことでしたが、わかさ生活アカウントを見ていると、ほぼ毎日複数投稿しているように見えます。投稿ストックなどを作っているのですか?
わかさ生活:いえ、投稿のストックは特に作っていません。基本的に、あらかじめ撮影して置いた写真やXで当日トレンド入りしたキーワードを使って都度投稿を作成しています。
編集部:トレンド入りしたキーワードを使って投稿を作成する?
わかさ生活:はい、「トレンド大喜利」とでもいえるかもしれませんね。
例えば、金曜日のお昼頃に「あと半日」というキーワードが高い確率でXでトレンド入りします。“残り半日で休日に入る”という意味合いでトレンド入りするのですが、そこを狙ってこのような投稿をしています。
該当ワードを盛り込んだ上で、なるべく早い段階で投稿するようにしています。
こうすることで、該当のトレンドワードで検索したときに、自社の投稿が表示されるようになって露出数が増えます。“トレンド”ワードなので、タイミングを逃さないようスピードが重要です。
目的は新規ユーザーへの露出で、普段わかさ生活のアカウントを見ない方にも、見てもらえるチャンスを意識的に狙っています。
こちらの投稿は例として分かりやすいかもしれません。
【トレンドワードを意識した投稿例(左)とTwitterendで参照した2024年4月30日9時 日本のトレンド(右)】
投稿タイミングは2024年4月30日午前9時頃。GW連休の中日のタイミングです。この時、トレンドに上がっていたキーワードと照らし合わせて見てみると、「連休の谷間」「通勤電車」「カレンダー通り」「GW中日」というトレンドワードが盛り込まれていることにお気づき頂けると思います。
この事例のように、トレンドに入っているキーワードを複数あわせて文章を作成し、新規の露出を増やすようにしています。
編集部:「トレンド」はどのように追っているのですか?
わかさ生活:基本はリアルタイムでトレンドワードを追っていますが、過去の経験から、上がってくるトレンドワードを事前に把握できている時は、事前にコンテンツを準備することもあります。
先ほどの「半日」もそうですが、例えば「ゴールデンウィーク」とか「クリスマス」、「ハロウィン」などイベント関連のキーワードはトレンド入りが予想できるので、投稿時間を見極めつつ一番大きい波に乗れるよう準備をしています。
編集部:「トレンド」以外、常にチェックしている情報はありますか。
わかさ生活:それでいうと、Xのプラットフォーム自体の動きも追っています。
特に最近はアルゴリズム(誰にどのコンテンツを表示するのか、どんな投稿かを評価・分類するためのルール)の変化が激しいので、意識してニュース検索をしたり、個人で情報を発信されているアカウントから情報をキャッチアップして、自分なりにかみ砕いて投稿に落とし込んでいます。
先ほどのトレンドの話に補足となりますが、最近のアルゴリズムの変化で話題化している投稿がホーム画面に出てきやすいこともあり、時間があれば積極的にスクロールしてネタを拾うようにしています。
先日も、ほっぺたをぷにっとする画像が話題化していましたが、流れてきたのを見て乗っかりました。
きわどい投稿は、客観的な意見を自分から求めにいく
編集部:今、アカウントはどういった体制で運用されているのですか。
わかさ生活:運用は基本私の方で全て担当しています。投稿については、基本私の判断で投稿しています。
自分の判断で投稿できる環境である分、投稿を見た方が「こういう見方をするかも?」といったシミュレーションは毎投稿ごとに行っています。シミュレーションを行ったうえで、なお「これってどうだろう?」と思った内容については、社内の方に客観的な意見を“自分から”求めに行くようにしています。「これって、人によっては○○な見え方になるかもしれませんが、どう感じますか?」といったイメージですね。
【とても戦略的にアカウント運用をされている様子だ】
年代やバックグラウンドもバラバラで、不特定多数の方が閲覧する可能性があるからこそ、最大限考慮して投稿を作成しています。
編集部:企業アカウントの投稿が“社の総意”に見えてしまい、予期せぬ方向にいってしまう事例もありますし、リスク管理って意味でも重要ですよね。
わかさ生活:そうですね、直近でどういった投稿がネガティブに捉えられてしまったのかは、最新情報を常にリサーチしています。
その事例を照らし合わせた上で、使わない表現や気を付けるべき言い回しを確認していますね。基本、自分で情報を取りに行くスタンスで集めています。
わかさ生活の公式Xアカウントは、「トレンドワードを活用した投稿」が話題化している一つの要因であるようでした。また、投稿を一人で作成しながらも、内容の適切性は他の方から客観的な意見を求めるなど、リスク管理にも細心の注意を払っている様子が伺えました。
ここまでわかさ生活のアカウント運用における基本的な考え方を見てきましたが、同アカウントの人気に大きく影響しているのは、"馬"のキャラクターを始めとするコンテンツ作りの工夫が大きいと考えています。
後編では、わかさ生活のXアカウントで「馬」が登場した理由や、投稿を継続し続けるための工夫について話を聞いていきます。
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