明日からできる! オルタネイトモデル実践ステップ
Netflixの成功事例から、オルタネイトモデルが未顧客を顧客に変える強力な力を持つことがお分かりいただけたかと思います。では、中小企業やスタートアップが、明日からこのオルタネイトモデルを実践していくためには、具体的にどのようなステップを踏めば良いのでしょうか。ここでは、実践的な5つのステップをご紹介します。
ステップ1：徹底的な競合分析と未顧客の課題特定
まずは、改めて自社の競合を徹底的に分析します。競合の強み・弱み、提供している価値、顧客体験などを詳細に把握することはもちろん、競合の顧客の声にも耳を傾けましょう。レビューサイト、SNS、顧客アンケートなどを活用し、競合のサービスに対して顧客がどのような不満や潜在的なニーズを抱いているのかを具体的に特定します。この時、「なぜ顧客は競合を選んでいるのか?」「競合のサービスで顧客が不満に感じていることは何か?」という問いを持つことが重要です。
ステップ2：顧客体験ジャーニーの可視化
次に、顧客が商品やサービスを認知してから購入、そして購入後の利用に至るまでの体験を可視化する「顧客体験ジャーニーマップ」を作成します。このマップ上に、ステップ1で特定した未顧客の課題や不満点をマッピングしていくことで、既存の競合が提供できていない価値の空白地帯が見えてきます。
顧客がどのような状況で課題を感じ、どのような解決策を求めているのかを具体的に理解することが、オルタネイトモデルのアイデアを生み出すための重要なインプットとなります。
ステップ3：オルタネイトモデルのアイデア創出と仮説構築
ステップ1と2で得られた情報をもとに、既存の競合とは異なる、新しい価値を提供するオルタネイトモデルのアイデアを創出します。ブレインストーミングなどの手法を活用し、自由な発想で多くのアイデアを出してみましょう。
この際、必ず「未顧客の課題をどのように解決できるのか?」「どのような新しい顧客体験を提供できるのか?」という視点を持ち続けることが重要です。そして、これらのアイデアを具体的なサービスやビジネスモデルに落とし込み、顧客に提供することでどのような反応が得られるのか、仮説を立てます。
ステップ4：プロトタイプ開発とMVP検証
構築した仮説を検証するために、まずは低コストで実現可能なプロトタイプ（試作品）やMVP（Minimum Viable Product：最小限の実行可能な製品）を開発します。例えば、新しいECサイトのアイデアであれば、簡易的なランディングページを作成し、顧客の反応を見るだけでも有効です。重要なのは、完璧なものを作るのではなく、顧客に実際に触れてもらい、フィードバックを得ることです。
ステップ5：顧客フィードバックに基づいた改善と本格展開
プロトタイプやMVPを通じて得られた顧客からのフィードバックを真摯に受け止め、サービスやビジネスモデルを改善していきます。顧客の反応が良ければ、本格的な開発や展開に進みます。このプロセスを繰り返すことで、市場のニーズに合致した、競争力のあるオルタネイトモデルを構築することができます。
オルタネイトモデルの実践は、一度きりの取り組みではありません。市場や顧客のニーズは常に変化するため、継続的に競合分析を行い、顧客体験を改善していく姿勢が重要です。
エビデンスベーストマーケティングの考え方に基づき、データに基づいた意思決定を徹底することで、オルタネイトモデルの効果を最大化し、未顧客を熱心なファンに変えることができるでしょう。
まとめ
本コラムでは、競合分析を徹底的に行い、その結果を基にオルタネイトモデルを構築することで、未顧客を自社の顧客へと変える方法について解説してきました。従来のマーケティング手法が効果を発揮しにくくなっている現代において、オルタネイトモデルは中小企業やスタートアップにとって大きなチャンスとなります。Netflixの事例は、既存市場における顧客の不満を徹底分析し、オンラインレンタル、オリジナルコンテンツ、サブスクリプションモデルなど複合的な戦略で市場のルールを塗り替えた好例です。
「きっかけ・欲求・抑圧・行動・報酬」の要素で構造化されたオルタネイトモデルを駆使し、競合が目を向けていない顧客の深層心理に迫ることで、未顧客を熱狂的なファンに変え、あなたのビジネスを新たなステージへと導くことができるでしょう。
次回は未顧客理解をさらに進め、「（広告）コピー」について解説します。
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山本達巳 つきみ株式会社
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