【渋谷】2025年12月1日週 OOHレポート

更新日：2025年12月03日

アドクロ編集部がお届けする2025年12月1日週の渋谷OOHレポート。渋谷で展開された広告で、押さえておきたい広告事例をピックアップしていきます。過去のOOH事例は、下記を併せてご確認ください。

渋谷のOOH（屋外広告）事例集

Topics①：にしたんクリニックの広告

渋谷中央改札内階段シート

「にしたんクリニック」の広告です。通行者の動線全体をジャックし、圧倒的な視覚的インパクトを与えていた事例です。

メインビジュアルとして、社長である西村氏をはじめ多くのタレントが出演しており、その面々が警察官のコスチュームや、歌謡曲を歌う歌手のような衣装など、一見するとクリニックの広告としては異質な設定で描かれている点が最大の特徴です。

統一された赤みがかったレトロ調の背景に、著名なタレントをコミカルな役柄で大々的に起用することで、通行人の目を引きつけ、日常的な風景の中に非日常的な強い印象を与えます。まず「にしたんクリニック」というブランド名を記憶させることに主眼が置かれていると考えられます。

UCチカビジョン

「このブランドは何だろう？」という疑問を抱かせ、検索行動や会話を促すことで、競合がひしめく医療業界の中で独自のポジションを築くための「記憶に残るブランドイメージの確立」を目的としたブランディング広告であったように感じた事例でした。

Topics②：鈴木大飛氏の書籍「命の燃やし方」の広告

東横渋谷BIG20

鈴木大飛氏の書籍「命の燃やし方」の告知広告です。非常にメッセージ性の高いOOH展開でした。

広大な黒一色の背景に白文字でテキストを配置するという、大胆なデザインが特徴的です。

人々の内面に強く語りかけるようなフレーズで埋め尽くされ、書籍の存在を知らせるだけでなく、その「思想」や「世界観」そのものを広告の主役として表現。「この世界は理不尽で、そして残酷である。」や「人生はあまりにも長い。」といった、世の中の厳しさや人生の虚無感を突きつけるようなネガティブで挑戦的なフレーズから始まり、左に進むにつれて「能力ではなく思考だ」や「ワガママで生きろ」といった、行動を促すような強いメッセージへと繋がっていく構成となっています。

メッセージは縦書きと横書きが混在し、サイズや配置も不規則で、まるで壁一面に思想を書き連ねたような印象を与えます。足を止めて内容を読み込ませるための、強いフックとなっていました。

書籍の内容を直接的に説明するのではなく、その根底にある「哲学」や「生き方」を体験させることで、ターゲット層の自己啓発欲や現状打破の動機に直接訴えかけ、書籍への強い興味と購入意欲を喚起する目的を持った広告であると考えられます。

Topics③：「ズートピア２」の広告

MAGNET by SHIBUYA109 ビッグボード

ディズニー映画「ズートピア２」の劇場公開告知広告です。

広告のメインビジュアルは「ようこそ！ズートピア渋谷へ。」というキャッチコピーをベースに、広告が掲載されている「渋谷」という場所と、映画の世界観である「ズートピア」を結びつけることで、映画と現実世界との親和性を高めていました。実在する建物を模した「ZOOHO CINEMAS」や「ZUUNI QLO（UNIQLO）」といった、ズートピアの世界にアレンジされたパロディロゴが描かれており、映画の世界観が現実の街に溶け込んでいるかのような錯覚を与え、広告を見た人々にエンターテインメント性と遊び心を提供し、SNS等での話題化を促す明確な意図があると考察されます。