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今注目の「界隈消費」とは?従来とは異なる界隈マーケティングのプロセス
株式会社博報堂は、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」と共同で、SNSを中心に形成される「界隈」起点で生まれる消費行動の構造を分析したレポート「Future Evangelist Report vol.3 界隈消費」を公開した。
本レポートによると、「界隈」とは「Z世代をはじめとする若年層を中心に広がり始めた新しい生活者のまとまり」とのこと。1955~70年代を日本人全体を同じものを求めるひとかたまりとして捉えた「大衆の時代」、1980~90年代を自分の価値観や嗜好に合うブランドやメディアに準拠するようになった「分衆の時代」、2000~10年代を嗜好の細分化が進んだ「個の時代」としているが、現在は個人の「好き」や興味関心を軸に、SNSを起点とした縁で緩く繋がる「界隈」という集団をきっかけとした消費が生まれていると解説している。
一人ひとりの「好き」が尊重されている一方で、同じ「好き」を共有する人たちがSNSなどで繋がり、今までにはない新しいコミュニティや消費行動が生まれているようだ。
次の本レポートでは実際に存在する「界隈」の一部を紹介している。音楽と一口に言っても、K-POPや地下アイドル、ボーカロイド、ライブハウスなどジャンルは様々だ。ファッションや文化などの領域に留まらず、「職業・ビジネス」にも教師や美容師、スタートアップ、研究者など多岐にわたる。コアなファンが様々な「界隈」を生み出しているようにも感じる。この「界隈」は今後もどんどん増えていくのではないだろうか。
また、本レポートでは、界隈消費が起こるまでの流れの一例について解説している。最初に、界隈の中で商品・サービスが話題になりSNSなどで拡散される。SNS上で“バズる”ことで他の界隈の人の目にも留まり、別の界隈でも話題となる。このように自分たちの界隈の中で完結することなく、界隈同士で影響を受け合い、それにより消費が起こるという流れがあるとレポートでは説明している。
「○○界隈で人気!」というコピーをよく見かけるが、この一言が付くだけでその商品のイメージが変わったり、興味を持つ人が増えたり、様々な影響があるのかもしれない。
最後に本レポートでは「界隈」発想のマーケティングプロセスについて解説している。そのプロセスにおいて、仮想顧客としてのターゲットを作るのではなく、自社ブランドに関連しそうな「界隈」を見つけることが最初に行うべきことだそうだ。そしてその「界隈」の人々の常識や困りごとを理解し、その「界隈」の人々がより楽しく快適に過ごせる商材を提案し、盛り上げていく。そうすることで「界隈」内外で拡散され、認知されるだけでなく、自社に関連しそうな「界隈」が増えていくというプロセスとなるそうだ。
マーケティングにおいてニーズの理解は重要なポイントだが、その点は界隈マーケティングにおいても共通している。しかし、ペルソナ設定のようにターゲットを作るのではなく、自社に関わりがありそうな界隈を“見つける”という方法は、通常のマーケティングとは少し違った手法のようだ。
界隈消費はUGCが重視される今の時代ならではの顕著な流れと言えるだろう。特定のコミュニティの中で、共通の価値観に基づいた消費行動が生まれる界隈消費は今後もますます発展していくと考えられる。顧客ニーズ分析を行う際には「界隈」も意識しておくことで、より幅広いマーケティング施策が検討できる。自社に関わりのありそうな「界隈」を見つけ、UGCを上手く活用する「界隈マーケティング」に目を向けることで自社のマーケティングをさらに後押しできるだろう。
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