Topics⑧：早稲田アカデミー×「鬼滅の刃」 コラボレーション広告
早稲田アカデミーと「鬼滅の刃」のコラボレーション広告です。
「難題」「弱点」「重圧」「緊張」など、受験までの道のりで生徒が直面する悩みや不安を、鬼殺隊の隊士たちが力強く断ち斬る姿を描いたビジュアルで、単なるアニメコラボを超えた深いメッセージ性を持った広告となっています。各キャラクターの持つ刀や武器によってこれらのネガティブな文字が切り裂かれることで、受験生が直面する心理的な壁を視覚的に「断ち斬る」ことを表現。見る人に共感を呼び起こすクリエイティブです。
駅構内の柱には、鬼殺隊の中で最も位の高い9名の剣士「柱」が一同に集結する大迫力の柱広告を掲出。駅の「柱」に「柱」のキャラクターを配置するという、言葉遊びの要素も含んだ手法も印象的です。
また、「鬼滅の刃」の映画が7月に公開されることもあり、アニメファンの関心が高まっているタイミングを狙った戦略も感じます。SNSではこの広告の写真投稿も多数見られ、夏期講習の募集時期と映画公開前の盛り上がりが重なることで相乗効果を生み出していました。
Topics⑨：ディズニー実写映画「リロ&スティッチ」の広告
ディズニー実写映画「リロ&スティッチ」の広告です。
キャラクターの魅力を最大限に活かした立体的なビジュアル表現になっており、スティッチを平面的なポスターではなく、まるで駅構内に実際に現れたかのようなクリエイティブで「実写化」をアピールしています。
赤いサーフボードに乗って波に向かうスティッチの躍動感あふれる姿は、ハワイの美しい海を背景にしたグラデーション効果と相まって、見る人に南国の開放感を感じさせる構成になっています。実写化によってさらにキュートさを増した、神出鬼没で暴れん坊なスティッチの特徴が伝わってくる広告です。
渋谷という若年層が集まるエリアで大規模に展開することで、映画の主要ターゲット層へ直接的アプローチしています。さらに、屋外広告では建物の構造を活かしてスティッチがビルから飛び出してくるような表現を採用するなど、媒体の特性を最大限に活用して実写化を視覚的にアピールしたクリエイティブが印象的でした。
Topics⑩：映画「岸辺露伴は動かない 懺悔室」の広告
映画「岸辺露伴は動かない 懺悔室」の広告です。
原作の持つ独特な世界観と映画のサスペンス要素を融合させたビジュアル表現で大きな話題となりました。
ひときわ目を引くのは、鏡のように反射する素材を使ったデザインです。
鏡面がひび割れている状態のようなビジュアルが、映画が描く「幸せの絶頂の時にやってくる絶望」というテーマを表しているような表現となっていて、作品の核心的なメッセージを視覚的に伝える巧妙な演出となっていました。
この広告は、2025年5月23日公開の映画プロモーションとして展開されたもので、荒木飛呂彦原作の人気作品を実写化した作品への期待感を高める効果的なデザインとなっていました。
また、この広告はピールオフ広告として展開され、高橋一生さん演じる岸部露伴の特殊能力「ヘブンズ・ドアー」をモチーフにした付箋が手に入るという仕掛けが施されていました。原作ファンにとって特別な意味を持つアイテムを実際に手に取ることができる体験型のアプローチで、印象的なプロモーション展開となっていました。
編集部からの一言
5月は、キリンビールのレトロ広告が特に印象的でした。
「晴れ風」の広告はこれまでにも多くの広告が大規模展開されてきましたが、
今回の昭和レトロ広告は見事なクリエイティブが印象的でした。昭和初期のポスターデザインを現代の技術で忠実に再現しながらも、洗練された仕上がりを実現したこの広告は、従来のビール広告とは一線を画す表現となっていました。
「昭和100年」という節目の年に合わせたタイミングも絶妙で、このノスタルジックなデザインが昭和を知る世代には懐かしさを、若い世代には新鮮さを与える効果を発揮しています。これまでキリンビールに馴染みがなかった層や、普段ビールを飲まない人々にも「歴史あるブランド」としての価値を再認識させる機会を提供し、今までとは違う層に対してもアピールとなったのではないでしょうか。
このような歴史を活かした広告展開は、ブランドの奥深さと継続性を効果的に伝える手法として、他の企業にとっても参考になる事例といえるでしょう。
古田ちほ アドクロ編集部
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