Topics④：今際の国のアリスⅢの広告
渋谷エリアや六本木駅近くのメトロハットで展開された、Netflixシリーズ「今際の国のアリスⅢ」の広告です。
メトロハットには、天井に巨大な円形アートが出現。中心には登場人物たちが手を伸ばし合う構図で、背景に広がる嵐雲と、不気味なジョーカーの表情が作品の緊張感を演出。
地上ではなく見上げる場所に描くことで、まるで物語の渦に引き込まれるような没入感を生んでいました。
また、渋谷エリアではデジタルサイネージと大型広告を使ったプロモーションを展開。作品を知らなくても、その強烈なビジュアルに引き込まれた方も多かったのではないでしょうか。まるで生と死の臨界を、街そのものを使って描いたような、迫力のある展開でした。
Topics⑤：B.LEAGUE 10周年の広告
渋谷など複数エリアで展開された、「B.LEAGUE 10周年」の広告です。最初に目に飛び込むのは「バスケットボールを愛するすべての人に、ありがとう。」という大きなメッセージ。感謝の言葉そのものを主役にすることで、広告でありながら告知や訴求ではなく「感謝の表明」としての存在感を放っている点が特徴的でした。
特筆すべきは、「ありがとう、◯◯。」という形式で展開された個別のメッセージ。企業（ソフトバンク）や作品（SLAM DUNK）、個人（佐々木クリス、坂井真紀など）といった異なる立場のバスケを支えてきた人々へ、それぞれの貢献を具体的に綴る構成になっていました。ただ敬意を表すだけではなく、バスケットボール文化を共に育てた仲間への手紙のような温度感がありました。
バスケットボールの歴史を体感できる、1枚1枚異なるメッセージが印象的な広告展開でした。
Topics⑥：アサヒ「スーパードライ ドライクリスタル」の広告
アサヒ「スーパードライ ドライクリスタル」の広告です。赤を基調とした背景に「スーパードライを うまさで超える。」という挑戦的なコピーが描かれていました。既存ブランドを自ら「超える」という表現が、同社の代表的な商品である「スーパードライ」の新たな挑戦を感じさせつつ、若年層やライト層とあまりビールを嗜んでいない層への拡大を意識しているように感じます。
広告には、酒類の広告に初出演という俳優の横浜流星さんを起用。商品と横浜さんの写真が大きく描かれたビジュアルが印象的でした。
Topics⑦：ベルゼルクの広告
漫画「ベルセルク」第43巻発売にあわせて展開された広告です。
全体を覆う漆黒のビジュアルに「死神襲来。」の一文が浮かび上がるデザイン。通路を歩くと、壁一面に描かれた原作の重厚な筆致が目に入ります。余白を大胆に使い、中央に設置された「ラクシャス」が立体的に浮き上がる構成は、ちょっと寒気がするような怖さ、不穏さを生み出しています。
色も演出も極限まで削ぎ落とし、何も語らないことで何かを読み取ろうとしてしまう心理が働く内容です。さらに階段部のデジタルサイネージでは、真紅の背景にラクシャスが浮かぶ映像を展開。静と動の対比で作品世界観を表現しつつ、強烈な印象を残した事例でした。
編集部からの一言
9月は、新宿駅で展開された「世界陸上2025 東京大会」の広告が印象的でした。 「運動会は、続いている。」というコピーと、校庭のマイク前に立つ教師姿の織田裕二さんのビジュアルが目を引きました。世界的な大会を「運動会」と表現を置き換えることで、スポーツイベントに親近感を持たせた試作が見事でした。
特に注目すべきは、近くに設置された学校掲示板風の装飾です。児童の手書き風コメントや、花紙の装飾、画鋲で留められた図解ポスターなど、細部まで「手づくり感」を再現。紙花など、なかなか学校を卒業すると見る・作る機会も減るアイテムを並べることで、懐かしさを感じさせつつも、世界陸上というイベントに関心を持たせる見事な演出でした。
加藤誠也 アドクロ編集部
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