広告クリエイティブの世界にAIが普及し始めた今、意外な"課題"が見つかりました。アルテナ株式会社が実施した最新の消費者調査で、回答者の27%がAIが生成した広告に「人間味の欠如」を感じているという結果が明らかになりました。
しかしここで考えたいのは、そもそも広告における「人間味」とは、どのような要素を指すのでしょうか。この漠然とした概念を具体的にしていくことが、AI時代における広告制作に必要なヒントになると考えます。
続々と増えるAIツール
ChatGPTを始め、画像生成AI、動画生成AIなどさまざまなAIツールが急速に開発されています。これらのAIツールは、これまでの常識を覆すような高いクオリティの画像や動画あるいは文章が一瞬で出力されます。まるで写真のような画像やカメラで撮影したかのような動画など、プロンプトひとつで瞬時に表現できます。
AI時代の広告における課題
マーケティングの現場においても、当然AIツールを利用する頻度はますます上がっています。その代表的な使われ方が、AIで生成された広告クリエイティブです。
2023年の冬、パルコのホリデーシーズン広告が話題を呼びました。モデル撮影を一切行わず、人物や背景はもちろん、グラフィック、ムービー、ナレーション、音楽まで、すべてを生成AIで制作したのです。
すでに多くの企業が取り入れており、生成の手軽さから大手企業だけでなく、中小企業あるいは個人事業の方も、生成AIを使った広告クリエイティブを使用しています。
広告代理店やクリエイターをはじめ広告主側から見れば、生産性を飛躍的に向上させた画期的なツールですが、広告を見る一般消費者側はどのように感じているのでしょうか。
これからますます利用が増えてくるであろう生成AIを使った広告。消費者はどのように感じているのか、または生成AIで作成した画像を用いた広告クリエイティブにどのような課題があるのかを明らかにすべく調査を行いました。
調査で明らかになったのは「人間味の欠如」
アルテナ株式会社が実施した調査で、AIで生成した画像を用いた広告に対する消費者の本音が明らかになりました。今回、私が注目したのは、回答者の27%が指摘した「人間味の欠如」という課題です。
「実在の商品やサービスとのギャップ」（28.73%）に次ぐ第2位の事項となっており、消費者がAI広告に対して感じる違和感の重要な点を示唆しています。
また、「商品を購入する際、AIが作成した広告だと知ったらあなたの決定にどの程度影響しますか？」という質問に対しては、36.21%の消費者が「やや躊躇する」、9.77%が「購入をやめる」と回答しており、合計で約46%の消費者がAIで生成した広告とわかった場合に購買をためらう傾向にあることが分かりました。
つまり、この「人間味の欠如」あるいは「人間味の有無」が消費者の購買行動にも影響を及ぼしている可能性もあるのではないかと考えています。
人間味のある広告の正体
消費者が求める「人間味のある広告」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
「人間味」は一般的に「人間としての豊かな情緒。また人間らしい思いやり、やさしさ」といった意味で使われています。わたしはこの「人間味」という言葉を次のように解釈しています「機械的ではなく、不完全さや合理的ではない感情、空気を読み取る繊細さなど、どこか人間らしさを感じるさま」。
そして、人間味のある広告とは完璧さを追求されたものではなく、人間らしい"不完全さ"があるものなのではないかと考えます。「手書き風のテキストや、わずかなブレのある写真、計算されすぎていない構図など、人間の手によって生み出された痕跡が、視聴者の共感を呼び起こすのです。
たとえば、スターバックスコーヒーは新商品をチョークボードにあえて手書きで書いています。また紙カップなどに手書きのメッセージを添えてもらった経験をした人も少なくないはずです。
このように、あえて人間らしい部分を表現することで、親近感や温かみを感じ、ポジティブな感情を抱きやすくなることがあります。
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人間味のある広告に求められる3つの条件
人間味のある広告に求められる3つの条件
加賀恵典 アルテナ株式会社
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