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TOP 記事一覧 ナレッジ たった1つの管理画面で233ヶ国に一括販売できるECモール「JOOM」を徹底解説

更新日:2026年07月24日

たった1つの管理画面で233ヶ国に一括販売できるECモール「JOOM」を徹底解説

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越境ECの成否を分ける最大の要因は、マーケティングや広告運用の巧拙ではなく「市場選定」です。
その重みを象徴する出来事が、2025年8月に起きました。米国が、800ドル以下の輸入品を免税・簡易通関としてきた「デミニミス制度」を全世界向けに廃止したのです。JETROのレポートによれば、従来は数時間で終わっていた少額貨物の通関は複数営業日を要するようになり、日本郵便も一時、米国宛て国際郵便小包・EMS(物品)の引受を停止しました。プレイヤーが飽和し、広告費が高騰し続けてきた米国市場は、制度面でも参入と継続のハードルが一段と上がっています。
消耗戦の続く市場で戦うのか。それとも、競合がまだ少なく、日本製品への信頼が突出して高い市場で先行者利益を取りにいくのか。後者の「ブルーオーシャン戦略」を実現するプラットフォームとして、いま急速に注目を集めているのが「JOOM(ジューム)」です。2016年にラトビアで創業した(現本社:ポルトガル・リスボン)モバイル特化型マーケットプレイスで、旧ソ連圏とヨーロッパを中心に世界100カ国以上で利用されています。
筆者は2024年前期よりJOOM公式パートナーとなり、日本セラーの参入を支援すると同時に、自らもJOOMで販売する「現役セラー」です。本コラムでは、市場ポテンシャルや支援機能はもちろん、リードタイムや返品・規制対応の現場感、そして筆者ストアの実売データまで、検索やAIの一般論では出てこない一次情報(図表11点)を軸に解説します。後半では、テスト販売から多販路展開へ進む際に必ず直面する「運用の壁」と、その突破口となる運用自動化の考え方も、弊社ツールの事例を交えてご紹介します。
※参考:JOOM日本セラーサポート責任者 チトワ・アナスタシア様との対談
※本記事は特定のプラットフォームを過度に推奨するものではなく、一次情報と客観的な市場データに基づく解説です。文中の円換算は執筆時点の概算レート(1ルーブル=約2.1円、1ユーロ=約185円)によるもので、為替により変動します。

データで見る「市場選定」 なぜ今、旧ソ連・欧州なのか

米国市場は「制度面」でもハードルが上がった

世界のEC市場は2024年に約6兆ドルに達し、その中心は米国と中国でした(JETRO)。しかし米国は2025年7月30日の大統領令により、同年8月29日をもってデミニミス制度(800ドル以下の免税・簡易通関)を全世界向けに廃止。少額貨物にも一般貨物と同等の関税・通関手続きが課されるようになりました。
影響は関税コストだけではありません。JETROのレポートは、①通関リードタイムが数時間から複数営業日へ長期化、②10桁のHTSコード明記など事務負担の増大、③想定外の関税上乗せによる購入者のキャンセル・低評価、を指摘しています。日本郵便が2025年8月25日に米国宛て国際郵便小包・EMS(物品)の引受を一時停止したことも、記憶に新しいところです。
米国市場の魅力が消えたわけではありません。ただ、「小さく始めて検証する」ことの難易度は確実に上がりました。だからこそ、次の一手として「別の成長市場」をデータで見極める価値が高まっています。

旧ソ連・旧ソ連圏:世界有数のスピードで成長するEC市場

特に注目すべきは、旧ソ連を中心とする旧ソ連市場の成長です。2024年のデータによると、この地域のBtoC通販市場は前年比41%増という驚異的な成長を記録し、市場規模は17.52兆円(約9兆ルーブル)に達しています
ロシアEC企業協会(AKIT)によると、同国のインターネット通販市場は2024年に前年比41%増の約9兆ルーブル、2025年には11.5兆ルーブル(前年比28%増)へ拡大。日本円に換算すると約24兆円。経済産業省の調査による日本の物販系BtoC-EC市場(2024年・15.2兆円)の約1.6倍に相当する規模が、なお年率3割近いペースで伸び続けている計算です。
旧ソ連EC市場は6年で約3.6倍。2025年は11.5兆ルーブル(約24兆円)に小売販売全体に占めるECの比率も18.8%(2024年は16.2%)へ上昇を続けています。国土が広大で冬季の気候が厳しく、実店舗網が届きにくい地方部ほどECへの依存度が高い——この構造的な追い風が、成長の持続性を裏付けています。実際、AKITは地方市場の伸びを成長ドライバーとして挙げています。
もう一つ、見逃せないデータがあります。旧ソ連EC市場のうち越境EC(海外からの直販)の比率はわずか3.8%で、96%以上が国内モール経由の購買だという点です。つまりこの市場を獲りにいくなら、「日本から直送サイトを立てる」のではなく、「現地の巨大モールの棚にどう載るか」が勝負になります。後述するJOOMの価値は、まさにここにあります。
なお付け加えると、筆者の知る限り、事業規模を問わずB2C・小口配送でこの旧ソ連圏へ小売販売できるプラットフォームは、2026年7月現在、実質的にJOOMだけです。成長市場への「入口」自体が希少である——この点も、市場選定の判断材料になるはずです。

欧州:8,420億ユーロ市場が再加速、東欧は+18%

JOOMのもう一つの主戦場である欧州も、堅調です。Ecommerce EuropeとEuroCommerceの共同調査「European E-commerce Report 2025」によると、2024年の欧州B2C EC売上高は前年比7%増の8,420億ユーロ(約156兆円)と、停滞期を脱して再成長に転じました。中でも東欧は+18%と欧州平均の2倍を超える伸びを示しています。
「欧州50%・旧ソ連45%」というJOOMのGMV構成(後述・図3)は、いずれも客観データで成長が裏付けられた地域に立脚している——これが、数ある越境EC販路の中でJOOMに注目する第一の理由です。

アプリDL数10億件突破 モバイル特化の急成長マーケットプレイス

JOOMは2016年に設立された、モバイル特化型のECマーケットプレイスです。2018年には「欧州で最もダウンロードされたショッピングアプリ」となった実績を持ち、スマートフォンアプリの累計ダウンロード数は2025年12月時点で10億件を突破しました。
注目すべきはその加速度です。累計ダウンロード数は2024年末時点の約5.0億件から、わずか1年で10.1億件へ——直近1年間の増加分だけで、それまで8年間の累計に匹敵し、累計数は1年で2倍になりました。スペイン・フランス・ドイツでは越境ECモールのアプリダウンロード数1位を獲得するなど、欧州圏でのプレゼンスを急速に高めています。
2025年の1年間だけで、過去8年分に匹敵するダウンロードを獲得。流通取引総額(GMV)の地域別内訳は「欧州50%・旧ソ連45%・その他5%」。日本にいながら、この広大な市場へ一気にアクセスできます。

「From Japan」という最強の差別化要因

この市場において、日本製品は圧倒的な競争力を持ちます。「日本のものは品質が高い」という共通認識が広く浸透しており、アニメグッズ、コスメ、時計などが特に人気です。JOOMのアプリ内には「From Japan」という専用タブが設けられており、日本から出品された商品は自動的にこの専用導線に掲載され、ユーザーの目に留まりやすい設計になっています。
つまりJOOMでは、「日本から売る」こと自体がマーケティング上のアドバンテージになるのです。
そして、この優位性はまだ十分に使われていません。筆者がJOOMジャパンチームとの定期的な情報交換で把握している限り、プラットフォーム全体の売上構成はおおよそ中国系セラー6:韓国系2:日本系1。中国勢は2016年、韓国勢は2020年から参入しているのに対し、日本勢の本格参入は2024年に始まったばかりです。「From Japan」という専用導線が用意されているのに、日本の棚はまだ全体の1割——この非対称こそが、本コラムで「ブルーオーシャン」と呼ぶ根拠です。

一つの画面で100カ国以上へ。提携モールにも「自動で」販路が広がる

複数の国に販売できるECモール自体は、他にも存在します。JOOMが一線を画すのは、次の2点です。

(1)一つのセラー画面で、100カ国以上に同時販売できる

国ごとにアカウントや管理画面を分ける必要はありません。商品情報を一度登録すれば、JOOM単体で100カ国以上へ販売できます(アプリの配信自体は233カ国・地域に及びます)。販売先の内訳は、JOOMロジ利用で主要34カ国、自己配送を組み合わせると100カ国以上——という整理です(詳しくは第5章)。

(2)JOOMに出品するだけで、提携モールにも自動で商品が並ぶ

JOOMは、旧ソ連圏No.1のマーケットプレイス「Wildberries(ワイルドベリーズ)」との同時販売連携を開始しました。調査会社エイレル(Эйлер)の推計では、Wildberriesは旧ソ連国内EC流通額の約45%(2026年見込み)を占める最大手で、2位のOzonと合わせた2社で市場の77%を握る寡占構造です。その最大手の「棚」に、JOOMへ出品するだけで追加の手間なく商品が並びます。
連携先はWildberriesにとどまりません。2026年1月時点でAliExpress・Fruugo・MMarket(キルギス)とも連携済みです。Wildberriesは出品と同時に、AliExpressは販売実績に応じて申請不要で自動解放される仕組みで、JOOMで売るほど販路が勝手に広がります。実際、筆者ストアでも注文の3〜4件に1件はAliExpress経由で入っており(第7章・図7)、「配信ハブ」は机上の話ではなく実売で機能しています。なお、連携モール分の売上金もJOOM本体と同一サイクルで合算入金されるため、経理が煩雑になることもありません。(現状、日本人セラーの売上流通額はJOOM:AliExpressが半々程度)
前章で見たとおり、旧ソ連のEC購買の96%以上は国内モール経由です。日本からの直販だけでは届かないこの巨大な購買層に対し、JOOMはもはや単一のモールではなく、旧ソ連・欧州市場への「配信ハブ」として機能する——そう捉えるのが正確でしょう。
参考:【JOOM新モール連携】旧ソ連No.1モール「Wildberries」に同時販売スタート

マーケティングを加速させる3つの支援機能

JOOMが日本のセラーから高く評価されている理由は、市場の大きさだけではありません。マーケティングや顧客対応のハードルを極限まで下げる、プラットフォーム側の強力なサポート体制にあります。

① 100カ国語への自動翻訳

越境EC最大の壁である「言語」を、JOOMはシステムで解決しています。セラーが商品名や説明文を英語で登録するだけで、JOOMのAIが約100カ国の言語へ自動翻訳し、現地ユーザーに最適な言語で表示します。

② 20カ国語対応の完全代行カスタマーサポート

多言語での顧客対応も不要です。20カ国語に対応した専任のカスタマーサポートチームが、購入者からの問い合わせやクレーム対応をすべて代行してくれます。セラーは「売ること」に集中できる環境が整っています。

③ 無料のプロモーション・広告支援

インフルエンサーを起用したSNSマーケティング、アプリ内バナー広告、プッシュ通知などのプロモーションを、プラットフォーム側が無料で実施します。JOOM側が売れ筋商品を見極めて積極的に露出をかけてくれるため、広告費をかけないテストマーケティングの場としても非常に優秀です。

小規模事業者でも安心の実務設計(配送・コスト・入金・規制)

マーケティング面だけでなく、配送や資金繰りといった実務面のハードルが低いことも、JOOMの特徴です。

配送:主要34カ国は「香港倉庫へ送るだけ」

売上の大きい主要34カ国への配送は、香港にあるJOOMの日本セラー専用倉庫へ商品を送るだけ。その先のエンドユーザーへの配送は、JOOMが担ってくれます。注文ごとに配送オペレーションを組む必要がないため、発送業務を社内スタッフや外部パートナーに任せやすく、セラーはより販売に集中できます。
セラーの作業は「香港へ送るだけ」。香港以降の輸送トラブルはJOOMが補償してくれます。香港到着後の輸送で万一トラブルが起きても、JOOMが補償する建て付けです。対象の34カ国には、独・仏・英・伊・西・ポーランドといった欧州主要国、ウクライナ・カザフスタン・ジョージアなどの旧ソ連圏に加え、UAE・イスラエル・豪州・メキシコなども含まれます(2026年時点・随時更新)。配送方法は2つのパターンから選択でき、初心者や個人事業主には(1)JOOMロジが推奨されます。
現場の定石は「初心者はJOOMロジのみ → 慣れたら2方式のハイブリッド」です。筆者もハイブリッドで運用しており、JOOMロジの規定サイズを超える商品や対象外の国からの注文を自己配送で拾うことで、売り逃しを防いでいます。
出荷リードタイムの規定は10日ですが、実務ではセラーサポートに相談すれば15日まで、事情があれば現状20日まで延長してもらえます(筆者も延長対応してもらった実例があります)。しかも起算の考え方は、JOOMロジなら「香港倉庫に着くまで」、自己配送なら「配送会社へ引き渡した時点」。遅延ペナルティもめったに発生しないため、本業や家庭と両立しながらでも十分に回せる時間設計です。

コストと入金:固定費ゼロ、月2回の自動送金

JOOMには月額固定費や出品手数料が一切なく、発生するのは販売手数料のみ(一般商品15%、電化製品10%)。この手数料に、前述のプロモーション費用や為替リスクが含まれています。
売上金の送金サイクルは次のとおりです。締めから約2〜3週間で入金される短いサイクルが月2回刻まれているため資金繰りの計画が立てやすく、キャッシュフローが安定するのは、小規模事業者にとって大きなメリットです。
また筆者が公式パートナーとして把握している実績値では、日本セラーの返品率は約1%と非常に低い水準です。購入者都合の返品なら、返送の手配も送料負担も購入者側。購入者への案内はJOOMが仲介してくれるため、セラーが対応に忙殺されることはありません。
では、旧ソ連圏など「返送が現実的でない地域」で返品が起きたらどうなるのか——現場でよく聞かれるポイントです。実務では、商品を回収せずに注文額の20〜50%の部分返金で着地するケースが多く(JOOMが状況に応じて判断・仲介します)、全額損失や廃棄コストを抱える「詰み」の展開になりにくい設計です。この着地点が用意されているだけで、遠隔地に売る心理的ハードルは大きく下がります。
国・品目ごとの販売規制は、プラットフォーム側が自動で制御してくれます。たとえばサプリメントは旧ソ連向け配送が自動除外されるため、セラーが各国の規制を漏れなく調べ切る必要はありません。また、Amazonで悩まされがちな「ブランド出品規制」も、2026年7月現在、筆者の知る限りJOOMには実質ありません(真贋・知的財産・現地法令の遵守は当然の前提です)
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EU販売の前提となる「EAR/EPR」も、ハードルは下がっている
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藤田裕貴 Free Life&Co株式会社

著者藤田裕貴 Free Life&Co株式会社

経済産業省認定 経営革新等支援機関。JOOM公式パートナーとして、また韓国主要ECプラットフォームとの提携のもと、日本企業・セラーの越境EC参入を支援。越境EC一元管理ツール「Prime Shopper」の開発、コミュニティ「韓BIZ」の運営、YouTube「越境ECチャンネル 韓国ECモール攻略法」での情報発信を行う。

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